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第8話 リンコマ到着

ああ、4000文字書いたのって初めてかも……まあ、話の最後の方、だいぶ割愛してるんですけどね……。



家を出て1時間半。走り通しで流石に疲れてきた僕は、この辺りで少し休憩しようと思い、走るのを止めて歩き出した。


「ふぅ………風魔術纏ってたからもうだいぶ来たし、ここからは少し歩こうかな」


呟きながら水筒を空け、水を飲む。


そこから歩くこと約30分。辺りに木が増え始め、道の両側には10メートルほどの木も見られるようになってきた。


「ん……そろそろ森なのかな…?」


そろそろ魔物への警戒をする必要があると思いながら、緩やかな坂を登っていく。



「あ、ここからが森か。」


坂を登り終えて少し歩くと、森の境目で道が途絶えている。


70キロか……さっさと抜けた方が得策だろう。風魔術使うか。

風魔術を纏って走れば、時速にして5、60キロほどは(多分)出る。………ここまで急ぐのは決してやや暗い森が怖いというかそういうあれじゃない。決して違う。断じて違う。に、逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ………




とりあえずお遊びは終了して、早速風魔術を発動し、森に分け入った。



森は高い木々に覆われ、日の光が閉ざされて鬱蒼としている。スキル:索敵(気配察知がグレードアップした)を発動し、辺りに注意を配りつつ、生い茂る植物の間を駆ける。


5分ほど走っていたら、索敵に引っかかるものがあった。右前方から何かが迫って来ている。こちらを目指してまっすぐ向かってきているので恐らく魔物だろう。


双剣を鞘から抜き、臨戦態勢に入るために立ち止まる。





ギイィィィイッッ!!!!!




叫び声と共に魔物が現れる。



狂犬を思わせるような見た目で、右手には棍棒を持っている。索敵にもこの一体しか引っかからないので、はぐれなのかそもそも単独で行動しているかだろう。


「コボルトかー。まあ一体ならすぐ終わるよねー」


独り言を言っている間に距離を詰めてくるコボルト。


振り下ろしてくる棍棒を避け、まるで鼻歌交じりに首筋を双剣で裂く。


血を吹き上げ、コボルトが倒れる。十数秒後に索敵の反応から消えたところをみると、絶命したようだ。


(コボルトなんて母さまには遠く及ばないな)


そんなことを考えるが、そもそも比べる事がおかしいと気付き苦笑する。


双剣の血をその辺りの葉になすりつけ、再び走り出した。





15分ほど走っただろうか。少しずつ木の数が少なくなり、日の光が射し込んでくるようになった。もうそろそろ出られるだろうか、そう思っていると眼前が一際明るくなった。



(出口……意外と早かったな)


魔物との戦闘も一度っきりだったし、ここは割と初級者向けなのだろうか?


明るさに目を慣らし、坂になっている前方を見る。眼下に見下ろすものは『街』だった。



「え………………もしかして………」



まさか。



「1日足らずで100キロ走り切っちゃったよ……?」




∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵





坂を降りると街の城壁があり、門の前には鎧を着込んだ門番が左右に2人立っていた。


「すみませーん」


声を掛けると、左側の兵士がこちらを向いて言った。


「リンコマにようこそ。身分証は持っているかい?」


「いえ、ないです。どうすればいいでしょうか?」


「あー……君は冒険者志望だったりするのか?」


「あ、はい、そうです」


「そうか、では仮証を発行するのでこの書類に記入してくれ」


兵士が書類を持ってくる。いくつかの欄に記入して渡す。


「よし、ではこの仮証を持ってギルドに行って登録を済ませてくれ。簡単な地図を渡しておこう」


兵士から地図を受け取る。


「わざわざありがとうございます。お仕事頑張って下さい」


僕は一礼してその場を去った。


兵士たちが『あの子可愛かったなぁ』『ああ、やる気出てきた!』なんて会話をしていることには気付かずに。





∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵





街の中央部にある役所のやや北側にギルドは建っていた。建物の上部には剣と盾を組み合わせたエンブレムが付いている。


戸を開けて中に入ると、そこにはむさ苦しいおっさんや筋肉ダルマが沢山いた。もちろん女性もいることはいるが、比率的にそちらが強く際立っていた。さっきからこっちをジロジロ見てる気がするのは気のせいということにしておこう。


早速受付まで歩を進める。


「リンコマギルドへようこそ。本日はどういったご用件でしょうか?」


ギルドへの登録をお願いします、と言って仮証を提出する。


「ギルドへの登録ですね。ではこちらにご記入をお願いいたします」


書類を渡される。氏名・年齢・性別・出身地・種族・戦型 と、6つの欄に記入していく。ちなみに戦型は『双剣』としておいた。


「はい、確認しました。入力しますので少々お待ちを……はい。では次にこの上に手を置いて下さい」


魔道具のようなものを出してきたので、言われた通りその上へ手を置く。


「こちらは魔力による個人識別になります。……はい、どうぞ、ギルドカードです」


「ありがとうございます」


銅色のカードを渡される。表面にはGの表示。


「ギルドカードは身分証の代わりにもなりますので無くさないようにして下さい。カード表面の字は現在のランクです。ランクはSS・S・A・B・C・D・E・F・G の9つ。頑張って高ランクを目指して下さいね?その他の決まりなどはこちらの冊子に記載されていますのでご確認下さい。何か質問等ございますか?」


「いえ、特にありません。ありがとうございます」


「左様でございますか。では、またのご利用をお待ちしております」


礼を返して受付から離れる。ちょっとここの中を探索していこうと辺りを見回していると、野太い声がした。


「おい、嬢ちゃん」


……ん?なんだろう。そう思って声した方をちらりと見てみる。


下品な笑いを浮かべた、数人の不良らしき男がこちらを見ていた。




……………え………??まさか。僕を女の子だと………思ってる………??




