目指して
情報通り、フライハイトヴェルトのステージは古城ステージ。森の中に西洋風の大きな古城が立つというシンプルなステージだが、その古城内が入り組んでいてマップ無しでは迷ってしまう。ちなみに俺は初めて言った時に五時間近く古城内で彷徨い続けた覚えがある。ちなみに俺達がスポーンしたのは森の中である。
「それじゃ、早速宝物庫に向かうとするわよ」
一ノ瀬を先頭に森の中を進む。そこで俺の目に中野と高坂のHPバーが見えた。
(そういえばこっちの世界の名前ちゃんと覚えてないな)
ふとそう思い、俺は復習を始める。篠宮はアカネ、白石はハク、一ノ瀬はロゼリア。高坂と中野については初めて見るが、高坂は名前通りミナミ、中野はトラべスーラだ。
中野のプレイヤーネームが気になり口を開く。
「中野、お前の名前の由来ってなんだ?」
「トラべスーラはスペイン語で悪戯」
「な、なるほど」
確かに中野にぴったりだなと思い苦笑する。けどトラべスーラってなんか言いにくい気がするが。
俺がそう思ったのを察したのか、今度は彼女が口を開く。
「長いからトラスでいい」
中野がそう提案する。確かにそっちの方が俺も呼びやすい。
「分かった。トラス」
そんな会話をしつつ、俺達は森の中を進む。幸運な事に、古城に行く途中にほぼモンスターに遭遇せず、したとしても一瞬で切り抜けた。そして俺達は古城に辿り着く。巨大な橋を渡って大きな扉の前に立つ。
「中には森よりも強いモンスターがいるから気を引き締めていきましょう」
一ノ瀬がそういい、みんなで声を上げ、中へと入る。古城の中は古臭く、所々に蜘蛛の巣が張ってあった。エントランスだろうか。天井にはボロボロのシャンデリラが吊り下がっていた。
「トラス。宝物庫への道は知ってる?」
「当然」
そう言って中野は古城内を進んで行く。あいつの頭の中にはどれほどの情報が入っているのか疑問にも思えたが、取り敢えず中へと進む。
中野を先頭に、入り組んだ古城の中を歩き回る。入って一分。既に俺は出口がどこかわからなくなっていた。しかし中野はペースを落とす事なく歩き続け、地下に続く階段を降りた。ジメッとした地下の廊下に辿り着き、薄暗い廊下の中を歩いて行く。光は壁に掛けてある松明のみだ。
「暗いな」
「霊とか出てきそう」
「やめなさいよハク」
「そ、そうだぞ」
俺の呟きに白石が反応し、篠宮と高坂が怖がる。どうやらこの二人怖がりのようだ。
(そういえば一昨日の夜にトイレに連れていかれた覚えが……)
そんな事を思い出した直後、中野が足を止めた。
「くる」
そう短く一言。その瞬間、地面からいくつもの骨が浮き上がり、骸骨の標本を作り出す。手には剣と盾。スケルトンだ。
「出たわね」
全員んが剣を構える。確かにここで全員で行くのが効率的だ。しかし俺の考えは違った。
「ここは任せてくれ」
俺はそう言って背中に吊るされた鞘から剣を引き抜く。そして直ぐにPゲージを溜める。
(七……か……)
数を把握し、地面を蹴る。そして即座に奴らの弱点である背骨をへし折って行く。スケルトンの攻撃をかわしつつ、トドメを刺して行く。そして最後に一体を倒す。
「終わったぞ」
「凄い……」
「トラス、このまままっすぐか?」
「そ、そうだけど」
「分かった」
先頭交代。今度は俺が先頭になって進んで行く。現れる敵を即座に俺が蹴散らし、そして大きな扉に辿り着く。
「ついた」
中野がそう呟く。どうやらここが宝物庫らしい。
「この先に死神が……」
「この扉の奥に大きな部屋があって、そこに死神がいる」
スラスラと情報を言い出す中野。やはりこいつは凄い。
「みんな、準備はいい?」
一ノ瀬がそう全員に向けていい、俺達はコクリと頷く。
「行くわよ」
そう言って、ボスを倒すべく扉を開いた。




