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最悪な玄関

 神代達はエメルに強制的に生き返されたあとにアリンゲと敵対し、何とか撃退した。その後、エメルの後を追い、辿り着いたのは薄汚い路地裏であった。

 俺は薄汚い路地裏に辿り着き、「何にもないじゃん。」と辺りを見渡していると、エメルが「チッチッチッ」と指を振りだした。


「分かってないなぁ神代さんやい。」

「いや、どう見たってただの壁だろ。」

「ふふん、まぁ見てな!」


 エメルのクッソムカつく高慢とした笑顔をし、彼女は壁に手を振れた。すると殺風景な路地裏から扉が現れ、見渡す限りの換気扇が壁一面中に広がっていた。壁の周りには腐ったような苔が大量に貼られており、ここまでがアブノーマルという証明であるように見せていた。


「また扉。」

「そう!ここが私たちの入り口さ!あ、なんか変な運動してる換気扇は気にしないでね。」

「あっそ。」

「折角さ、人が説明したのに酷くない?」

「お前はもう人じゃねぇだろ。」


 彼女の事を構わず路地裏の扉を開くと、沢山の電光が満ち溢れているスラム街のような光景に遭遇した。地面は油まみれでビチャビチャで汚く、ビニールで囲まれた店舗が大量にあったのだ。そこに酔っぱらった奴らに銃を持ち空に発砲してる奴らなどがどんちゃん騒ぎしている。(俺たちの世界と何ら差し支えないな)と目を遠くしていると、、、


「お~い、あんちゃん。見ねえ顔だな!どこから来たんだよ!」


 泥酔しながら銃を持ったグループの一人が酒瓶を持ち上げてこちらを向いて訪ねて来た。


「、、、」

「黙るんじゃねぇよ!俺の酒がぬるくなるだろうが!」


 酔っぱらった男の一人が怒りだし、酒瓶を俺の頭に叩きつける。俺は叩かれた衝撃で「こいつ絶対ぶっ殺す。」となったが少しだけ猶予をやろうと思い、俺が居てた世界であろう場所の名前を答えた。


「アブノーマル。」


 何の変哲もないように発したこの言葉は、周りの酔っぱらい達も狂ったように騒いだ奴らも覚める勢いでエメルを除いた全員が俺の方に顔を向けた。


「お、お前、、、アブノーマルか、、、」

「あぁ、そうだが。何かあったか。」


 その言葉と共に酒瓶を俺に叩きつけた男が口を震わしながら銃を額に突き付けて来た。同時に俺は左手の骨を鳴らし、拳を唸らせる。


「お、お前らみたいなやつは、ゴミなんだよ、、、!この世界には取ってはゴキブリみたいな存在なんだよ!」


 俺はその言葉より動作にイラついていた為、「そうか。」と下顎を掴んで引き抜く。銃を突きつけた男は「、、、!!」と声すら発せない様子で油まみれの地面にゴキブリが殺虫スプレーにかけられたように藻掻き倒れて動かなくなった。それを見た周りの連中共も固唾を呑みながら、銃を下ろし、唖然とする。


「やっぱ、アブノーマルの人間は関わってはならないという事は本当なんだな、、、」

「関わるとあんなことになるんだな、、、」

「こいつ怖ぇ、、、素手で兄貴の下顎持っていきやがったぞ、、、」


 俺はそんなヒソヒソと恐怖心を抱いている奴らの事など目にくれず。先程、引き抜いた下顎の歯を全て抜いて唇から頬張る。それを見たエメルが「え、何やってんの!?」みたいな顔をしながら声を荒げた。


