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29 大陸の国々は神話の歴史があるのです

ミッドガルドは大陸の中でも最も古い歴史を誇る国である。

天上より降り立った始まりの神が、『ここに人の国を創る』と定めた地がミッドガルドとなった。

その時創られた最初の人がミッドガルドの初代国王と言われている。

だが一人では寂しいだろうと考えた神は、次に国王の番となる女王を誕生させた。

その地がリンゼイとなった。

国王と女王の間には何人もの子が生まれた。

その子らが誰もいない地に住み付き、小国群を作った。


これは大陸に住まう人達が必ず学ぶ大陸の始まりの歴史である。


時が下り、神の意志で創られたミッドガルドとリンゼイは強い力を持つ国となった。

歴史を重ねるうち、力を持つ者はその力をより欲するようになる。

殊にリンゼイは女王が統治する時代は栄えるというジンクスがあった。


但し、リンゼイ王家にはなかなか王女が生まれなかった。


マルガレーテは久しぶりに王家に生まれた女児だった。

ゆえに、将来は女王となるように期待されてた。

女王となるためのそれなりの教育は受けたが、同時に諸外国、殊にミッドガルドにとっては脅威となる存在だった。



早くからリンゼイの王女を狙った刺客がミッドガルドから送られてきていた。

リンゼイ王家はマルガレーテを守るために様々な策を施した。

幼いうちからマルガレーテは毒に慣れる訓練を受ける事になった。

同時に様々な薬物に触れる事になる。

その過程でシルビアに飲ませた薬についても国王から教えられた。


王家に伝わる秘薬。

リンゼイの王家の血筋を守るために始まりの神が女王に伝えたとされる薬だった。

それがあったこそ、連綿と途絶えることなく王家が続いている、とも言われていた。


その秘薬を作ることができるのは、リンゼイ王家の血を引く者だけである。



マルガレーテが15歳で成人する頃、父王が暗殺された。

急遽王位を継いだ兄の王太子は、マルガレーテを国外に逃がして安全を図ろうとした。

そこで打診されたのはシオン国の王太子だったナバールの妃の座。

王太子は年頃も近く、技術の発展した豊かな平和な国の次期国王。


まだ年若く後ろ盾が心許無い新王ベルトランも実績が必要だった。

シオンを直接の傘下に収められるのはミッドガルドとの対立に揺れる国内貴族達にも安寧を齎す。


シオンの方も、大国の庇護を受けられると二つ返事でマルガレーテの輿入れが決まった。


かくしてマルガレーテはリンゼイとシオン両王家の子を為し、リンゼイの血が入らない子が出来る事を阻止して全面的にシオンをリンゼイに取り込むことに成功した。

仮にリンゼイの血が入らない子ができても、リンゼイはその子に対して庇護する道理が無い。

シオンが国ごと庇護されるのか斬り捨てられる道もあるのか、マルガレーテの胸先三寸で全てが決まってしまった。



エヴァンジェリンがマルガレーテを途轍もない賢妃と気付いたのはその為だった。

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