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聞いてくれ

作者:

頑張りました

まとまりがありませんが

最後まで読んで頂けると光栄です


こんな考えあるある

と思った人には是非読んで貰いたいです

俺はぶっちゃけ頭がわるい

バカだ

でも政治を語れる

人の考えが理解できる

でもテストの点が悪かったら世間ではバカ

別にこのシステムが悪いとは思ってはいない、

中学生ってのは与えられた課題に昼夜努力し取り組みその成果を見せる職業だから、

間違っちゃいない

でも俺たちの人生って

高校行ってバイトしたり部活やって汗流したり涙したりする

そんで良い大学行くなり就職するなりしてまた汗流す

そしたら彼女作って家族から離れて一人暮らしして結婚して子供作って老後を過ごす

人生のテキストもマニュアルも無いのにこんなに予想出来てしまう

これがありふれた人生なんだ

俺達がいくら頭が良くても世界はかえられない

いくら

バカでも人類は生き続ける

そんな世の中で目標決めてそこに向かって必死に頑張ったとこでなにが残るんだろう?

あるのは中途半端な正義感と

よくわかんない自分ていう存在だけ


…なんて事を毎日思ってる

でも誰かに話した事は一度もない

俺はこんな事が言える立場じゃないし

真剣に聞いてくれる人なんて周りにいない…

この状況に満足する訳じゃないが

死にたい訳でもない

こんな事を考え始めると

生きてるってなんだ?

と思い始めキリがないので大抵は別の事を考える

だがやはり俺はこれを言い訳にして逃げてるのだろう

勉強からも

人付き合いからも

世間からも

社会からも…

いっそのこと死んだらどれだけ楽なんだろうか

この世界からいなくなったらどれだけ楽なんだろうか

俺がいなくなったら

誰か悲しむのだろうか

誰か俺の為に涙を流してくれるのだろうか


聞いてくれないか?

俺の心の叫びを

聞いてくれないか?

