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初コラボしてみた

 ロケ先近くの駐車場に車を止めて少し歩いた所で三脚にカメラを据えてオープニングの撮影。


「皆さんお疲れ様、超人トビーと」


「レイヤー兼デザイナーのニーナです♪


今日の企画なんですけどトビーの部屋にホワイトデビルのプラモデルが大量に積んであるじゃない?」


「ああ、あるね」


「全く作りもせず日に日に溜まっていくよね?」


「今は動画とかトレーニングが忙しいしさ、それに素組だとホワプラも可愛そうだろ?

時間が出来た時に塗装とか色々学んでから作ろうと思ってたんだよ」


「断言しよう!そんな奴は絶対作らない!!


 と言う事で今日は新進気鋭のモデラーさんにプラモデル製作を学ぶって企画です!」


「マジで!?普通に嬉しい企画なんだけど!」


「どういう意味?」


「ニーナとの撮影ってドッキリか無限に肉喰わすばかりじゃん!


 俺の為になる企画用意してるとは思わなかったよ。

 てっきり中華街近いから肉まんを無限に食べさせられると思ってた(笑)」


「それだったらこんな所で撮影しないよ。

遠いけど後に見えているでしょ?」


「実物大のウォーキングデビルが見えてるけど、まさか行くの?行って見学して限定ホワプラ買ってそれを作るの!?」


「モデラーさんと待ち合わせしてるだけで行きません!

当然ホワプラも買いません!って言うかお部屋にいっぱいあるでしょ?」


「ここまで来て生殺しって酷くない?

ホワプラはいくつあっても良いんだよ!

それにモデラーさんも行きたいと思っいるはずだ」


「その点は大丈夫、ギャラの一つとしてもう行ってもらってるからね」


「マジかよ!」


「アラフォーのオヤジがゴネてないで行くよ!」


「俺に対する愛は無いのかよ!」


「はいはい、私はトビーの子供を産みたいぐらい愛してますよ♪」


「何度もフッた挙げ句土下座しないと駄目なんだろ?」


「うん♪」


「ドSめ……」


 こんな感じでオープニングを取り終え待ち合わせ場所に移動。

 俺は悪目立ちするからと覆面を脱がされサングラスにマスク姿に変更させられる。

 目的地までに何度もホワデビファンに写真撮影を頼まれる奴に言われたくない。

 主に外国人に。


 待ち合わせ場所のバス停の端に二十歳前後の可愛らしい服装をした女のコがいた。


 ニーナが声を掛けて本人確認してから俺の前に連れてきた。


「はじ…」


「挨拶は動画内で良いから!」


「じゃあ覆面を……」


「悪目立ちするって言ったでしょ!?」


「お前にだけは言われたくない」


 俺達の様子を女のコはクスクスしながら見ている。


 人気ひとけのないウォーキングデビルが見える位置に移動するとニーナがカメラマンになって撮影再開する。


「と言う事でトビーのホワプラ指導をしてくれる新進気鋭のモデラーのミコミコさんです」


「マジで!?俺ミコミコさんの動画登録してるよ!

ってか今まで顔出ししてなかったのに登録者0のちゃんねるに出て大丈夫なの?」


 この時点ではちゃんねるを公開してない。


「ご紹介に預かりましたモケジョテレビの『ミコミコちゃんねる』のミコミコです」


 ペコリとお辞儀する。


「初コラボで緊張してますがトビーさんヨロシクお願いします」


「ヨロシクですけど、良いの?アラフォーのオッサンが最初のコラボでさ」


「ニーナさんと打ち合わせして動画の幅を広げるのに良い機会だと思いましたし高校を卒業したので顔出は考えてましたから大丈夫ですよ」


「ニーナはどんな打ち合わせしたんだよ!?」


 ニーナは答えずカメラ前に手で金マークを出す。


「それやめてあげて!ミコミコさんに変なイメージついちゃうから!」


「お二人とも仲がよろしいんですね。恋人同士ですか?」


「違うよ、主人と奴隷だよ♪」


「この場合俺が主人だよな?別にニーナを奴隷扱いしてないけども!」


「トビーは少し黙れ!

コレからミコミコの行きつけの模型店で道具を買いに行くのがコッチの動画でレッスンはミコちゃんの動画で会社でやるからね」


「そういう事なので改めてトビーさんヨロシクお願いします」


 俺が頭を下げた所で撮影を終えて車で模型店へ移動となった。


 俺はミコミコさんが手にする大量のホワプラを羨ましくなりながら持ちますよと言って持ってあげた。


 彼女は少しハニカンでありがとうございますと答えた。


「鈍感野郎が無意識にフラッグ立ててやがる……」


 ニーナがボソッと言ったけど意味不明なのでスルーした。

 ニーナの指示でオープニングの撮影と違うルートで駐車場に向う。


 その途中に楽器店があり店前にピアノが置いてあり『ご自由に使って下さい』と書いてあった。


「トビーなんか演奏してよ♪」


「はぁ?」


「ミコミコも聴きたいよね?」


「聴きたいです!でもトビーさん演奏できるんですか?」


「トビーは超人だから出来なくてもどうにかするよ(笑)」


「無茶振りすぎる……」


 これが狙いでこのルートを選んだなと思いつつ何言っても無駄なので恥を覚悟でピアノ前の椅子に座り演奏する。




ードン、ドン、ドラーン、ドンドンドンー


 世界に誇る日本のゲームメーカーの名作のコングが登場する場面をやってみた。

 振り向くとニーナが意地悪そうに笑ってた。

 ドSめと心の中で呟くと今なら動物愛護協会に怒られてしまう『◯踏んじゃった』を演奏する。

 簡単な曲なのでスグ終わったのでスピードを上げてもう一回。


 最後は好きなシンガーソングライターの『ペイン』って曲を語り弾きしてから演奏を終えた。


 ミコミコさんは素直に感動して拍手してくれたがニーナは俺が演奏出来ると微塵も思ってなかったのか鳩が豆鉄砲を食らったような顔してた。


 モテるかなと密かに習っていたかいがあったなと俺は満足した。


 苦し紛れに「語り弾きは反則」と言ってきたが「ご自由にお使い下さいと書いてあるだろ?」と言い返したら悔しそうな顔してた。


 ニーナざまぁ(笑)

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