第12話 王都への道のり
そういえばいくつか、詳細を載せてないスキルがあるなあ……と思いながらも載せない勇気!!
……いえそのうちちゃんとしますはい
翌日、起きて約5分後に身支度を済ませて食堂に行った。辺りを見回すが、リーナの姿は見当たらない。
まだ寝てるんだろう、と判断して、適当な席に座る。
店員がやってきたので、軽めのメニューを注文する。
ふと店内を見渡す。昨日の夕方は活気に溢れていたのに、客が2、3人しかいない今は静まり返って、従業員の作業の音しか聞こえない。
朝の静寂、とでも言えばよいのだろうか。
前の世界では朝でも車の喧騒があり、別にどうも思わなかった、むしろ学校に行かなければいけない事に絶望すら感じたこの時間。しかしこの14年自然に囲まれて育ったからか、今ではこの時間帯がお気に入りとなっていた。
独り物思いに耽っていると、眠そうな表情のリーナがキョロキョロと食堂内を見回し、僕を見つけて近づいて来るのが見えた。
「………おはよ…」
「おはようリーナ。だいぶ眠そうだね。寝不足?」
席につきながらうん、と返事をしてくる。
「…………もしかして……楽しみであんまり眠れなかったとか?」
「……!!」
目を見開くリーナ。図星か。
「あはは。リーナは子どもみたいだなぁ」
と笑う僕。
「………まだ子どもですから」
「それもそうだね。あ、さっきリーナの分も頼んでおいたよ」
メニューを取ろうとしたリーナを制す。
「………そう、ありがと………」
…………ん?なんか覇気無さ過ぎじゃないか?
「リーナ、なんか頭が起きてないんじゃない?」
「……んー……そうだね、実質2時間くらいしか寝てないしなあ……」
うわあ、深刻な睡眠不足。
「………そんなんで今日大丈夫なの?」
「……たぶん……。」
って、さっきから頭がカクンカクン下がってて、今にも寝そうなんだけど。
「とりあえず眠気覚ましに体操でもする?」
「体操………?」
「そう。手を組んで真上に上げて、身体を伸ばして………一気に脱力」
言う通りにやらせると、数回やったところでなんとなく目が醒めてきた様子。
割と良くなったかな、とリーナが呟いた。
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朝食後、身支度を済ませるために一旦部屋に戻った。双剣を腰に差し、昨日買ったローブを羽織る。……うん、それなりに様になってる…気がする。
荷をまとめ、背中に担ぐ。よし、これでいいだろう。
部屋を出るが、廊下にはリーナがいない。まだ準備中の様なので、部屋の前で待つ事にした。
5分ほど経過したところで、リーナが出てきた。僕より割と荷物が少ないようだ。
「ごめん、ちょっと手間取っちゃった。待った?」
「ううん。じゃ、行こうか」
フロントに鍵を返し、宿代を支払う。軽く挨拶をして宿を出た。
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「そういえばさ、リューはなにか請けたいクエストとかがあるのかな?」
街の北の門をくぐり、リンコマに別れを告げて30分ほど歩いた頃、リーナにそう聞かれた。
「えっ?なんでそう思うの?」
「ほら、昨日の話でさ、『王都に行けば大きなクエストが請けやすい』って言った辺りでスゴい目の色変わってたから、なにか目的があるのかなって。」
ああ、僕『いいね!!王都!!』なんて口走ったしなあ……。
「……………聞きたい……?僕の……真の目的を……」
立ち止まり、あえてちょっと高圧的に問う。
「う……うん……?」