俺だけの気持ちを


あぁそういやすこし前こんな事を言う奴がいた

人間が嫌いなんていう奴はどうかしてる


うるせぇ

メディアに汚染され片寄った意見しか耳に入れず

なんも内容の無い歌を聞き満足してるお前にそんな事を言う資格は無い

だがこうやって人より上に立とうとする俺にもこんな事を言う資格は無いのかもしれない

考えれば考えるほどひとりじゃ辛くなる

共感なんていらない

同情なんて望んじゃいない

だから話す必要なんてない

ここらにいるホームレスと同じだ、

時間が過ぎいくつになったところで自分の意見など世間には通じない

中学生くらいの若いホームレスがこちらを睨みつけてやがる

ここでアイツが殺されたって誰も気にかけないだろう

俺もそうなのかな…

誰も気にかけてくれやしないのかな

と周りの目を気にして自分で勝手に理由をつけて逃げてる

自分の意見からすらも逃げてる

虚しい

虚しい

虚しい

いくら立派な事を言っても俺はずっっっと逃げ続けてる

全てから


聞いてくれ

俺の声を

聞いてくれ

俺の叫びを


「キミ。」

小柄な…20前後だろうか?やけに高い声、服装は整ったスーツだ…

そんな男が話しかけてきた

「なんスか?。」

俺は後ろからこちらに近づいてくる男に返事をした

「いや、すごい顔が青かったから、体調でも悪いのかと思ってさ。」

それは俺が考え事をするときのクセ…というか特徴?だ

こんな風に話しかけられるのも何度目だろうか

そういう時は大抵

「大丈夫です、御心配をおかけしたならスミマセン。」

と、言う

「そうか、キミ中学生だよね?、その服装、」

なんだコイツ、図々しいな

「はい。」控えめに答えた

「僕こういう者なんだけどさ。」名刺を差し出してきた、

「児童保護施設 宮田みやた 幸二こうじ

とあった

「悩みがあるなら裏に連絡先もあるからさ。」男はニコッと笑う、尖ったヤい歯が唇からはみ出る

「はぁ、そうですか。」興味のなさそうにうっすら返事をする

「やっぱり元気がないね?、キミ名前は?」マジで図々しいぞコイツ

「名前なんて聞い…。」 てどうするんですか?、と言おうとした途端

「お~い、し~ん」誰だ?遠くから俺の名を呼びやがって

手を振ってくるうるせぇ男…、知人だった、

「おい、しん、誰だ?このオジサン。」息を切らしながら走ってきた俺の友達…違うなクラスメート「葛野宮かつのみや しょう」だ

「オジサンじゃない、宮田です。」少し怒ったような宮田を横目で見ながら

俺は葛野宮に今さっき貰った名刺を渡す

「へぇ~」

アホみたいに葛野宮が納得したような声を漏らす

「キミ、しんて名前なんだ」

馴れ馴れしい男が言った

「違います、新は名字です。」冷たく言う

「あ、そうなの?、名前は?。」しつこいな、知ってどうするんだ!?

「つかさ、宰です。」

男はまた微笑んだ

「新 宰か、良い名前だ。」いや、俺は大嫌いな名前だ

「そうですか、ありがとうございます。」心もない、社交的答えを返した

「なぁなぁ、なんでこんな人と話してたんだ?、だいたいどんな関係だよ?、なぁ答えろって。」と

俺がクラスメートに質問責めにあうのは

名前を教えてすぐ来た電車に乗り

男と別れてからだった…「はぁ。」家に着いてから深いため息をついた

元々学校の帰りで電車を待っていただけなのに、

あの男に会ったせいで、葛野宮に質問責めにあい、そのせいで周りに座っていた人々には変な目でみられた

「ガチャッ。」玄関をあけさらなる不快感が押し寄せる

「クソッ。」

思わずつぶやいた

また親父が荒れたのだろう

飲んで帰ってくるといつもこうだ部屋の物を散らかせるだけ散らかしやがる

唯一の幸せは俺の学校に行ってる間に帰って来て荒らしてすぐ寝るからとばっちりを喰う事はない、そして俺が夜飯を食い終わって部屋に入るくらいに家を出て行く

おかげで会話はめったに無くなった

散らかった部屋の片付けをするのはいつも俺だ

母親は朝俺より早く家を出て俺が学校から帰ってきて2時間後位に帰ってくる

会話はあるが一時間くらいだろう

「はぁ。」溜め息混じりにとりあえず制服を脱ごうとした、

…だが

「おぉ、帰って来たかぁ。」親父が起きてやがった

「おかえり、ただいま。」と二つの挨拶を素っ気なくする

「お前冷たいなぁ、もっと親父を敬えよぉ。」

「あぁ、ごめん、それより睡眠取らなくていいの?」酒臭い、あくまで興味のありそうに聞く

「あぁ?、早く寝ろってか?、今寝ようと思ってたんだよぉ、」わかってんなら早く寝ろよ

「あぁ~、あれだ、電話があったんだよ、お前に、だから起きてたんだよぉ。」ホントか?