「神代!?やめなよ!人間は食べれないよ!」

「こいつは食料だ。」

「いやいや、おかしいよ、、、」


 俺は何も疑問も思いもせず食らいつき、更にはそいつから頭を引き抜いて、目玉を抉り取り、豪快に口に放り込んだ。


「個人的にここが一番おいしい。」

「うぇ、、、おうぇええええ!」

「やめなよ、、、しかも目玉溶けてるきてるし、、、」


 あまりにも無惨な映像に呆然と眺めていた連中に吐き出す奴も出て来た。同時に食べていると何故か死体が溶けだす。あまりにも変な感触であった為、エメルに問いかけた。


「ん、なんで溶けていくんだ。」

「あぁ、これも該当するんだ、、、えーとね、死人は生者を殺した場合は消滅するから、徐々に溶けていくんだよ。」

「ふーん、おえ。」

「、、、っ!?私の前で吐くなぁ!馬鹿ァ!」


 俺は急に溶けだした肉体の触感にあまりにも慣れなく、気味が悪くなり彼女の足元で吐いてしまった。吐瀉物を靴辺りに受けたエメルはヒィ!とした様子でゲロのついてない方の足を上げ、俺の顎を蹴り上げる。


「いってぇな。」

「あのさ、君が悪いからね?これに対して、なんで逆切れするか。ワタシニハワカランヨ。」


 口喧嘩をしていると眺めていた連中が急に「おい!」と銃をこちらに向け、犬の遠吠えのように吠えだした。


「ゴミムシがぁ!ぶっ殺してやる!」

「情緒が無茶苦茶だな。お前たちの兄貴が殺されたのを見て怯えてたのじゃなかったのか。」

「は?兄貴なんて俺にはいねぇよ!」

「訳がわからん。」


 彼らは急になぜか兄貴が死んだことを知らなかったように、、、いや、そもそもいなかったように語り掛けて来たのだ。まるで意味が分からない。すると彼女が目に手を付けて「あー!」みたいなポーズをして説明をする。


「えーと、消えました。君が殺した彼らの兄貴とやらは存在ごと消えました。」

「は?」

「だ~か~らぁ!言ったよね!死人が生者を殺せば。存在ごと消失すんの!」

「聞いてない。じゃあなんで俺たちは覚えてるんだ。」

「知らない!理解力もない!話、聞かない!頭、アブノーマル!」

「ぶっ殺すぞ、お前。」

「こっちの台詞だわ!」


 俺達が馬鹿みたいな事で口喧嘩をしていると男の一人が「ほらほらほらぁ!」っと銃を乱射してきた。それに伴い、他の連中も続いて撃ち出してきて。俺達は近くにあった店の看板の裏に身を隠す。


「ははは、死ね!死ね!死んじまえ!」

「アブノーマルのゴミなんてお呼びじゃないんだよ!」

「このクソカスが撃ち殺してやる!」


 (これでは埒が明かない、暫く身動きが出来ない、さて、どうしようか。)とそう考えていると、エメルが「あのさ、こいつらがどうなろうがどうでもいいよ。」と事態を辟易したのか言って来たので俺は一つの案が過った。それは、、、


(よし、殺すか。)


 俺はその挑発を潔く買って看板を蹴り飛ばし、彼らの元に走り出す。銃弾を浴びつつも何も臆せず向かってくるその姿に連中は恐怖した。


「な、なんで効かねぇんだよ!?来るんじゃねぇ!」

「銃が効いてないの!?」

「いや、違う!当たって肉体は吹き飛んでる!しかし、奴の体がすぐに再生してるんだ!」

「なにそれ反則かよ、、、」


 また俺に恐怖心を持った隙に俺は一人の首を左手で掴んで引き抜き、彼の腹に足蹴りをする。その反動でもう一人の胸部を貫いて、心臓を掴み取り上に引き吊って肩から心臓を取り出す。彼女はそれに関して「いや、身体能力どうなってるんだよ、、、死人になったすぐにあんなの無理だわ。」と開いた口が塞がらない状態であった。


(心臓か、あんま美味しくないんだよな。捨てよ。)

「お、お前、、、なんなんだよお!」


 俺は頭に銃弾を食らい。既にもう血塗れである。しかし、俺は撃たれた方向を見てみるとさっき銃を乱射した男が腰を抜かしながら退きつつ、銃を構えていた。(なんだ、腰抜けか。)と俺は近づいて中腰になって彼の前に立った。


