挑戦者と家族?
まさかの連日投稿(笑)
勝利し娘達(設定)がリングに上がり祝福してくれる。
喜びを分かち合うとミコから予備の覆面を受け取り被るとリングアナウンサーからマイクを貰う。
「皆さん、お疲れ様です!
只今新ZIPANGヘビー級になりましたトビーです!」
観客から大きな声援と拍手が巻き起こる。
「ジ・エンド!君は強いだから前哨戦から散々おちょくって精神的に揺さぶった!
次に戦う時は……SWW?
何時になるかは分からないけど正々堂々と戦おうぜ!」
若手に方を借りて退場していた彼は振り返りもせず右手を掲げ答えてくれた。
「次に感謝したいのは会場の皆さん!
貴方がたの声援や歓声が無ければ強いチャンピオンには勝てませんでした、力をくれて本当にありがとう!
そして、娘達……家族!
側にいて支えてくれたから結果を出せた、ありがとう!
最後に今日のタイトルマッチを譲ってくれたライオン氏!
この恩をどう返したら、何て言葉を出したら良いかわからないけどThank Youな!」
解説席からリングに上がったライオンと対峙しコメントを語ろうとした瞬間会場が暗くなり音楽が流れる。
曲はウィンドミル、青木いのりのテーマ曲だ。
独自の世界観を守りつつ入場する。
これからの展開を予想して観客のボルテージは一気にMAX!
俺の前に退治すると思われたその時ライオンが遮る。
手にはいつの間にかマイクが握られていた。
「イノリ!オレサマが次期チャレンジャーだと話したよな!?何しに来た!」(英語)
いのり氏はライオンを押し退け俺の前に立つとベルトを指差してから親指で自分を指す。
ライオンはいのり氏の胸をつかれやり返し一触即発の緊張感に包まれる。
「日米リビングレジェンドの二人が俺とやり合いたいみたいだ!
オディエンスの皆様どう思いますか?」
大歓声が起こる。
「俺とライオンの試合見たいですか?」
大歓声!
「いのりさんとの試合見たいですか?」
大歓声!
「同じくらいの支持みたいですね……
ならまとめて伝説と戦ってやるよ!
来月の『EMPEROR』で3ウェイマッチだ!!」
6月に行われる『EMPEROR』は上半期のZIPANGプロレスの集大成的な興行で7月から始まるZIPANG最大のシリーズ『SWW』に向けての重大な布石になる大会。
俺達はしばらく睨み合うといのり氏、ライオンの順でリングから降りる。
翌日、EMPERORでの3ウェイマッチによるタイトル戦が決定する。
次期シリーズがJrヘビー級中心となるシリーズなので前哨戦はライオンが所属するアウトレスリングで行われることが決定し試合は各媒体で無料視聴されることが決定した。
ライオンといのり氏は同盟関係を解消せずそのまま組む事が発表された。
なので俺はアウトのリングでタッグパートナーを探す羽目になった。
急に決まった事なので娘達のスケジュールが合わない(TдT)
俺の知名度は娘達ありきなのでアメリカファンがガッカリさせてしまう。
何か考え無いとイケナイな。
★☆★☆★
米国某所の体育館
そこでは小さな団体が協力したUNION(同盟)の興行が行われていた。
メインイベントはUNIONヘビー級王座で王者は世界一のプロレス団体で活躍経験のあるアラサー。
挑戦者は190cm140kgと恵まれた体格だがチャンスに恵まれない選手だった。
そんな彼がチャンスを掴んだ話を簡単にする。
実家は農家で幼少の頃から家業を手伝っていた。
その過程で身体が鍛えられていた。
ある日体格を見込まれアマレスの団体戦の数合わせで大会に出場する。
一応、基礎を教わったものの簡単に結果は出ず散々な結果に終わる。
だが試合を見ていた元プロレスラーに「君はプロレスラーに向いている、私から学ばないか?」と言われトレーニングを開始する。
実家を手伝いながらトレーニングし20歳で『農家』のリングネームでデビュー。
そこそこの才能と怪我をしない丈夫な身体を利用して昼は農家、夜はレスラーとして長く活動していく。
デビュー直後には幼馴染と結婚し双子の娘を授かる。
時は流れ双子の娘は美しく成長した。
二人は女優になるべくレッスンやオーディションの日々を送っていたが中々チャンスを掴めずにいた。
親バカながら娘の才能はあると信じ、チャンスさえあれば一気に駆け上がると考えていた。
そんな時トビーを知る。
伝説の選手アックス・ボーガンに才能を見込まれ、美しい娘とプロレスラーを目指す姿に感動を覚えた。
動画を見続けていくと同い年だと知り親近感を覚えた。
そしてコレだと思いトビーを参考にした覆面を制作し娘達を引き連れて『ファット・バニー』としてリングに上がる。
コレが大当たりし僅か数ヶ月でタイトルマッチまで駆け上がった。
(トビーのデビューより二ヶ月早く行動した)
勢いは恐ろしいもので初挑戦でタイトル戦を制しUNIONヘビー級を獲得した。
「見たかお前ら!このファット様が新王者だ!!
このベルトの価値を高め日本のウサギと試合するぞ!」
観客はファットがトビーのパクリなのを理解したうえで、もしかしたらと期待を込めて声援を送る。
「そんなに待てないぜ!」
この言葉の後『FAMILY DANCE』が会場に響き渡る。
観客はどよめき入場ゲートに注目するとウサギの覆面にスーツ姿、肩にはZIPANGヘビー級ベルトを掛けたトビーが現れる。
会場は一気にボルテージがあがる。
マイクを受け取りリングに上がる
「皆さん、お疲れ様です!
ZIPANGヘビー級王者のトビーです!」
大歓声
「曲を聞いて娘達と一緒に登場すると思われた方に謝罪する。
今回の渡米は急なことでスケジュール的に娘達は無理だったんだ……期待させてすまない」
観客はそんなこと気にしてないと言うようにトビーコールを送る。
「オイ、ファット!お前は俺と試合したいと言っていたが敵か?家族か?」
「へっ?」
「間抜けな声出してないで質問に答えろ!
敵か?家族か?」
「か、家族……?」
「そうか家族か!
なら俺のお願いを聞いてくれないか?」
「お、お願い?」
「アウトプロレスでこのZIPANGヘビー級の前哨戦が何試合か組まれている。
家族ならタッグパートナーになってくれるよな?
もちろん姪っ子の君達も一緒にだぞ!」
思わぬビッグチャンスに放心しつつもファットは頷いた。
これによりトビーはタッグパートナーと姪っ子を手に入れたのだった。