「悪いね、誰からだった?。」家にかけてくる位だからあまり親しい人間では無いのだろう

「あぁ~?、女だったなぁ、たしか佐藤?、彼女か?。」バカかコイツ

「いや、ただのクラスメートだ、ありがと。」お礼は忘れない

「おぅ、じゃあなぁ、おやすみぃ。」親父が部屋を出ようとした時…

「なぁ。」と言いかけてやめた「おやすみ。」そう言って

部屋から出て行く親父の背中を尻目に制服のまま片付けを始めた

「はぁ。」そう言って

部屋から出て行く親父の背中を尻目に制服のまま片付けを始めた

一通り片付けが終わってから親父の話を思い出した…

電話があった人物の名は「佐藤さとう かえで」だ

中学では3年間同じクラスなので人数が多い学校だが顔を覚えている、

別にビジュアルは悪くない

…が地味な方で自分から進んで目立つことはしない女だ

だから仲の良い人間も少ないだろう

だからこそ電話を掛け直すべきか迷った、そんな奴が何の用だ?ってのもあったし

あの親父が受け答えしたせいで変に誤解されてるかもしれないと不安だったからだ

だがやはり電話しない訳にはいかない…

不安に思いながら着信履歴を見て番号を入力した

「プルルルルル、プルルル…、ガチャ、はいもしもし?。」佐藤の母親だろうか?やけに明るい女の声だ

「あの、佐藤さんにお電話頂いた新ですけども、佐藤…楓さんはいますか?。」なんとなく名前で呼ぶのはイヤだったが仕方ない

「はい、少々お待ちくださいね。」フフッと笑いながら女の声は遠ざかった

「はい、電話かわりました。」しばらくの沈黙のあと小さな声でこう聞こえた

「お、佐藤さん?、電話してきて何の用?。」優しく、を意識しながらキツくならないように聞いた

「あ、大した用じゃないんだけど、新くんの社会のノートが私の鞄の中にあって…誰かが落ちてた新くんのノートを適当なロッカー、私のに入れたみたい。」

なんだ、そんな事か…

俺はふぅと息をつくと

「わかった、ありがとう、明日学校で貰うから、持っていてくれないかな?。」そう言うとまた小さな声で

「わかった」と聞こえ、電話はきれた…

とりあえず安心した、たかが用か

…まてよ?社会のノートって言ったか?

まずいぞ、アレには俺が書いた調子っパズレで超ブラックな政治評論が書いてある…

あんなの見られたらシャレにならねぇ

頭をかかえた時、「プルルルルルル。」と電話が鳴った

まずいぞ!!

