02.脳内3Dプリンター
主人公の発明家は、脳内で思った事を実体化できる装置「脳内3Dプリンター」を発明した。
試しに主人公は脳内で連載していた物語を小説本に実体化するように要求すると、製本した立派な文庫本が完成した。
実験は大成功ということでこれを世間に公表したところ、大好評であった。
この装置を大量生産し、一家に一台所有するにまで至った。
それからというものこの装置を使って仕事の効率化を図る者から好きなアイドルの等身大人形を実体化させる為に使用する者などとにかく大勢の国民がこの装置を絶賛して使用していった。
そんなある日、主人公はこの装置を使って新たな発明ができないか考えた。
これが成功すれば脳内で考えるだけで様々な発明ができるというまさに夢のまた夢のような装置だ。
主人公は壮大な発明アイデアを思い浮かべて装置を動かした。
すると、その途端に主人公はパタリと倒れて意識不明の状態に。
そのまま目を覚ます事なく死亡してしまったのである。
この装置は使用者の脳とリンクする機能があり、装置のAI機能で壮大な発明などという想定を超えるラインの要求を出した場合にオーバーフローしてしまい使用者の脳が修復不可能な状態にまで破壊されてしまうという重大な欠陥がある事が後に発覚した。
結局、この装置は余りにも危険だということで国が全て回収することとなった。
後日、各社新聞ニュースではこの事が取り上げられ、夢のような装置は再び夢で終わってしまったのである。
しかし大量生産時における在庫管理にミスがあり、全ての流通量が把握できない状態だったが、混乱を防ぐためという名目で政府がこの事実を隠蔽した。
もしかすると政府の人間や指導者がこの装置を隠し持っており、少しずつ国家を動かそうと目論んでいるのかも知れない…。