表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/15

第11話「素材納品と次の一歩」


「これで……たぶん、必要数いったはず!」


梓が革袋を軽く持ち上げる。陽が少し傾き始めた森の中、ふたりは達成感のある表情を交わした。


悠斗も自分の袋の中を確認する。


「十二本ある。梓は?」


「十三本。あわせて二十五本だね。よし、依頼達成!」


「……地味だけど、けっこう大変だったな」


「ね。でも、最初の依頼ってそんなもん。お疲れさま、悠斗くん」


梓は笑顔で小さく手を出す。

悠斗は少し照れながら、静かにハイタッチを返した。



ギルドに戻ると、受付の女性が明るく出迎える。


「お帰りなさい、梓さん。シュリ草の件ですね」


「はい、こちらです」


袋を渡すと、受付の女性は慣れた手つきで中身を確認する。


「ええ、確かに。必要数ちょうどですね。おふたりとも、お疲れさまでした」


そう言った彼女は、ふと悠斗に視線を向けたが、あえて話しかけることはなかった。

ただ、梓の方へ小声でささやく。


「……新人さん、なかなか優秀ね。素材の並びもきれいだったし」


梓はくすりと笑い、囁き返す。


「でしょ? 意外と真面目なんだよ」


そのやりとりを聞いていなかった悠斗は、きょとんとした顔で周囲を見回していた。



報酬を受け取ってギルドを出たとき、夕焼けの光が石畳に長く影を落としていた。


「……ふぅ、なんとか終わったな」


「うん、いいスタートだったよ。ちゃんと依頼達成できたし」


梓はポーチを腰にしまいながら、ふっと笑った。


「これで、パーティーとしても一歩前進って感じだね」


「正式に組んでから、最初の仕事だったもんな」


悠斗は空を見上げて小さく呟いた。

自分が“誰かと一緒に”何かをやり遂げたことに、微かに胸が熱くなる。


「……これからも、よろしく頼むな」


「こちらこそ、よろしく。悠斗くん。あっ」


梓がふと視線を前方に向ける。


「あの子、また来てる」


街角の石の上で、黒猫——クロノがちょこんと座っていた。

まるでここが自分の居場所だと言わんばかりに、堂々とした佇まい。


悠斗の足が自然と近づく。


「……お前ももう、俺たちの相棒ってことでいいのか?」


言葉には答えないが、クロノはまっすぐに悠斗の目を見つめていた。


(ああ……なんか、悪くない)


悠斗は静かに、猫の背を撫でた。

その手に、ほんの少しだけ——未来への実感が灯る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