これが佐藤からだったら‥

「プル…ガチャ、もしもし。」と言うと

「あ、宰?。」母親の声だ、すこし安心した

「なに、母さん?。」と聞くと

「今日ちょっと帰りが遅くなるわ、夜ご飯コンビニ弁当ですませてくれる?。」

「わかった。」と短く返した、


宮田


「頼んだよ、宮田クン、じゃ…プツン」

施設にいる子供達の里親探しや

他にも虐待とおぼしき家庭に訪問などをしている

今はホームレスの少年少女に会いに行っている途中だ

元々子供が好きだったから…保育士か学校の先生になりたかったが

あいにく学が足りずどちらにもなれなかった

必死に勉強し

なんとか面接に受かったのがこの仕事だった

ほぼ毎日と言っていい程家無し子に話しかけているせいか

体調の悪そうな子供を見るとつい気になってしまう

ついさっきも歩道で今にも道路に飛び込みそうな中学生に後ろから話しかけてしまったばかりだ…

だいたいこの国はおかしい、朝昼と学校に行き夕夜と塾に通う

親との会話は無くなり子供のストレスは溜まるばかりだろう

脱ゆとりなどと言っているがその先に希望は無いのは目に見えてる

教育方針を決めている大人なんてバカばかりだ、教師を目指した自分が言えることでは無いが…

こんな事を誰かに話した事はない、立場が立場だし、言ったところで仕方がないからだ

「ねぇ、オッサン、俺に用があったんじゃないの?。」忘れてた

「オッサンじゃない、宮田だ。」

「ちょっとちょっと、怒んなよ、宮田サン。」ふと我にかえる

「ごめんごめん、キミここに住んでるよね?、良かったらこの施設にこないかい?。」公園にいる少年に熱心に施設の良さを伝える

「なぁ、いまいち施設ってとこが良いイメージじゃないし、ここで一人で生きている方がしっくりくるんだよね。」確かに中学生くらいまでホームレスを続けてる位だから

最初は集団性を嫌う子がほとんどだ

「なぁ、でもそんな若いうちから学校にも行ってない、仕事につけないじゃいつか野垂れ死にしちゃうよ?」

「食いもんは確かにすくねぇが何よりここで五年も住めてるんだからなんとかなるさ!!」なるはずがない

「いいかい?、キミが思うほど人生は短くないんだ、せめて礼儀くらいは知って貰うからね、明日も来るから名前を教えて。」少年は全力で嫌そうなしかめっ面をすると

「けん、岩代 憲。」

「そうか、いわしろクンだね、いい名前だ。」ニコッと笑うと小柄な自分より背の低い少年に別れを告げた


岩代


「変な奴だぜ。」過ぎ去って行く小柄な背中に向かって

岩代は吐き捨てるように呟いた、

最近は変な奴が多い

さっきも俺がその辺の歩道をブラブラしてたら青い顔した

俺と同い年くらいの制服を着た奴がブツブツとなにか言ってるようだった

ただ一瞬見えたソイツの目は

俺を捨てた親や、俺を見る周りの人間と何ら変わらない、見下した目だった、

「チッ。」思い出すとイライラする

あの目

お前なんか社会に必要ない、腐ったゴミ以下だ

と心で言ってるに違いない

もしくは可哀想、なんて哀れみの目だろうか、

どちらにしろ反吐が出る

好きでこんな生活をしてる訳じゃないのに

ただあの宮田って男…

今までにもあの手の施設勧誘の人間は何人も来たが、アイツは違う目をしていた

本当に子供が好きな…そんな目をしていた、気がする

だが俺は最初は必ず何にでも疑ってかかってく、結果最後には人は裏切る

俺の母親がそうだったように

父親がそうだったように

「クソッタレ。」

なんだかイライラがつのってきた

こんな時は寝るに限る…

今は何時だ?公園の時計に目をやる

8:30か…確かに夏なのに大分暗い、ホントのようだ

「おぅい、岩代。」俺のねぐらの前を通りかかった、俺と同じ職業のオッサンが話しかけてきた

「なに?、山田のオッサン。」山田のオッサン、歳は50くらいか?

