自己プロデュースと命(ミコト)の話
改訂版前の30話以降は新作になります。
今作では25話くらいから
コラボや会見の日から3ヶ月経過した。
時の流れは本当に早い!30歳超えたらあっという間だ!
動画の視聴数も登録者数も順調に伸びていて広告収入もかなりの金額になっている。
伝説は結局会社に住む事はなく嫁の家(?)から通う事になった。
この話を聞いたニーナは「全部の部屋制覇しようね♪」と言ったがナニを制覇するんだろうね?
(理解してますよウヒヒヒヒィ)
3人娘は正式にスタッフ兼タレントとして契約した。
ミコとアイのちゃんねるは俺とのコラボにより世界から注目され登録者数も100万人を超えて個人レベルでは対処が難しくなったので会社と契約する事を勧めた。
リンは動画職人活動はしてないが定食屋の娘だからか料理が上手なので食堂とスタッフをお願いした。
クリエイターも増えたので派遣会社から何人か編集マンを紹介してもらっている。
数ヶ月様子を見て正社員とし雇用も考えている。
リングスタジオは各種イベント&ライブ会場として貸し出しを開始した。
基本土日の貸し出しだが平日は要相談って感じかな?
動画開始当初どれだけ稼げるか予想出来なかったから貸し出しを安定収入をと考えていたけどね。
当日のスタッフさんとかは派遣さんを雇っている感じ。
ニーナは毎回動画でコスプレで登場する事が話題になり取材や雑誌のグラビアの依頼が増えている。
基本的には断っていて俺と一緒の仕事だけは受けている。
なるべく一緒に居たいんだって!
可愛すぎるだろ俺の彼女!!
事務所やリングスタジオ、全施設を制覇しよう!(笑)
エンキミは高校時代の同級生と交際をスタートさせたらしい。
賢太郎は最近奥さんが二人目を妊娠したそうでバリバリ稼ぐと気合を入れている。
あっ言い忘れてたけど賢太郎は既婚者で3歳の男の子がいます。
俺の方は全てが順調!
プロレスも確実に実力を上げていて後3ヵ月したらデビューしても良いとお墨付きを受けている。
これに関連してフランクから宿題を出された。
プロレスラーは自己プロデュースが基本らしく(大きな団体ではその限りではない)キャラクターや設定によって人気の出方が変わってくるそうだ。
でも『フランクインパクト』のお陰で人気や知名度はあるから人とは違う事をと色々な角度で考える。
そして思い付き主要メンバーを集めて話す事にした。
「フランクの判断で3ヵ月後にプロレスデビューする事になった。
日時や会場などは決まっていないけど今日から準備に入りたいと思う。
具体的にはディーヴァを付けようと考えてる」
「ボス、ディーヴァと言ったら女性のセコンド、プロレスのマネージャーですよね?」
「そうだ、それに日本の文化アイドルをプラスしたのを考えてる」
「相変わらずボス考えは面白い、色々と大変そうですがね」
「設定次第では大化けする予感がします!
流石はトビーさんです!」
「私、アイドルって年齢と違うと思うんだけどトビーが言うなら頑張るよ!」
「流石に自分の恋人をアイドルとして売り出す気は無いよ。
俺はオジサンだし娘設定のアイドルに応援されて試合したら俺世代も若者の人気を得られると思うんだ」
「ハッハハ、日本人は面白い事を思いつくな!」
「ボス、そのアイドルはオーディションするんですか?」
「それもアリアリのアリだけど時間がね……」
オーディションするとお金も手間も掛かるし……ミコとアイを見て
「二人共やってみる気ない?」
「えぇ、私ですか!?」
「アタシはヤりたいです!」
大きく頷いて
「このアイデアの元はアイが『パパ』と呼ぶところから来ているんだ。
だからアイがやってくれるのはありがたい!」
「アイドルには憧れあったからやってみたかったの♪」
「ミコに無理強いするつもりは無いから考えて見て欲しい。
アイとは違ってミコのちゃんねるは時間が掛かるしこれから歌やダンスのレッスンがはじまったら忙しくなるからな」
「少し考えて見ます」
「ボス、アイドルには曲やダンスが付きものですけどどうするんです?」
「リングスタジオで何組かライブしていたアーティストに声を掛けるつもりだ。
縁を大事にした方が上手くいく気がする」
「なるほど、では話してみます」
「頼んだ!」
「衣装のイメージとか出来ているの?」
「俺のリングコスチュームは元々ニーナが作ってくれたもので大丈夫。
俺がウサギだから入場コスチュームは不思議の国のアリスをイメージしたデザインが良いと思う」
親子設定だからウサギのカチューシャ付けても面白いかもな。
「わかりやすいモチーフはオーディエンスに伝わりやすいわね!」
「フランクはデビューの日程や場所が決まり次第対戦相手を探して欲しい。
交渉も頼む」
「ハッハハ、俺様に任せたまえ!