「来るなぁ!来るなぁ!」


 男は俺に銃を発砲しまくり、俺は腹部に風穴が空きまくる。俺はそれに対して怯むことはなく、その男の目玉を手でくり抜き、それを握りつぶした。男は顔を手で覆いかぶさって「痛い!痛い!前が見えない!」と足をじたばたしながら油まみれの床を転がりだした。邪魔ものがいなくなったところで周りを見てみると、さっきの二人はやはり肉体が溶けていた。だが、乱射した男の目はしっかりと血痕が残っていた。これも死んでいない事が関係しているのだろうか。とそんなことを放っておくことにし、油まみれの床をベチャベチャとならしつつ、その場を去ることにした。


 一方、、、

「そういえばさ、次の死人を見つけたよ。この女の子、使えそうじゃない?」

「まだ生きてるではないか。脆弱なリスのような家畜に何が出来るんだ。」

「いいから黙ってみてなって!ここから面白いからさ、、、」

「貴様の考えには理解が及ばん。その家畜、口を震わしておるぞ。始末するか。」

「俺のモルモットに手を出すなよ。」


 どこかの廃墟の中、人影らしきものが二人でチェスをしながら談笑している。連れてこられた黒髪の女の子は口を震わしながらここから今すぐ離れたい気持ちだったが二人の貫禄に恐怖で体が動かなかった。すると、堅物の人影が駒を思いっきりふるい落とし「チェックメイト。」と言った。


「お前の詰みだ。次のアリンゲをダイタスへと向かわせろ。」

「はいはい、分かりましたよ。相変わらず、お堅いねぇ。」

「貴様は飄々とし過ぎだ。」


 堅物の人影は席を外すと同時に一瞬で消え、飄々とした人影はなにやらワープホールのような空間を作り出し「さ、こっちだよ。君には暴れてもらわないとねぇ。」と連れて来た黒髪の女の子をエスコートするかのようにワープホールへと入っていった。


 また視点は変わり、神代へと戻る。

「とりあえず人が行き交う場所に着いたが、、、お前の扉の能力、もう少し飛ぶ場所をどうにかできねぇのか?」

「いやぁ、そう言われましても、、、お!タナトス駅の地下に飛ばされたようだね!ここなら案内しやすい!」

「お前、都合悪いから。話、変えただろ。」

「あー聞こえない!き・こ・え・な・いね!」

「てめぇ。」


 油塗れの電光スラム街の場所から、俺は彼女が言うタナトス駅の地下という人々が多く行き交う場所に辿り着いた。周りを見渡してもたくさんの人が多くいたが、こいつの扉移動にはもう少しどうにかならないものか。しかも、こいつそれについて聞こうとすると耳を塞いで聞こえないふりをしだしたので、とりあえず顔面を蹴っておいた。


「お前、あの場所知らねぇのか。」

「まず、私を殴るのはやめましょう。まぁ、善良な慈悲のある私なので答えておきますね。知らない!扉がランダムに今は行き交うようになってるから仕方ない、仕方なぁいね!」


 エメルは自慢げにウンウンと首を頷く。俺はそれに対し、目を睨ませるように彼女に視点を合わせていた。すると彼女が如何にも煽りそうな顔でこちらを向いて体を揺らしてきた。


「なに、私を見つめてるの、、、あれ、もしかしてさ!私の事、す、、、ぐへぇ!」

「嫌い。」

「直球ストレート!心も痛い!体はクリティカルヒット!」


 俺は彼女の腹部に思いっきりパンチを入れる。すると彼女は蹲りながら倒れた。

 彼女が暫く蹲っていると地下鉄の蛍光が激しく点滅しだす。周りも異変に気付き蛍光灯を見だしてガヤガヤと騒ぎ出す。消灯、点灯、消灯、、、とそれを8回くらい繰り返すと俺たち以外の人々が消え、目の前にハット帽の男が現れた。