聞いたことねぇからわからんが見た感じそんなだ、

俺がホームレスになりたての頃生きてく術を1から教えてくれたいわゆる恩師って人

色んな情報を持ってるから頼りになる

「いやぁな?、この辺で殺人があったらしいぞ?、それも俺たちと同じホームレスが刺されてたんだってよ、まだ犯人は捕まってないらしいぞ。」

物騒だ

「マジか、悪ぃな、山田のオッサン、気ぃつけるよ。」そう言って山田のオッサンは自分の家…いや、ねぐらに戻ってった

気ぃつけるとは言ったものの、いざ襲われたらどうしようもないだろう

それに俺たちは確かに社会のゴミだ

死んだところでまず誰も気にかけはしない

襲われた方が良いのかもしれないな、

こんな世の中からおさらば出来る

誰も俺の声を聞いてくれないこんな世の中

誰も俺を知ろうとしないこんな世の中

「チッ。」また舌打ちをしながらゆっくり俺は目を閉じた



「ふぁぁ。」大きなあくびをした

朝だ

「まずい。」

ギリギリの時間に起きたみたいだ

どうやら昨日片付けた後そのまま疲れて制服のまま寝てしまったらしい

すぐシャワーを浴び歯を磨いて飯を喰わずに家を出た

「行ってきます。」もちろん返答はない

ダッシュで葛野宮と合流しなんとか間に合った

「おい、しん、お前朝飯何喰った?。」くだらない質問をしてくる

「なにも。」短く返すと葛野宮は哀れんだ目で

「だからテンション低くて、顔色悪いんだよ。」と納得したように言う

うるせぇほっとけ

「あぁ、そうか、そうかもな。」中身のない返事をした

「ホント適当だな、あっ、お前知ってるか?。」葛野宮がいつもよりハシャぐ

「なにを?。」「アレだよ、昨日お前の通学路の近くで殺人があったらしいぞ。」物騒だ

「マジか?。」少し食いついてやる

「あぁ、なんでもホームレスが刺されたとか。」ホームレスか、社会に必要ないとはいえ命を奪うのはどうかしてると思う

「本当か?。」

葛野宮は真っ直ぐこっちを見ながら「本当だ、まだ犯人は見つかってねぇって地元ニュースにもなってたぞ。」

どうやらマジらしい、

「なぁ、スリル欲しくねぇか?。」口をついた言葉に自ら驚く

「なに言ってんだ?。」葛野宮はア然とした表情だ

「だから、犯人を捜そうぜ、学校なんてサボっちまおう。」どうせ俺はバカだから行っても行かなくても変わんねぇ

「おいおい、本気で言ってんのか?。」

当然の反応だ、

第一コイツとは行きと帰りが偶然同じになるくらいの大して仲が良いわけではない、

「行くよ。」

「え?。」思わず聞き返した

「行くっつってんだよ、お前犯行があった場所知らねぇだろ、だから行く。」

「うっ、確かに知らねぇ」図星だ

「それに俺もスリルが欲しかったし。」俺が言える事ではないがなかなかはっちゃげた奴だ

「よし、さっそく犯行現場に行くか。」

制服のままいつもの道をそそくさと曲がった


宮田


「はぁ。」もうこんな時間か

昨日は岩代クンの後5、6人をまわったが、どの子も興味がなさそうにしていた

やはりこの仕事は疲れる

いつもの出勤通路の途中にあるコンビニから出た

「ドンッ。」歩いてきた自分と同じくらいの背丈のフードをかぶった奴とぶつかる

「あっ、すいません。」膝をついた相手に手を差し伸べた…

その瞬間顔から血の気がひいていくのを感じた

悟らないようにゆっくり口を開く

「ほ、ホントにすいません、僕、考え事してまして。」

「いえ、こちらこそ。」

それだけ言うと差し伸べた手を無視して立ち上がり

相手は足早にそこを去った

確かに見えたのだ、手を差し伸べた時、懐から赤黒い刃物の柄が

「なんだアイツは。」必死に考える、あの赤黒い色、見たことがある

確か虐待があった家で子供を引き取るときに、

ブクブクにアザで腫れた顔をした子供の服についていたシミの色

間違いない、血だ

追いかけなくては、思いたった時には走り出していた


岩代


「ここか。」野次馬に紛れながら真っ黒に染まった地面を見る

昨日の今日だから犯行現場は立ち入り禁止になっている

昨日眠ったあと深夜に起きてしまった、何故か珍しい殺人事件に興味がわき山田のオッサンに聞きにいったのだ

なんでも殺された人は山田のオッサンと昔からの仲だったらしい

俺も会った事が有るそうだが顔と名前が一致しないのでイマイチ思い出せない

だが話していくうちにだんだんと頬を赤くし目頭を抑えて鼻をすする

そんな顔をした山田のオッサンは見たことがなかった

何の希望もない毎日だが俺の前ではいつも笑っていてくれていた山田のオッサン

そんな顔を思い出した時ふとある考えが頭をよぎった

俺が、犯人を捕まえる


とにかく話を聞き終わった後再びねぐらで横になり

今日現場に行こうと決めた


犯行現場に来たのはいいが手がかりになるモノは無いだろうか

「ん?。」なにか踏んだ

かがんでみる、コレは…

アレだ、俺と同い年くらいの奴らがおんなじ服につけてる金属の塊

とりあえずポケットに閉まった

「クソッ。」他に手がかりは…

なんだ?あのフードの奴

あきらかに怪しいぞ

時間は有り余ってるし追いかけてみる、か


アイツ、コンビニの前で誰かにぶつかった、と思った途端にスピードを上げ始めた

まてよ?あのぶつかったスーツの男…宮田だ

突然真っ青になったかと思ったら奴を追いかけて走り出した

「当たりだ。」

呟きながら俺も走る



「おい、現場に行ったところでなんかあるのか?。」葛野宮に聞く

「お前ここまで来てそれはないだろ、とにかく手がかりを探すんだよ。」もっともだ

「まだ先か?。」

「あぁ、もうちょいだ、そこの角を曲がったら…。」葛野宮の話を遮る

「おい、待て、なんだアイツ?。」指をさした方向には俺達と同じくらいの歳か?

