Prologue
__天国とは地獄である…
と、私は思う。
特にここ、天国現世日本支部転生課__略して天世課は。
そこらかしこで死者であるみなさんが騒いでいるのだ。
「だから!何度も言ってるだろう!俺は、〇〇スターズの、✕✕ちゃんに近づきたいんだって!」
「え、え~っと、、私は〇〇くんの側にいたいんですけど、〇〇くんって~~が~~で…。」
左を向けば文句を言う人。
右を向けばマシンガントークを炸裂させる人。
大変うるさい。
天世課の職員、「かみさま」とここで呼ばれる人たちも疲弊しきっている。
「神様」ではない。「かみさま」だ。
神様、と名乗れるのはもっと位の高い偉い人だけだ。
だから、それ以下の職員は全員「かみさま」なのである。
閑話休題。
とてもうるさい。
私は生来気が長いほうではない。
むしろ短いほうだ。
加えて、私は今お腹が空いている。
朝も殆ど食べていないのだ。
時計は14時。
今日はラーメンを食べに行きたい。
塩ラーメンは正義である。
だが、この地獄の中私だけ休憩に向かえば、間違いなく恨まれる。
ならば、どうするのが最適解か。
「なにかお困りでしょうか?」
「(も、森山さぁぁん!!)」
さっさと仕事を終らせる。これが最適解。
「あぁ!あんた、偉い人かい?ちょうどよかった!この人じゃ全然話にならないんだ。」
男の話を聞き、条件を聞き出してからすぐ側の席にいる職員に問う。
「この条件に合う枠ある?」
「はい…あります!」
「わかった。__では、こちらでどうでしょう?」
「おお!ありがとう!」
上機嫌で去っていく男を営業スマイルで見送って、
待合室に誰もいないことを確かめてから窓口を閉める。
「ありがとうございます!森山さん!」
「いいよいいよ。じゃあ、私ちょっと昼休憩行ってくる。」
私の名は森山詩歌。
天国現世日本支部転生課の「かみさま」だ。
~今日の日誌~
お昼に食べた塩ラーメンは美味しかったです。