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家出するなら異世界へ 妖怪に愛された私の異世界魔王の喫茶店ライフ  作者: 茶山 紅
家出01 家出するなら放浪中
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十一話 開店準備のための奔放 その1


「よいだろう。ある程度ならば外装も内装も変更がきく。

 元々、日本屋敷だったのをこの周辺の建物にあわせたぐらいだからな」

「大丈夫なんですか?」

「人間で言うところのアクセサリーや服装を変えるようなものだ。たいした問題ではない」

 アカネの質問に迷家はそう答える。

 外装はさておき内装は内臓のように思えたのだが違ったらしい。

 その言葉でアカネは考える。

「とりあえずいろいろと考えたいので……。ちょっと待っていてください」

 そうアカネは静かに言って一同は屋敷を出たのだった。

 ちなみに出るときに、

「これを渡しておく」

 そう言って渡されたのは束になった鍵だった。

「これは?」

「これさえあればいつでもこの屋敷に戻ってこれる。

 これが私の家主だという証だ。

 深紅の鍵は家主の証。そして他の鍵は家主が認めた同居人という証だ」

 そう迷い家は言う。

「深紅のはアカネが持つとよい。

 ヨハンと言ったな。

 お前を嫌うつもりは無いが……。お前は我の家主では無い」

「ええ。かまいません」

 その迷い家の言葉にヨハンはそう応じる。

「僕だけではこの家に来ることも出来なかったし交渉はできなかった。

 僕がこれからアカネさんの商売を手伝おうとしている。

 あくまで手伝いで商売はすべてアカネさんがいなければ出来ないもの」

「それは違いますよ。

 この世界の常識も知識もない。

 それに商売の知識もない私にとってヨハンさんは助かります」

 そうアカネは慌てたように言えば、

「けれど逆説的に言えばそれは僕じゃ無くてもできますよね。

 別に自分を卑下するつもりはありませんが……。

 アカネさんが主軸となる。

 それは文句がありません。

 それにこういう契約は好かれるかどうかが重要なんですよ」

 そうヨハンは言う。

 アカネは知らないがこの世界で、精霊や妖精、魔獣などを契約して使役する。そういう存在ははっきり言えば相性がある。

 好かれる体質の人間はそういった道で大成すると言っても過言では無い。

 そしてそれはやはり才覚の問題でしかないのだ。

 努力を軽んじるヨハンではないが才能というのも理解している。

 才能が無ければどうしようもないということもあるのだ。

 だからこそ割り切って言えば、

「ありがとうございます」

 そうアカネは頭を下げる。

 そしてアカネはヨハンにも鍵を一本、手渡したのだった。

 そして街へと向かったのだった。


「とりあえず料理とかそういうのをみたいです。

 味付けの好みとかそういうのを知りたいので」

「あのポテトチップはだめなのか?」

「あれは軽食というかおつまみというか……。

 あれをメインに出すのは無理がありますので」

 ヨハンの言葉にアカネは苦笑を浮かべる。

 確かに人気だったようだがさすがにあれはメインにはならない。

「私の故郷では主食、主菜、二副菜、一汁と言う考え方があるんですよ。

 主菜になる麺類やパン。あるいは米。そして主菜となるメインディッシュ。主に魚や肉などの料理ですね。そして野菜を使ったおかずが二品。それと汁物と言う考えです」

「なるほどコース料理みたいだな」

「はい。まあ。家庭料理とかだと多少は減りますね。

 さすがに毎日、これらを用意できる家庭というのは少ないです」

 その少ない家庭というのがアカネの実家だった。

 まあ。金持ちなので見栄を張りたかっただけだろう。そもそも作ったところで真面目に毎日、家で食べるような家では無かった。

「料理の中には汁物で主菜になるとかありますし……。

 わかりやすく言うとパスタですね。

 しっかりとお肉や野菜などの具だくさんの品だとそれ一品で満足するでしょう」

「ああ。なるほど」

 その言葉にヨハンも納得する。

「まあ。とりあえず市場を調べるにも料理を食べよう」

 そう言って指さした先はある飲食店だった。

「ここは酒場というか飯屋だな。

 飲食店にはいくつかあるな。デートなどで軽いお菓子の類いやお茶を飲むための店。主に紅茶やコーヒー。あるいは甘味が出るな」

「ああ。喫茶店ですね」

 ヨハンの言葉にアカネはそうつぶやく。

 カフェという形で主にお茶やコーヒーなどのものを主体にしているというものだ。まあ。最近ではカフェと言っても料理に力を入れているお店もあるが……。

「次に飯屋だな。主に昼飯を出したりしている。

 腹にたまる料理で夕方なども飯を出している。これらはピンキリとあるな。宿屋に併合している場合もあったりするしな。