野次馬の中でかがんで怪しい動きをしているボロい服を着た男の子がいる

「アイツが犯人なんじゃねぇの?。」冗談まじりに葛野宮が言う

「見ろ、歩き出したぞ、追いかけるか?。」

葛野宮と目を合わせた

「あぁ、そうした方が良いんじゃないか?。」あまりにも異常な動きだ

「ゆっくり、追いかけよう、見つかって逃げられたら意味ないからな。」

元々意味なんてなかったが…、ここまで来たら警察に通報までやりたいような気がする

やはり俺は毎日に飽き飽きしていたんだろう、毎日毎日くだらない授業を受け、なんの役に立つかもわらからない勉強をして、誰も聞いてくれない考えにふける、最後になにが待っているか、想像するだけ無駄なんだ、

だが今日は違う、亡くなった人には申し訳ないが中々のスリルだ、正直楽しい…

「おい!!、走り出したぞ。」

葛野宮の声に力がこもる

「追いかけよう。」俺もいつもは込めない力を声に込めて喋った


宮田


「追いかけてどうするつもりだ?。」走りながら頭の中で何度も繰り返す

だが目の前を走っているおそらく殺人犯であろう人間を見過ごす訳にはいかない、それにあのぶつかった時の体の重さ…

どうもひっかかる

「おい!!、待て!!。」人気のない路地に逃げ込んだフードの奴に向かって叫ぶ

すると思いもよらない事がおこった、

フードが立ち止まりこちらを向いたのだ、手にあるアレは…包丁か?

「ヤバい。」フード野郎は勢いよくこちらに走ってきて手に持った赤黒い包丁を振り回してきた

「ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい。」どうすりゃ良いんだ?

どうすりゃ良いんだ?

「プルルルルル、プルルルルル。」こんな時に電話かよ!!

それどころではない

逃げねば

死ぬ

死にたくない

死にたくない

まだ死ねない

「うぁぁぁぁ!!。」

やけクソになったとき後ろから叫び声が聞こえた

岩代


「早ぇな。」ダッシュしながら宮田の後ろ姿を必死に追う

どんどん人気の無い道に入っていく

「おい!!、待て!!。」

ん?

宮田の声だ、大分接近したって事か?

角に隠れながら様子を見る

状況がよく見えないがなにかを振り回している

おい、待てアイツが犯人ならあの振り回してんのは包丁!?

ヤバくないか?

このままじゃ宮田死ぬぞ

「クッソッ、宮田逃げろ!!。」聞こえてねぇ、ちくしょうこうなりゃヤケだ

「うぁぁぁぁ!!。」

叫びながら包丁野郎に突っ込んだ

包丁は?落としたか?

「シャッ。」

シャッ?

「いってぇっ…。」

なに?、

「おい!!宮田!!、宮田!!。」

宮田は目を開け絶望的な顔をしている

「かすっただけだよ、それより、見ろ。」指をさしたその先に立っていたのは

右手に包丁を持ったフードがとれた、長い黒髪の…「女、の子?。」中学生だ

「佐藤!!。」後ろから叫び声が聞こえた

佐藤と呼ばれた女は走り去っていく

それを追いかけるように俺が拾った塊と同じ塊をつけた男が走ってった



「おい、新、なんか叫んでんぞ。」よく耳をすます

ここまで追いかけて来たがどんどん人けがなくなっていく道を知っているって事はアイツかなりこの辺に詳しい

「宮田?、宮田って言ってなかったか?。」

小柄な男が頭をよぎる

「おい、昨日の宮田か?。」まさか、だが万が一がある

それにアイツのスピードの上げ方、俺達の存在はバレてないハズなのにどんどん上がった、誰かを追いかけているようだ

「今、宮田さんに電話してみる。」ポケットから昨日貰った名刺を見て携帯で連絡する

「プルルルルル、プルルルルル。」電話の呼び出し音が聞こえる

「出ないぞ。」葛野宮に告げた瞬間

「うぁぁぁぁ!!。」と叫び声が聞こえた

「なんだ?。」さっきまで少年が立っていた場所に立ち様子をうかがう

そこにいたのは何があったかはわからないが

間違いない宮田さんだ

少年をかばうように立っていた

「おい、あれ、怪我してないか?。」

葛野宮に言われて良く見てみる

「ホントだ…、おい!!あれ!!。」そこにはフードをかぶっていた黒髪の女、ビジュアルは悪くない

佐藤だ、右手に包丁を持っている

まてよ?、なんでアイツが刃物なんて…

「佐藤!!。」考えるより早く駆け出した

「待てよ!!、新!!。」

待ってられない

「逃げんな!!、佐藤!!。」大分葛野宮達と離れたころ佐藤が立ち止まった

言ったはいいが相手は包丁を持っている、どうすりゃいい?