リーナが若干緊張気味に顔を近づけ、ゴクリと喉を鳴らす。
「…………実は僕は………ドラゴンの住処に行って行方不明になった父さんを探すために………」
「………え……お父さんを……?」
リーナがどこか悲しそうな表情になる。
「まあ、嘘なんだけどね!!!ゆっくり騙されてってね!!実際はドラゴンと戯れる事が目標だよ!!!」
渾身のドヤ顔で言う。
叩かれた。
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「ああムカつく!!特にあの(可愛いけど)憎たらしい表情!!人をバカにするにもほどがあるわよ!!」
先ほどのやり取りでご立腹のリーナ。
ズンズンと進んで行く彼女を追いかける形で道を進み、もうリンコマが見えなくなる所まで来ていた。道の両側は森となり、鳥のさえずりなどが聞こえる。
「リーナ、待ってってば」
最初のうちは無言で早歩きくらいの速さだったリーナだったが、今では結構な速さで走っている。
「うるさい!!しんみりする話かと思いきやぶっ飛んだ目的をあんなふざけた表情で話して!!!待って、じゃないわよ!!」
…………………
「………悪かったよ。許さなくていいからとりあえず止まって?――――前の方から魔物が来てる」
「なっ……」
その言葉に反応して急停止するリーナ。武器に手を掛けて、ちらりとこちらを見ながら聞いてくる。
「…………距離と数は?」
「距離は50メートル無いぐらい、数は14。前の方って言ったけど、一応左右に分かれてるみたいだから、気付かれてるはず。挟撃狙いかも。」
「了解。……姿は確認できない?」
「ん、やってみる。……スキル 鷹眼、オン」
このスキルは、周辺100メートル程までを高度20メートルから見えるようになる、というものだ。
索敵と併用することで、こういった場合に大いに役立つ。………と思って創ったスキルである。
難点は、一々目を閉じないと視点を変更出来ないことかな。
目を閉じて、視点を上空に。前方約30メートル強…………いた。魔物だ。木々の間から、歩いてくるのがチラチラと見える。
「なんか………斧とか棍棒とか持ってる……二足歩行の猪?って感じかな?」
目を開けてそう告げると、リーナは驚いた表情をする。
「オーク……!!!……Dランクのクエストで扱われる魔物よ……!!!群れを成すと、Dランクの冒険者でも歯が立たないことがあるわ。」
「うわ、それはヤバいね。まあ、戦うけど」
「……………逃げるっていう選択肢は無い訳ね……。…………知能はゴブリンより多少高い程度だけど、力は相当強いしリーチも長い。ただ、動きが遅いのが弱点かな。だから素早い動きで撹乱して、なるべく一対一を心掛ければなんとか勝てると思う。」
「了解。じゃあ僕は右側、リーナは左側で。さ、来るよ!!」
身体を右側に反転させ、戦闘体制に入る。ガサガサと草木を押しのける音がしたかと思うと、先程鷹眼で確認したオークが飛び出してくる。
体長は僕より少し大きいくらいの約160センチほどで、右手には棍棒を持っている。
飛びかかってくるオークの攻撃を避けつつ、すれ違いながら首筋を一閃。背後でドチャッ、と倒れる音がする。
次のオークが棍棒を振り下ろし攻撃をしてくる。右に飛び退いて距離をとる。
続いて棍棒を横に振るってくる。少し屈みながら剣を寝せ、その腹で攻撃を受け流す。そのまま剣を振り、オークの両手を切り落とす。痛みに叫び声を上げるオーク。そして心臓を一突き。膝から崩れ落ち、ゆっくりと右に倒れる。
これで2体――――っと、ヤバい。
左側に現れた新たな敵が錆びた斧を振る。―――回避が間に合わない―――!!
