04.アルコール係長
主人公はとある会社の係長。
どこにでもいる典型的なサラリーマンだが、彼は酒癖が悪く他の社員からの評判も最悪である。
ある日、主人公は終業後に居酒屋で飲んだ帰り道に土砂降りに遭い、雨宿り場所を探しに走り回っていた。
その時、大きな轟音と共に雷が主人公に落ちた。
主人公は意識を失い、その場に倒れ込んだ。
気がつくと主人公は、自宅のベッドに寝ていた。
昨日は酔っ払っていたが大雨に遭って雷に打たれた事は何故か鮮明に覚えているようだが、体はこれといって傷も無く珍しく二日酔いも無くスッキリしている。
変な夢でも見たかな、と主人公はテレビを付けた。
そこには酷くベロベロに酔っ払ったニュースキャスターと酒を飲み過ぎてろれつが回っていないコメンテーターが映し出されていた。何かの冗談か?放送事故か?と思っていたが、どのチャンネルを回しても出演者全員が酔っ払っている状態である。
一体どうしたものか、と考えているうちに主人公は出社の時間を迎える。
そこでは主人公の通勤途中で毎日顔を合わせるあの人も、朝食を買いに立ち寄ったコンビニでいつもレジ打ちをしているあの店員も、電車の車掌も皆酔っ払っているのだ。
何が何だか分からない状態で主人公は会社に出社する。
そこでは、ベロベロに酔っ払った部長が主人公の事を呼びつけて怒鳴っている。
「ぅおい貴様ぁ!シラフで出社するとわぁ、会社を舐めとぅえるのかぁ?!」
主人公はわけが分からなかった。
酔っ払って仕事?いくら俺が酒癖が悪い人間でも流石に業務時間中に酔っ払うなんて有り得ない。
そう思っていると部長はおもむろに取り出したウィスキーのボトルを主人公の口に無理矢理押し込んで飲ませた。
高アルコールのウィスキーをほぼ一気飲みしてしまった主人公は、瞬く間に酔っ払ってしまった。
「しごとをしゅるんだったらおしゃけをのんでよっぱらわないと。しゃかいじんみんなしょうやってるだろう!!」
部長は更に酔っ払いすぎてろれつが回らなくなり何を言っているか分からなかったが、主人公は酒が回っていい気分になってきた。
気が付けば主人公は会社のデスクで酒を煽って仕事をしていた。
他の社員たちも同じく、酒を飲んで酔っぱらいながら事務処理、接客、電話応対など様々な業務をこなしていた。
主人公は、初めは戸惑ったがこれは何とも居心地の良い世界だな、と感じるようになった。
業務終了後、主人公はいつものように居酒屋へ千鳥足で足を運ぼうとした。
しかしその時、一台の乗用車が主人公を跳ね飛ばした。
運転していたドライバーも当然酔っ払っていた。
主人公が次に目覚めたのは病院の手術室で、今まさに手術を受けようとしているところであった。
しかし、手術を行おうとしている医師の様子がどうもおかしい。
目がうつろでメスを持つ手が小刻みに震えている。
医師は再び意識が遠のいていく主人公に向かって言った。
「さぁ、しゅじゅちゅをはじめましゅか。だいしゅじゅちゅになるとおもうけどがんばってくだしゃいね。」