考えろ

考えろ考えろ

「待て、佐藤、とりあえずその包丁を置くんだ。」その赤黒くニブい光を放つモノを早く置いてくれ

「なによ!!、アナタなんでこんな所にいるの!?。」

こっちのセリフだ

「お前こそなんでこんな事してるんだ?、昨日電話した時普通だったじゃんか。」疑問はつきない

「アナタのせいよ!!、アナタのせいなのよ!!、私はここで死ぬわ!!、もう生きてたって仕方ないもの!!。」今にも泣きそうな声で包丁を自らに突き立てる

「待て!!、お前が殺人犯だかは知らんがいなくなっていい命なんて無いんだ!!、みんな自分と向き合って生きてるだろ!?。」

かなり心にも無いセリフだ

だがそれを聞いたとたん佐藤は泣き崩れた


宮田


「なんで中学生があんなモノを?」この疑問だけが頭をよぎった

新くんを追いかけた岩代クン

葛野宮クンの話を聞きある程度の事はわかった

「ようするに、君たちは昨日あった殺人事件の犯人と岩代クンを間違えて追ってんだけど、岩代クンは怪しい彼女を追いかける僕を追ってたって事か。」

なんとも紛らわしい話だ

「そういう事ですね、宮田さん怪我は大丈夫ですか?。」葛野宮が心配そうに腕を見下ろす

「あぁ、少し切れただけだ、それより早く警察を呼んで新くん達と合流しよう。」ゆっくり立ち上がる

「はい。」葛野宮が浮かなさそうな顔をしながらいう

「彼女は…あの佐藤って子はクラスメートかい?」葛野宮に渋々聞く

「はい…地味な奴だったけど、こんな事するような奴だとは思いませんでした。」もっともだ

「気の毒だね、さ、急ごう。」

それだけ言うとそそくさと歩き出した


岩代


「おい!!てめぇ!!。」急いで少年を追いかけたかいあった

泣き崩れてる女の近くにある凶器を蹴飛ばし、胸ぐらを掴んで叫ぶ

「なんで、なんで殺した!!、お前の持ってた包丁を見りゃ宮田が一人目じゃないって事はわかるんだよ!!、なんで山田のオッサンを泣かせた!!。」つい感情的になりすぎた

「アイツのせいよ、私は前々からこの世の中に不満を持ってた、そんな時彼のノートを読んだの、自分の意見が肯定されたみたいで嬉しかったわ、それで手始めに一番世の中に必要のないホームレスを殺したの!!、私のせいじゃない、彼のせいよ!!。」俺はとばっちりを食らったようにあ然とする少年を睨みながら

「だからって殺して言い訳無いだろ!!、アンタ逃げてんだよ!!、なにが肯定されたみたいで嬉しかっただ!?、自ら誰かに話した事はあるか?、自ら誰かの声を聞いた事はあるか?、目の前の自分の置かれた現状から逃げるな!!。」ホームレスの俺が言える事ではない