「久しぶりクソ緑。と誰、、、?血塗れ君?」

「お、お前は、、、」


 ハット帽の男が彼女に向け手を振って挨拶をすると、彼女は怯えながら後退していく。彼女は唇を震えさせつつ、腰を抜かし動けなくなる。彼女の動作により俺は一瞬で理解した。


(こいつ相当やばい。)


 俺は彼女の手を掴んで走り出す。彼女は「だ、駄目だ。た、戦わないと、、、!」とか言い抜かすが「そんなの言ってる場合か。」と言い返しその場から離れようとする。しかし、、、


「何度も君を逃がす僕じゃないんでね。さすがに鬼ごっこは終わらせたいねぇ!」と急に俺たちの目の前に現れた。一瞬、何が起こったのかわからず。急いで相手の反対方向に後退しだすが、奴の足蹴りを顔に食らい、地面のコンクリートが消し飛ぶ。その衝撃は天井に地面からえぐれたコンクリートの破片が刺さるくらいであり、更に風圧のみで柱が壊れる。


「あれ、これでも少し足を振った程度なんだけどなぁ?」

「、、、」

「反応がないなー。ま、消えて貰うか。」


 ハット帽の男はコンクリートに埋もれた彼らの元に近付いてとどめを刺そうと「そぉら!」っと鍵爪を薙ぎ払うように手でコンクリートの破片を吹き飛ばした。だが、そこに神代たちの姿はなかった。


「逃げるのだけが上手いねぇ。ま、逃げ道はないけど。さぁて、別の目的を済ませるか。」

 ハット帽の男は巨大なワープホールを生み出して、手を突っ込み、先程の女の子を引き吊り出した。


「ここどこですか、、、?」

「はいはい、喋らない。喋らない。死人に口なしと言うでしょう?」

「それ意味、違いま、、!?」

「いいから死んでこっち側に来い。」


 ハット帽の男は女の子の心臓を背中からナイフで突き刺し、殺害する。そして自身の血を捻じ込ませて変なにやけ顔を彼女に向ける。すると、彼女はいきなり苦しみだして目を覚まし狂いながら笑い出す。。


「あぁ、最高!人間の悲鳴をもっともーーっと!聞きたい!聞きたい!聞きたい!」

「やっぱり当たりだったね。うん、帰ろ!あのクソ緑がいたのは大きいねぇ。」


 彼女は体中に無数の笑った口にタイマーが付いた人型の化物に変わり地下鉄から飛び去る。それを見届けたハット帽の男はワープホールの中へと帰っていった。


 その頃、神代とエメルは、、、


「少し蹴った程度で、あんなに衝撃が出るかよ。」

「あいつならあの程度は出来てもおかしくない、、、」


 俺たちは辛うじて衝撃によって飛ばされた瓦礫と共に紛れて、目の前にあるマンホールの中へと入りこむことが出来た。マンホールの中は下水道で気持ち悪い汚水が流れており、そこの隣にある通路を頼りに彼女を担ぎながら自分もヨロヨロになりながら歩く。そういえば彼女は「あいつなら」という何やら奴を知っていそうな口調であったので聞くことにした。


「あいつは誰だ。」

「あいつは楽。私を執拗に追ってきたストーカーみたいなやつ。あれでも上位の部類。下手すると今、全滅しててもおかしくなかった。」


 彼女はまだ足を震わしつつ、汗水をだらだらとしていそうな顔で俺の背中に抱きつく。この時、俺はどう声を掛ければ分からない。どう接すればいいか分からないまま歩んでいると、彼女は背中から降りて浮遊し、地面に手を付ける。