飛び退くも、左腕の肩下ほどを斧が掠めて傷を作る。浅い傷だが血は出るし痛む。後々面倒だと思い、大きく距離をとりながら魔術で傷を癒していく。
粗方治った所で敵に向き直る。オークが横並びに立っていて1対2の構図となる。………ああ、1対2かあ……………母さまと人形を相手にした指南はトラウ…………良い思い出だ。
並ぶオークへ正面から走り出す。2体がそれぞれ攻撃を繰り出してくるが、どちらも避け、剣を一本ずつオークの喉に突き立てる。
2体がくぐもった呻き声を上げながら後ろに倒れる。それぞれ心臓を突いてトドメをさす。
僕の相手は残り3体となる。内1体は体長180センチほどとでかい。どこぞの冒険者から奪ったのであろう大きな斧を担いでおり、他とは一線を画した存在感を醸し出している。
前の2体が棍棒を叩きつけようと振り下ろす。バックステップで一度距離をとり、風魔術を纏って一気に間隔を詰める。2体は僕が懐に飛び込んだ事をまだ認識出来ていない。下から斬り上げ、返す刃で首筋を切り裂く。
――――これであと1体――。
大斧を持つオークに向き合う。
思い切り踏み込み正面から斬りつける。が、斧に防がれ、そのまま薙払われて後ろに弾き飛ばされる。
……ヤバい、正面きってやり合うと一撃が重いからキツい。
もう少し後ろに下がって距離をとり、火魔術の弾丸を放つ。着弾――――寸前に、大斧を盾にして防がれる。
「んなっ!?」
一瞬の反応もさることながら、あの火魔術を防ぐ大斧の耐久力もなかなかの物だ。
―――仕方ない。
剣を一旦地面に突き刺し、手を胸の前でパン、と合わせて地面につける。オークの周囲を岩壁が覆い、一時的に動きを封じる。
「ブオォォォォォォォオ!!!!!!」
うなり声を上げながら、内側から壁を叩くオーク。壁に少しずつ罅が入っていく。………もって10秒ってところか。
そのうちに火魔術を発動させ、手のひらに魔力を集めていく。
魔力を収束させていく。範囲を広くするのではなく、密度の高い魔力を込めた一撃を。
魔力を放出し、圧縮する。炎の輝きが強くなり、途端に色が青く変わった。
岩壁を壊して出てきたオークに向けて、青の炎を放つ―――。
バン、という音がしたかと思うと、オークの腹には穴が空いていた。
地面に膝をつくオーク。立ち上がろうとするも、力が入らない様子だ。
剣を取りオークの前まで歩き、スッ、と首筋を斬りつける。呻き、血飛沫を上げながら、オークはゆっくりと倒れた。
息を吐いてリーナの方を見ると、彼女は3体の敵を相手取っていた。
あ―――危ない………!!
「伏せろ!!!」
いつの間にか後ろを取られていたリーナに、敵の棍棒が迫る。声に反応した彼女が咄嗟にしゃがみ、間一髪で攻撃を避ける。
僕もそちらに向かい、オークの討伐を進めた。
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辺りにはオークだったものの残骸が散乱している。
おつかれ、と声を掛けると、リーナを少し息を切らしながら「ごめん、ちょっと手間取った」と返してきた。
「こういう時は謝るんじゃなくて礼を言うべきじゃないかな?」
そう言うと、リーナは微笑みながら
「そうね。さっきは危なかったよ、ありがと」
と言った。
「うん。………って、この惨状どうする……??」
辺り一面血の海と言って良い状況だ。
「そのうちに別の魔物が来てきれいにしていくわよ。とりあえず部位を取って行こうか?」
そう言って専用のナイフを取り出して、牙を取り、もも肉を取り…………って、だいぶグロい。………もしかしてその肉食べるつもりなのかな…?一応人型ですよ……?
20分ほどして、全てのオークから部位を取り終わる………頃には全身血塗れだった。
「これはあんまりだよなあ……リーナ、清めるからそこでじっとしてて」
「え……?清めるって…何する気………?」
身を硬くするリーナに、光魔術をかける。これはどんな汚れでも取り除ける便利魔術だ。
みるみるうちに血が消えていく。リーナが終わったら自分にもかける。
「あ………ありがとう…。」
「よし、さっぱりしたね。じゃあ行こうか?」
王都への道を再び歩き始めた。




