四夜
俺は悪くない!!………と思う……多分。
嵐のようにやって来て嵐のように去っていった絶世の美女。
一体何なんだよ。
ありとあらゆる有り得ない事が起きて、此処まで来たらもう龍や空とぶ豚が出てこようが驚かない気がする……多分。
「つうか、ここ何処なんだよ。」
扉をくぐれば別世界。
今まで生きてきた世界とは全然違うのに何処か何て分かるわけねぇよな。
はぁ、と俺は一つ溜め息をついてから、再び天井のステンドグラスに目をやった。
「やっぱスゲー綺麗…」
光に合わせて踊る七色。
荘厳で、温かく、優しくて、懐かしい色。
そんな不思議な色は静寂に良く映えて、俺に改めて其所が『特別な場所』だと伝えてきた。
「とりあえず、出口探そ。」
何時までも其処に居るわけにもいかないから、俺は出口を探すべくその場から離れた。
先ずは先程から気になっていた白い像の後ろの赤いドアへ―…。
見た目は、古いヨーロッパ風の木彫のドア。重厚で、なんだか凝った紋様のドアだった。
造りは2枚扉の開く式のヤツで、取っ手は回すのじゃなくて、ぐっと下に押す式。
中々洒落てる。
近づいて、実際に手で触れてみると、ひんやりとした木の感触。
うん、悪くはない。
ドアノブをゆっくりと押せば、古いドア独特の『ギィー』って音が心地よく響いた。
ゆっくり、ゆっくりとしか開かないドアは、俺をちょっとイラつかせる。
それほど重いわけじゃ無いんだけど、何か引っかかってるのか、スッと開かない。
「だぁー!!もう良い!!」
俺は面倒になって、思い切ってドアに体当たりしてみた。
ドン
「うわぁっ!!」
そしたら意外に簡単に開いたもんだから、俺は勢い余って扉の向へダイブ。
「痛っ〜。」
肘と膝。軽く打って青痣出来てるし。
「何なんだよー!!!」
はい、俺逆ギレ。
だってさ、仕方ないだろ?
自分から此方に来たからって、わけ分かんないもんは分かんないんだもん。
でもこの気持ちをぶつける場所なし。
と、言うわけで俺は柔らかそうな草の生えてる大地に向かって拳を振り上げ―…
……?
草?
だい―…
!!
「出れた!?」
俺はいつの間にやら本来の『出口探し』という目的を達していた。
投稿が遅くなりすいませんでした。