「ちょっと待って、今扉出すから。」

「扉の先はランダムじゃないのか。」

「あ、自宅用なら、、、自前で前から繋げてるから。だいじょーーーーぶ!」

「強がりが目に見えてるぞ。無茶するな。」


 俺は彼女が手を震えながらも扉を取り出したことに気付き、俺は心配して声を掛ける。すると寄り添うようにこっちに近付いて来た。


「あれ、心配してくれるの?あら~?意外とやさ、、、」

「うるさい、さっさと準備しろ。」

「前言撤回。あ、デレですか?気持ち悪いですねぇ。んんっ、、、!?」


 こいつにやっぱ心配する必要なかったわ。と俺は後悔しつつ、彼女の腹部をまた殴った。

 その後、彼女は扉を取り出し俺たちはその中へと入っていった。が、


「悲鳴をもっと!もっと!出してよ!出してよォ!」

「自宅ってここか。えらい街っぽいし、燃えてるし、爆散してるなぁ。お前の自宅。」

「な、わけないじゃん!!ってか、今日一日でどんだけ、アリンゲに遭遇したら気が済むの!?」


 どうやら街の中心区らしき所に飛ばされ、更に幼稚っぽいアリンゲが暴れまわってる真っ最中に出くわすという、、、事前に用意されてたのではないだろうかと疑うレベルの間の悪さであった。


「あ、人間だ!破裂しろぉ!」


 アリンゲはすぐさま俺たちの存在に気付き、手を伸ばして握るような動作をする。すると、体中についている口が笑い出し、ケタケタと笑いだす。それに呼応してか、地面が赤くなり変色もしている。俺は直感的に危険だと感じ、そこから離れる。すると、、、


「えいっと!」


 この声と同時に変色したいくつかの地面が大爆発した。当たらなかったアリンゲは狂いながら笑っていた。狂ってるから笑っているのだろうかと思ったがそれはすぐに撤回された。


「熱い!熱い!」

「おかあさん!返事してよ!おかあさん!」

「体が溶けてい、、、」


 アリンゲが笑っていたのは俺たちの後ろ側にいている逃げ惑っていた人間達であり、彼らが爆殺して跡形もなく消えたり燃えたり溶けていく様子を眺めながら、笑っていたのだった。


「あぁ!楽しい!楽しいよ!」

「お前、いかれてるよ。」

「神代、アリンゲになった奴にもう人間の心なんてないと思った方がいい。てか、君も大概だけどな。」


 アリンゲは笑いながら死んだことに快感を覚えてることにいかれてると感じて、彼女は怪物に人の心はないと言う。するとそれに疑念を感じたのかアリンゲは何か持論を持ち出してきた。


「人間の方が醜い!私はあの人たちに差別された!だから、だから、、、、殺して何が悪いんだ!死ぬべきなのは人間だ!私はそいつらを粛正する正義のヒーローなんだよ!君みたいな悪役は倒すん、、、」

「うるさい、黙れ。」


 俺はその会話に反吐を感じ、一気に距離を詰めて攻める。しかし、間一髪のところで避けられ、また手を握りつぶしだす。すると今度は俺達を囲っていた建物が全て爆発し、俺達は爆風に巻き込まれ、エメルはなんとか上に逃げる。その直後、地面がまた赤くなり俺は爆発をもろに受けてしまった。