トビーに相応しいキャリアと実績のある選手はもうピックアップ済だ!」
「頼もしいよ。
取り敢えず解散!各自仕事に戻ってくれ」
こうしてアイドルプロジェクトははじまった。
まさか俺がアイドルプロデュースするとは人生ってわからないね。
★☆★☆★
『MIXばにー』は本当に良い会社だ。
普通のクリエイター事務所なら細かく採取されるのに案件に関してだけ高額の手数料を取られるけど私のちゃんねるの収入は自分の物だし機材や施設も自由に使える。
仕事も取ってきてくれるし税金関係もキッチリしてくれる。
社長のトビーさんのちゃんねるの広告収入やリングスタジオでの会場使用料、ニーナさんがデザインしたグッズの売上が好調だから私から小金を貰っても仕方がないんだろうね。
前まで英語字幕や翻訳の仕事もしていたけどちゃんと手当ても出ていたし通勤用にスクーターも支給してくれてる。
ホワイト企業よりスゴいプラチナ企業だ。
正直な話コラボの練習のつもりで受けたのに想像以上の展開に過去の自分を褒めてあげたい。
トビーさんは運もあるだろうけど全て有言実行していて本当にスゴい。
アイドルの件も絶対成功すると思えるけど……。
「はぁ……」
ため息を吐く
「もう十回目だよ、あの話で悩んでるの?」
仕事おわりにアイとカフェに寄った。
「うん」
「悩むならヤリたい気持ちあるんでしょ?」
「そうなんだけど……ね」
煮え切らない私にアイは優しい眼差しで見ている。
「パパはスゴい人だよね!」
「うん、本当にスゴい。
某漫画じゃないけど「この世の全てを手に入れる」んじゃないかな?」
超優秀なケン副社長達、超美人なニーナさんを彼女して、世界的なレスラーのアックスさんをコーチにしてアイデア能力に決断力、本当に世界を制すると思う。
「アタシもそう思うけど今言いたいスゴさは違うよ」
「えっどういう事?」
「パパはミコの事をよく見てるって事」
「えっ?」
「ミコがプラモ作りに真剣に向き合っているの理解してるから選ばせてくれるんだよ。
パパの立場なら強制しても良いのにね」
「確かに……」
「多分無理やりやるより自主的に決めた方が良いと考えてるんだよ。
パパはミコが断っても怒らないしゆっくり考えて答を出したらイイよ」
「うん……
ところで私、アイがアイドルに憧れてたって初耳だったけど」
「あれ『ハーレムスタイル』好きって言ってなかった?」
このユニットは男性シンガーソングライターが複数の彼女と唄い踊る謎のコンセプトのユニット。
結成当初コンセプトに拒絶する女性も多かったが愛+ファンキーな斬新な楽曲と多幸感溢れる演出から徐々に人気上昇しここ数年バズると言われ続けている。
「言ってたけどファンとしだと思っていたよ」
「ファンはファンんだけど彼女に成りたかったんだよね」
「オーディション受ければ良かったのに」
「今は募集してないしボーイッシュな彼女いるからアタシは受からないと思う。
このユニットに出会ったから空手以外にも楽しい世界を知れたし、アイドルに興味持ったんだよね(笑)
動画はじめたのも有名になれば話来るかなって下心あった」
「へぇ、そうだったんだ」
「パパがアイドルをやると言ったときチャンスだ!って絶対立候補しようと考えてた」
「トビーさんはアイの事もちゃんと見ていたのかもね」
「それなら嬉しいかな(笑)
アタシはパパが大好きだし信頼されてるなら何だって出来るよ!」
いつもより数倍輝くアイの笑顔を見ながら真剣に考えようと決めた。
☆★☆★☆★
翌日一晩考えた結論をトビーさんに話した。
目の前のトビーさんが朝から疲れ切っているけど平気なのかな?
ニーナさんは逆に肌艶よくてイキイキしているけど早朝からドッキリが成功したのかな?
「トビーさん、私アイドルやります!ヤラせて下さい!」
熱意が伝わる様にトビーさんの目を見てハッキリと伝え頭を下げた。
「思ったより決断早かったね」
「ホワプラの動画は私の原点だし無しにする事はしたくなかった。
でもアイドル活動したらライブ会場で私の作品を生で観てもらえるチャンスと思ったんです!
『ホワプラを観に来てもらえるアイドル』を目指します!」
「斬新な発想でイイんじゃない?
プロジェクトが動き出したらレッスンとか大変だと思うけど頑張ってね」
「はい!」
「楽曲なんだけど俺の好きな柏さんに駄目元で依頼したら高感触だったんだよ!」
「確かアイちゃんも好きな『ハーレムスタイル』の柏陸人さんでしたっけ?」
柏さんは15歳でオリジナル楽曲の制作を開始し、17歳の時に映画主題歌のコンペティションに応募して採用される程の才能を持っているとアイちゃんが熱く語っていた。
「そうそう、曲が出来上がったら率直な意見やアイデアを言って構わないからね」
「柏さんは『天才』と呼ばれるぐらいスゴイ人ですよね?
軽々しく意見とかイイんですか?」
「唄うのはミコ達なんだから当然の権利だし気に入らなければ没にしても構わない。
憧れのアーティストだろうがこっちはクライアントなんだからね」
「なるほど……」
トビーさんの話を聞きながらアイドルとして頑張る決意を強くした。
ちょっと前まで全く想像してなかった世界の入口に立ってワクワクが止まらなかった。
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