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椅子

お待たせしました

 ツアーは順調に消化中。

 遠藤との前哨戦はまだ3試合ながら今の所全勝中。

 最新式の観光バスを貸し切ったので移動中も快適そのもの。


 このツアーは基本的にはタイトルマッチや因縁の前哨戦がメインで構成されている。

 福岡ドームで決着がメインストーリーだが選手の数だけ物語があるし全てドームで決着とは行かないのでシリーズ中の大きな大会でタイトルマッチが行われる。


 ドームのメインでタイトルマッチが控えている俺には関係無い(笑)


 ……と思っていた。


 年に1回ZIPANGプロレスが来るかどうかの地方で事件が起こった。


 その日のメインは遠藤と若手ゴールデンエイジと対戦し俺が若手から勝利するとここ最近のお約束マイクで遠藤をおちょくる場面なのだがマイクを手にすると聞き馴染みのない入場曲が鳴り響き、現れたのはハワイで激闘した『リッチ兄弟』



 リングアナウンサーからマイクを受け取りリングにあがると


「久しぶりだなエンド」


「あー、ボク達は遠藤選手、エンドとチームを組んでいたリッチ兄弟です。

米国インディーで暴れまわっている中で日本語を学びました」


「オレの仇討を口にして随分とナサケナイ結果だにゃ」


「うっせー、そこの『老新人オールドルーキー』は怪物モンスターなんだよ!」


「知っているよ!イタイくらい知ってまーす!

ベルトを奪われたんだからにゃ!

エンドの気持ちはウレシーかったが人任せにするほどオイテねー!

オレタチで『老兎オールドバニー』潰すぞ!」


 ライアンが右手を出すと遠藤が握り返した。


「リッチエンドの復活だ!!!」


 ライアンが高らかに宣言すると場内からは割れんばかりの拍手で歓迎される。


 がその輪には弟のグレイは入らない。


「ボクがZIPANGに来たのはトビーを潰す為じゃない!

1度倒しているしヘビー級に転向した今、勝ち逃げしようと思っていた……

だがボクの欲しい宝を手に入れるためトビーに挑みたいと考えてる!

Mr.トビーいやお父さん!娘さんと交際させて下さい!」


 言い終わるや土下座した。


「イヤイヤイヤ、おかしいでしょ?」


 アイがマイクを手にしてエプロンに上がる。

 と言うかマイク何本あるの?4本目だよ!?


「本人の意思の確認を無視して勝手に話を進めるって女のコを何だと思っているの?

ベルトや賞金と違うんだよ!」


「そんなのは理解している!

インタビュー記事を読んで一番の障壁になるであろうお父さんに意思表示をしたまでだ!」


「気安くパパをお父さん呼ぶな!」


「アイに一言言っておくがボクはミコミコに交際を申し込んだのであってお前じゃない!出しゃばるな!」


「そんなの知ってますけど?

アタシは一般的な女性の気持ちを代弁しただけですけど何を勘違いしたの?

自意識過剰じゃない?(笑)

ミコ、ドM君が告白してきたけどどうする?」


「うーん、タイプじゃないしズルしてトビーさんに勝つ人はイヤかな……」


 落ち込むグレイ


「でもトビーさんに勝てたらお食事くらいは良いかな?」


「それは二人っきりか!?」


「一応アイドルなのでそれはちょっと……」


「動画配信の生放送ならどう?」とアイ


「それなら……」


「ヨシ!」


「勝手に盛り上がっているの悪いけどさそんな未来は起こらないぞ!

俺の目の黒いうちは娘に害虫は寄せ付けず駆除だ!」


★☆★☆★


 日本のプロレスでは女性をめぐる抗争は珍しいから試合当日までは結構盛り上がった。


 ただベビーフェイスの現王者の助っ人としてやって来たので反則も兄の介入も出来ないのでそれなりの試合にはなったものの俺の勝利で幕を閉じた。


 試合後リング中央で四つん這いで項垂れ落ち込むグレイを無視しマイクパフォーマンスしてリングを降りる降りる俺達。

 それでも項垂れ続けその場を動こうとしないグレイ。

 若手ゴールデンエッジもスタッフも困りに困っていた。

 余程この勝負に賭けていたんだろうけど負けたら切り替えろと言いたい。


 まぁ俺には関係無いのでバックステージに行こうとしたらミコがリングへ向う。


 マイクを受け取りリングに再び上がると四つん這いのグレイの上に座り


「この負け犬は私の彼氏にはなれないし食事を二人キリで食事する事はありません。

座り心地良いからたまに座ってあげても良いかな(笑)」


 そう言うとそそくさとリングから降りた。

 グレイも後を追うように続く。


 バックステージにて


「うちの『ミコ』に手を出す奴は俺に勝たなければ先が無い事がわかったろ!」


「パパ、あたしの時も戦ってくれる?」


「近々プロレスデビューの話が出ているアイに俺の出る膜ある?」


「もうー!そこは『あたりまえだ!!!』って言ってよね!」


「あははは、冗談だよ、もちろん戦うさ!

でも本当にそいつ好きなら事前に言えよ」


「なんで?」


「試練を与える感じで多少手加減するよ」


「ちなみに今回の試合はミコから言われた?」


「全く(笑)でも初黒星の相手だから序盤は慎重に試合を組み立てたよ」


 ミコが合流する。


「ミコ何でリングに戻ったんだ?」


「コマ姉が困っていたからちょっと……」


 コマ姉とはZIPANGプロレスの女性スタッフでバニー✕ばにー担当(?)で二人と仲が良い。


「でストーカーが付いてきたわけね」


 ミコの後から物欲しそうな顔のグレイが続く。

 日本語の会話ながら自分の話をされたと気が付いたのか俺達の前に四つん這いになる。


 なので座る。


「お前じゃねぇ!」


 アイがすぐ立ち上がり俺が座る。


「お前でもねぇよ!」


 俺は退かず、ミコがしゃがみ目線を合わせながら


「どこの世界に座る人を選ぶ椅子があるの?

しかも私を追ってくる椅子って気持ち悪いんですけど……」


 座っているから震えたのが伝わる。


「試合に負けたくせに追ってくるってなに?

そんなプライドより自分の欲求を優先させる椅子には興味無いの立ち去ってくれない?」


 俺は立ち上がり椅子グレイも立ち上がり口を開けたがミコは手で静止。


「椅子は喋らないし座って欲しかったら結果を出しなさい。

そうね……Jr Warsで優勝したら考えてあげる」


 椅子は大きく頷き立ち去った。


「ちなみにミコ、アイツに座るつもりはあるの?」


「今回のは緊急処置だったし私にそういう趣味ないから無いですよ(ニッコリ)」


 こうしてコメントも終了したがこの日から『Sミコ』と呼ばれるようになったのは別の話。

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