「神代!」

「殺す!殺す!殺してやる!」


 彼女が心配し、アリンゲは怒りながら拳を握りながら爆発を起こしまくる。しかし、、、


「爆発で火遊びなんか覚えてんなよ。」

「ヒィ、、、!あっちいけ!」


 俺は爆風の中から飛び出し、勢いよくアリンゲの顔面を殴り飛ばした。

 アリンゲの背後に立っている円形型のビルの真ん中にドゴーンという大きな音を立ててぶつける。それと同時に体中についてた何個かの口が飛び出ていた。


「あっつ。」

「あ、やっぱ熱いんだ。」

「熱いな、そういえば試してみるか。」


 俺は地面に手を突っ込んで何かを探すように手探りを入れる。すると柩のような何かが現れた。


「え、なに?柩?なにこれ。」

「脳裏に声が来て、地面に手、突っ込めって聞こえたんだよ。」

「え、なにそれこわ。」

「まぁ、開けるぞ。」


 柩をこじ開けると、その中には日本刀が入っていた。(なんだ、単なる刀か。)と感じていたがエメルは何かを知ってるように手を唇に当てていた。


「な、なんでその刀があるの。なんで、持てるの?」

「いや、なんだ?この件に関して何か知ってるのか?」

「え?知らないですヨー。でも一言だけいうね、持つなら覚悟しなよ、、、」

「は、なにいって、、、」

「消えろ!」


 その隙にさっきのアリンゲは自分が通る道を全て爆発させて俺ごと爆発させようと近付いて来る。通常であれば絶体絶命だ。さて、どうしたものか。策を考えていると、彼女が「刀を振って。」と真剣な表情で言ってきた。彼女の言うとおりに刀を振ると、、、爆風が台風の風に煽られたように消滅した。


「どうなってるんだ、これ。」

「説明は後!あいつの弱点は、、、っと。あ、あいつ手が弱点!狙って!」

「お前、、、なんでもかんでも唐突なんだよ。」


 俺は刀を思いっきり掴み、相手の元へと駆け出す。目の前で地面を爆発させ近付けさせないようにするが、この刀が一振りしただけで爆風が消し飛び意味をなさない。これには相手も腰を抜かし、逃げようとしてたがそれは問屋が卸さず。アリンゲの手を斬り落とした。


「いやぁ!痛い!痛いよぉ!ママ!パパ!助けてよ!助けてよォ!」


 俺は、彼女が言った通りに左腕を切りそのまま捻り回転を加えて右腕も切り落とす。その素早さは目にも捉えることが不可能な程であった。腕を切り落とすと体中に付いていた口が笑わなくなり、機能を失ったのかアリンゲも人間態に戻る。その姿は小学生くらいの黒髪の女の子であった。


「やだ、、、やめてよ、、、私、死にたくない、、、」

「もうやって神代。ここまで命乞いする奴、見たくない。」

「あっちいって!来ないで!死にたくない、、、!」


 彼女は辟易をし、俺はアリンゲに刀を向ける。だが、人型になったアリンゲの命乞いに、何故か刀を振ることが出来ない。

(慈悲を捨てろ、、、!殺すんだ、、、!刀を振るうだけなんだ、、、!こいつは何人も殺しているからやるしかない!)

 そう戸惑っていると、彼女が走って駆け寄り、腰から銃を取り出して彼女の顔を何発も撃ちまくる。


「い、、、や、、、だ、、、、ママ、、、」


 すると女の子は体が顔から順に膨張して破裂し、消滅した。隠し持っていた銃をスカートの裾の中に入れて俺の胸倉を掴んだ。


「神代、こんな奴らに躊躇う必要なんてない。肉体と記憶だけを引き継いで利用し、殺戮する、、、ただの化物だよ。」

「躊躇ってなんかいな、、」

「躊躇ってないんなら、なんであいつを斬れないの?なんでとどめを刺せないの?」


 俺はその質問に答えられなかった。俺は多分、あいつが斬れなかった。あいつが人間態に戻った際に子供である事に抵抗を覚えたからだ。暫く黙っていると、彼女は俺の胸倉を掴みだした。


「おかしいだろが!!私はお前と違って、あいつらに色んなものを奪われてるんだ!ふざけるな!あいつらに、、、あいつらに!私の仲間は、殺されてるんだよ!」


 っと俺の胸倉辺りで思いっきり服を掴んで叫び、突き放した。俺はその反動で腰を抜かしたような体制になる。すると彼女はさっきの顔とは一変して笑顔となり。「ほんと、あんな奴らなんかに同情なんてしなくていいからね。」と顔を引きつかせながら言ったのであった。

アリンゲになった者は肉体と記憶だけを受け継いで本人の性格を切り捨てるため、もう当の本人はいない。

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