「うわぁぁぁぁん。」また泣き崩れた、



「はぁはぁ、おいアンタ。」俺はボロい服の少年に話しかける

「あ?、んだよ?。」ガラ悪いな

「良いこと言うじゃねぇか。」自分に突き刺さるような痛い言葉ばかりだった

「俺とソイツ…佐藤は似てたんだ、もしかしたら俺が人殺しをしてたかもしれない。」と言うと

「はっ、勘弁してくれ、それよりお前も良いこと言ってたよ。」聞いてたのか、照れるな…

だがあれは、まぁ、そうだな、確かに良い言葉だったかも、思い返して納得する

「なぁ、アンタなんで佐藤を、いや犯人を追ってたんだ?」当然の質問だ

「あぁそれは…アレだ大事な人だったんだ、殺された人が。」多少はしょった感は否めないが俺の理由よりはしっかりしてた

「そうか…、じゃあアンタもしかしてホームレス?。」と聞くと、彼は目を丸くした

「知らなかったのか?、お前俺を蔑んでたよな?。」

?意味がわからない

「何のことだ?」

「昨日の午後、お前顔を真っ青にしながら俺を蔑みの目で見てたじゃないか。」

あの時のホームレスか

「いや、あれは俺の考え事するときのクセ…いや、特徴だ。」俺が苦笑いをするとホームレスも苦笑いで返した

「おい、君たち。」宮田さんだ

「大丈夫なのか?。」泣き崩れてる佐藤を見ながら葛野宮が不安そうに聞く

「あぁ、大丈夫だろう、まだ生きる希望はありそうだ。」ホームレスが冗談まじりに言う

「君たち危ないじゃないか、なんでこんな無茶した!!、大体…。」ガミガミ言う宮田さんが話を一瞬やめ

佐藤に聞く

「なぁ、なんで犯行から一日たった今日もそんなもの持ってたんだ?。」

凶器を指差しながら言った

佐藤は泣ききながらこう答えた

「今日も殺害現場に殺されたホームレスの知人が来るはずと思い殺すつもりだった。」らしい、ホントに恐ろしい事を考える

「そうか。」宮田さんは納得したように呟く

「もう警察は呼んだから、安心しなさい。」宮田さんが言った瞬間、

「ウーウー」とサイレンが聞こえた。


宮田


「なぁ、新くん。」佐藤という少女は連行され

僕達もこれから事情聴取らしい…

「なんですか?。」昨日とは少し違う、力強い声のような気がした、

「彼女は…誰にも自分の思いが聞いてもらえず勉強という強い波に流され、殺人をおかしてしまったのなら、その責任は彼女の友達だけでなく、我々大人にもある気がするんだ。」目の前の中学生に自分の思いを告げた

岩代クンや新クンの言葉が無かったら

もしかしたら彼女は一生大人や周りの人を恨んでたのかもしれない

「君たちみたいな強い子供がいてくれてよかった、僕も見習わなきゃな。」と言うと彼等は笑った

「宮田のオッサン、施設に入れてくれよ、俺は一人じゃ生きてけねぇから集団性?だっけか?、教えてくれ。」すると

「宮田さん、僕も強くないですよ、実際自分で言ってて矛盾する事だらけでした、これからも相談があったら電話するんで、よろしくお願いします。」

僕はニコッと笑い、ヤい歯を見せると 「あぁ、もちろんだよ、二人とも。」

と言いパトカーに乗った



俺達は一人じゃ生きれない、

大人も子供ももちろんホームレスも

でも一人だと思ってしまう

心からの理解者なんてまだいやしないがいつか出来る

それがどの立場の人間かわわからんがいつか…出来ると信じてる


心の叫びを

聞いてくれる

俺の気持ちを

聞いてくれる

一人じゃないと思わせてくれる

そんな理解者がいつか、いつか現れる

その時まで僕は自ら命を絶たないし

誰かに理解してもらうであろう「自分」という存在を一番理解していられるように

誰かに理解してもらっても恥ずかしくない自分を作り理解したい


もっと聞くよ

俺の叫びを

もっと聞くよ

俺だけの心を


そして余裕があれば誰かの話を聞こう

俺達は一人じゃないから

最期までお読み頂きありがとうございます

初めて書いたのでいまいちかもしれません

皆さんに共感いただけたでしょうか?


自分は3人の中では新に近い気がします

ただやはり理解者はいませんね

まだ物語の途中を生きてます

なんども迷走しますがそのたび助けてくれる人はいるので

これからもその人にすがったりすがって貰って生きていきます

ありがとうございました

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