【プロットタイプ】先師の苦悩
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。
これは読者様の問題ではなく、私の問題。
詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。
注意事項2
教える側の悩みって多分皆一緒。
自分が教えた事で、成長出来なかったら、なんのために自分は此処にいるんだろう。
誰かを傷付ける様な皮肉の様で、全部自虐なんですよ。
諭羅って。
今回はそんな諭羅に近い瑠衣の話。
才能のある生徒には才能のある教師を。その生徒の能力を決して潰さず、枯らさず、伸ばせる者を。そう考えるとやはり、指導者には向いていないと思っている。
羈梩の面倒を見る様になってから早数ヶ月。着実に進歩している。恐らく、俺が与えた課題以外にも、自分なりに考えて物を作っているのだろう。
だからこそ、不安になる。このまま俺の元へいて、教えを与えるだけで良いのかと。其れこそ自分の何かを削ってでも、何かしら飛躍的に伸ばせる輩に預けた方が良いのではないかと。
「嫌なら辞めろ」
俺にも決定権がある様、お前にも決定権がある。少しでも用無しと思ったら、迷わず切って良い。得られる物がないと感じたら即刻捨てろ。其れこそお前の兄の様に。
これが最初に約束した事だった。其れでも彼奴は何処までも噛み付いて来る。
「辞めません」
「指導者に求められるものって言うのは、教え子の才を伸ばせる能力だけ。其れが出来ない奴は指導者や教師を名乗るな。とは彼奴見てると思うもんだな」
久し振りに会った瑠衣は少し草臥れた様な顔をして、煙でも逃す様に長く息を吐き出した。その振る舞いに哀愁を感じ、思わず口を閉ざす。
瑠衣の精神は屈強である。周りが何と言われても自分がしたい様にする。其れはウケない純文学を諦める事無く書き続けたり、マネキンを持ち歩く事からも分かる。
ただ自分の覚悟が決まってないところでは、相応に悩みや揺れはある様で、たまにこうやって黄昏ている。
悩んで、いるのかも知れない。私の妹が想像した以上に馬力を付けている事に。そして其れを今以上に伸ばせる能力が今の自分に無い事を。
教える側が何時も抱える不安と言うのは何時も一緒。このままでは相手の才を枯らしてしまうのではないか、という不安である。
「皮肉かい? 私に対しての。自分に対しての」
私も通った道だった。それ故に、今の皮肉がよく分かる。
「まぁ、そうだな。誰かを皮肉りいたぶって居るようで、本当は徹底した自虐。お前が大好きな構文を真似た」
そうして此方を見る。瑠衣にとっては珍しく瞳が揺れていた。
「今の俺は、お前だからな」
瑠衣の教える時の口癖。
「嫌なら辞めろ」
これ振りじゃなくてガチの本心。
キツくて辞めるなら辞めて良い。
でもそれ以前に『此奴使えねぇ』と思ったら切って良い。俺を見捨てて構わない。
という事。
諭羅がそうして来たように。
諭羅って子供の時から大人だと思います。
優等生だから、どういう風にすれば教師に好かれるか知ってる。
でもたまに少しだけ間違えて、他の子よりも酷く叱られてそう。
それ以来『あぁ此奴らは“優等生の自分”が好きなだけで、それ以外は認めない奴なんだな。私のこと、どうでも良いんだな』
『そんな生徒を見てない人に、何を教わるっていうの? 才能伸ばせるっていうの?』
と考えているんです。
だから基本的に心閉ざしてるし、人を見くびってる。
そうして自分が教える側に立ったとき、自分の担任とか教師の姿と自分を重ねてます。
『これ以上やっても、この子の才能伸ばせない。だったら退くのが最適だろう』って。
教師に求められるのってただ一つ。
生徒の才能やら能力を今以上に伸ばせるか。良くさせるか。其れが出来ない奴は教師名乗んじゃねぇ。
これ、先生を中傷している様で、自分に向かって言ってるんですよ。
『もうこれ以上のものを与えられない。才を伸ばしてあげられない。
だから私もあの時の先生と同じ。教師を名乗る資格はない』
という意味。
そんな瑠衣の境遇が、諭羅の思考、擦れた性格と重なった。だから『お前が大好きな自虐の皮肉だ』って言ってるんです。
だから馬力着いて来た子の、与え続ける側、教え続ける側って大変なんですよ。
自分能力以上に物を見ちゃうから、持て余しちゃうんですよ。
だったら潔く退いて、他の適任に渡した方が良いんじゃない?
という二人の考え。