 だから料理にも多種多様だ」

「メニューっていくつありますかね?」

「メニュー。ああ。出す料理か。

 そんなの大抵は一品。多くても三品ぐらいだな。

 日替わりメニューに定番メニューがあればたいしたもんだな」

「あー。まあ。個人店だし品数はさほど用意できないか」

 ヨハンの言葉にアカネは苦笑を浮かべる。

「まあ。それに都合を考えれば品数は少ないほうがよいでしょうね」

「どういう意味ですか?」

「まあ。元々、大々的に宣伝は難しいと思っているんですよ。

 私の目とその宗教がある。それを考えると……正直、有名なお店になるのは無理があるわね。だから隠れた名店がよいと思うのよね」

 そうアカネは言う。

「だから品数は少なめ。

 ……それにこの世界の文化もしらないし……。

 それならそうね。いっそメニューはない方がよいかもしれないわね」

「メニューなしとは一品だけということですか?」

「そうじゃなくてお客さんの希望に添えるという形かな。

 もちろん無い材料があったら困るけれど……。

 基本的な品を作るつもりだからよほどこった料理じゃない限りは材料は使い回せるものだからね。家庭料理のお店という感じかな。

 もちろんあたしの故郷だから一風違う料理だけれど」

 そうアカネは言う。

 こった料理。それこそフランス料理やインド料理。そういった他国の料理やジビエ料理と評される品。あまり一般的では無い食材を使った料理というのもある。

 ぱっと思いつくので猪鍋。鹿肉やイノシシ、そういったジビエと呼ばれる動物の肉を使った料理やクサヤ、このわた、からすみなどを使った料理は難しい。

 とはいえ、前者はさておいて後者はそもそもこの世界に存在するのかも怪しい。

 自作といえども珍味系列は好みが分かれる。

 好きな人間はすごく好きだが嫌いな人間は嫌いだし食べたくないと食わず嫌いになる人間だって多い。

 閑話休題。

「なるほど確かに家庭料理は別にいろいろと材料は使えますね」

「そういうこと」

 アカネの言葉にヨハンもそう納得する。

 ヨハンは料理人では無いがそれでも家庭料理というのを理解している。家は家庭料理を出すような家では無いが修業時代は家庭料理を見て知った。

 同じ材料でも多種多様な使い方をしていろいろな使い方をした。

「ジャガイモと塩だけでもフライドポテトにするかポテトチップスにするか。

 違うだけでいろいろと変わるしね」

「なるほど」

 極端なたとえだけれどね。

 そうアカネ博多をすくめながら言う。

 正直、肉じゃがの材料とカレーの材料なんて多少の具材と調味料の違いだ。カレーを作ろうとしていたらルーが無かったからと慌てて肉じゃがに変更という荒技だって不可能では無い。

 アカネはそのためにそう考えたのだ。

 そして、

「だから必要なのは食材の買い出しね」

 そう言ったのだった。

 そのために来たのは商店街のような場所だった。

「最初はここで買い物をするのが良いかもしれないな」

「ここは?」

「まあ。市場だね。

 大抵の家はここで買い物を済ませる。

 まあ。飲食店などで大量に注文をする場合だと商家から直輸入をするけれど……。

 今回はどんな食材を使うのか。

 メニューの試作も兼ねているならここで十分だろ」

「確かに」

 アカネはうなずく。

「故郷の料理が受け入れられやすいとは限らないしね」

 もちろん光輝は作るつもりだが受けがあるかどうかはわからない。

「とりあえずお米は必要だけれどそれは手に入っている。

 次はさしすせそかな」

「さしすせそ?」

「調味料のことですよ。さは砂糖、しは塩。すはお酢……ビネガーです。

 せは、『せいゆ』と書いて醤油でそは味噌です」

「最後の二つは当て字じゃ」

「昔から故郷でそう言われているんですよ。

 醤油と味噌は無理ですが塩と砂糖とお酢はありますよね」

「まあ。確かに」

 日本独自の調味料である醤油と味噌はさておいて……。

 砂糖と塩、お酢は西洋でも使われる調味料だ。

「後はジャガイモは必要ですよね。あれは便利ですし」

 和食としても仕えるし洋食にも仕える。ついでに保存もきく。

「にんじんもほしいし大根もあるかな。

 あとゴボウに……キノコはあるだろうけれど……。

 しいたけはあるかな。あと、昆布……は難しいだろうなぁ」

 キノコの類いは洋食でも使われるので大丈夫だろうが種類が怪しい。

 何より怪しいのは昆布だ。

 和食では出汁にもなるし食べても良いのが海藻。

 けれども実は日本人は海藻を消化できるが西洋系の人には消化できないのだ。

 それを考えると手に入るかどうかは怪しい。

「鰹節は……さすがに無理だよなぁ」

 港町ならともかくここは内陸だし……。

 そうアカネはつぶやいたのだった。


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