男達の先頭に立つ男がニヤニヤと笑いながら再び口を開く。


「なあ嬢ちゃん、ボウッとしてどうしたよ?まあいい、これから俺達と遊びに行かねえかぁ?楽しいことしようぜぇ?」


気持ちいい事もな!!と取り巻きが言って、外種な笑い声を上げる。


………嬢ちゃん。……僕を女の子だと。そう思って、そして侮ってるのか。……へえ、それなら相応に相手しないとね……??こういう害悪になる奴らは始末しなきゃ。


腰に下げる剣に手を掛けようと―――



―――した瞬間、腕を引っ張られた。


「逃げるわよ!!!」と怒鳴り声がする。


僕は腕を引かれるままギルドを飛び出した。


『待ちやがれテメェ!!!』『ぶっ殺す!!』なんて台詞が聞こえるが、男達との距離はどんどん開いていく。


男達の姿が見えなくなった頃、僕と僕の手を引いていた人が止まった。


「ハア………ハァ………ここまで来れば……安心……ね……あなた、大丈夫?」


手を引いていたのは少女だった。金髪でショートヘア、いかにも冒険者っぽい恰好をしているが、年齢は大体同じといったところだろう。


「うん、大丈夫。ありがとう」


あのままだと怒りのあまりサックリやってたかもしれない。………街に来て早々に犯罪者になるところだった…。


「ハァ……ハァ………あなた、全然……息…切らしてないわね……体力あるのね…。」


「それほどでも。それより、あの連中って危ないの?」


「ハァ………ハ……ふぅ……そうね、全員Cランクらしいから、まともにやり合ったらヤバいわね。…それにしても……こんないたいけな少女を狙うなんて………冒険者の風上にも置けない奴ら…」


…………え……?


「しょ、少女………?」


「え?ええ、少女」


指を差される。






……



「…はあ……。………僕は男だよ………」



「え?え……………えええええええっっっ!!?」





∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵





「ごめんなさい……あんなところで大声出して……」


彼女が大声を出して、周囲の人々が何事かと集まりだしたのでその場から逃げ出し、今は2人で近くのカフェにいる。


「いや……もういいよ………。ところで名前は?」


「あ、あたしはリーナ、リーナ・フルスト、15歳。あなたは?」


「僕はリュー・ベテルギル。歳は14。今年15になるから同い年かな?」


「そうね。そ、それで……あなた本当に男なのよね…!?冗談じゃないよね…!?」


真剣な顔で迫ってくる。


「う、うん、そうだよ。ほら」


ギルドカードの裏には氏名・年齢・性別が書かれているので、それを見せる。


「ホントだ………ありえない……こんな可愛いのに……男……」


そう言いつつリーナが頬を両手で挟んでくる。か、顔が……近い……うわ………あ……この子……眼が大きくて……まつげが長い……じゃなくて。


「……ちょ………近………離れ…て……」


あんまり耐性強くもないんだよ。


「あっ……ご、ごめん!!」


「うん…………あ、と、とりあえず、何か頼もうか…?」


「そ、そうだね」


もう昼時だったので昼食を注文する。


「あ、えっと……改めて、さっきはありがとう」


「ううん、いいの。………結局意味なかったし」


「あ、いや……もう少しで武器抜いてたからさ……」


「え!?何危ないことしようとしてるのよ!?相手はCランク、駆け出しのGランクがかなう相手じゃないわよ!?」



んー…多分母さまよりは弱いけど、あれだけ数がいたし………確かに無傷は難しかったかも……って、捕まるわ。


「うん、お陰で助かった。」


「……まあ、逃げれてよかったけど……そういえば、リューくんはこの街に来たばっかりなの?」


僕の大荷物に目を向けながらリーナが言う。


「あ、呼び捨てでいいよ。そうだね、さっき到着したばっかりなんだよ」


「わ、わかった、呼び捨てね。呼び捨て…。そっか、着いたばっかりなんだ。それじゃあ、この街を少し案内してあげようか?」


なんともありがたい提案。


「え?いいの?」


「うん。私も他の場所から来たクチだけど、少しは分かるし。……それに、さっきの奴らと出くわしたら危ないしね。」


「そっか、ありがとう。お言葉に甘えるね?」


ここで注文の品が来た。リーナはパンにスープとベーコンエッグ、僕はスパゲティ(らしきもの)。



食べながら僕は考えていた。リーナの頼んだ物って朝食みたいだよな、と。





∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵





昼食後、半日かけて街中を案内してもらった。因みに、話しているうちにリーナがEランクである事が分かった。


夕方になると、宿を紹介された。というか連れて行かれた。なんでもリーナも泊まる宿屋だということで、人を紹介すると割引をしてもらえて安くなるため誘った、とのことだった。


割り当てられた部屋に入り荷物を置くと、急に眠くなってきた。


2時間くらい継続的に魔術を使っていたし走りもしたので、あまり自覚は無かったが流石に疲れが溜まっているようだ。


何かの縁だからということで、明日はリーナとクエストを請ける約束を取り付けた。頑張らないとな、と思いながらも段々と瞼は重くなり、そのうち意識を手放した。

次話、初クエストでーす。


修正、もとい改稿をしました。

話の流れには影響しませんが多少変更しています。

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