3話 踏み出した一歩目で終了
早くテンプレゾーンから脱出したいのでこの辺りの展開は音速ぐらい早いです。
「俺達は、今後どうするんだ?」
ジョブとかの話を一通り聞いたところで質問する。
「とりあえず、戦闘訓練を積むそうだよ。いくら強力なジョブとスキルがあるとはいえ僕らは戦ったことがないからね」
まあそうなるか。
俺はその強力なジョブとやらではないがな。
そんな感じで王宮で生活しながら戦闘訓練を続けること1週間。
上級職・希少職の人とそれ以外で別れて指導を受けていた。
俺らの方は筋肉ムキムキの強面の人がめちゃめちゃスパルタでしごいてくるのに対し、向こうはイケメン、美女の手ほどきレッスンって感じだ。
正直、俺らの方にはあまり熱心な感じではないな。
まあ文字通り一般職な訳だし当たり前か。
別に召喚者じゃなくてもここは王宮がある王都なんだしもっと優秀な奴なんて探せばいくらでもいるし。
………役立たずで追放とかないよな?
「ねえ、聞いた?あの話」
「あれでしょ?使えない人たちを遠征に連れてって捨て駒にするやつ」
追放よりもっと酷いやつでした。
自分のスキルに使い慣れておこうと思って《スニーク》を発動しながら王宮をぶらついていたらたまたま聞こえて来たこの会話。
うん、これはあれだ。
逃げよう。
脱走だ。
善は急げと言うし決行は今夜かな。
いつ遠征が言い渡されるか分からないし早い方が良いだろう。
早速与えられた自分の部屋に戻って荷造りする。
と言っても訓練用のナイフと数着の衣服、おやつとしてもらっていた少々の食料くらいしかないけどな。
よっし準備完了!
できれば他な奴らとも一緒に行きたいが人数が増えて捕まったら本末転倒だ。
自分の命は惜しいからな。
せめて夕飯の時に一般職の奴らに会話の内容を教えておこう。
そして夕食の時間。
「それ、本当なのか?」
「ああ、複数の人が同じ様な会話をしていた」
夕飯までにさらに調査をして遠征の話を複数聞いた。
俺らが厄介払いされるのはまず間違いないだろう。
「い、一体どうすればいいんだ?」
「どうするも何もその遠征先で殺されないように強くなるしかないだろう。死に物狂いでな」
「あ、ああそうだな。俺らは一般職だし才能がないしな、尚更努力しないと」
「そういう事だ。とりあえず、他の奴らにも伝えといてくれるか?俺はもう少しこの件について探ってみる」
「分かった。でも大丈夫か?」
「まあなるようになるさ。心配すんなって」
よし。
これで俺が脱走していなくなっても、こいつらから見たら調査していたのがバレて処刑されたのを脱走したことに偽装してるってことに思うはずだ。
そうなったらもっと修行に励むと思うし。
これであとは実際に王宮から逃げ出すだけだ!
深夜。
見回りの衛兵以外は寝静まっている。
よし、行くぞ!
そう思ってドアを開けた俺の前にはメイドさんが待ち構えていた。
他の人との関わりが少な過ぎると思う方もいらっしゃいますがそういうのは番外編等で投稿していきたいと思っているのでご了承くださいませ。