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宣戦布告

 昼食。VRゲームでも神経を使うから腹は減る。祐奈は机の上に置かれたパンをかじった。


 一回戦敗退。当たったのが進藤だったから結果はなんとなくわかっていた。それでも勝ちたかった。けど、力の差は歴然だった。流石はランキング七位と言ったところか。それでも……悔しかった。


 祐奈は肩を落としながら、次の進藤との対戦者である茜に目を向ける。茜は次の対戦者が七位であるはずなのに緊張した顔を見せない。むしろ余裕を感じる程に。


 昼食終了後、祐奈は茜の方に目を向けた。茜は席を立つと、メイドの元へ向かい、何かを話し出す。話し終わると、メイドは部屋から出た後、戻って来て茜に何かを渡した。茜はそれを受け取ると部屋を出て行った。


 疑問に思った祐奈は茜の後を追う。


「祐奈ちゃん。何処行くの?」


 一歩踏み出したその時、後ろにいた舞が不思議そうに聞いてくる。舞が聞いてくるのもわかる。何故なら昼食後は多目的ルームに集合だからだ。


「すぐ戻るから」


 舞に一言そう行って茜を追いかける。すると、自分たちの部屋の廊下を通りだす。どうやら自分の部屋に向かっているようだ。


 なんだと思って多目的ルームに戻ろうとすると、茜は部屋の中に入った。そこで少し違和感を感じる。祐奈は部屋の前まで行って自分の部屋の扉を開けて見る。しかしそこには茜の姿はない。まさかと思って隣にある進藤の部屋の扉を少しだけ開ける。すると誰かの喋り声が聞こえて来た。


「すまない。私達が昨日呼び止めたから」


 茜だ。しかもそれは謝罪だった。ここで祐奈は夜中の出来事を思い出す。寝不足な理由は恐らく私達が進藤にトイレについて行ってもらったからだ。茜はそれに責任を感じていたのだろう。


「これ、昼食のパン。置いとくから。起きたら食べてくれ」


 恐らく寝ている進藤に語りかける茜。こう言う一面もあるのだと驚いていると、茜がこっちに向かって来た。焦ってどう隠れようか迷ったが、隠れる場所なんかない。


「それともう一つ」


 焦っているその時、茜の足音が止まった。そして気になる一言を口走る。もう一度部屋を覗き込むと、茜の決意の目が見え、それは進藤に向いた。


「次のデュエル。私が勝つ」


(宣戦布告……)


 茜の一言をそう受け取った祐奈。驚きの行動を見てゴクリと唾を飲み込む。そんな時にまた茜の足音が聞こえ出す。隠れなければ。焦りながら周囲を見る。


 茜が進藤の部屋から出て廊下から姿を消した後、祐奈は隠れていた自分の部屋から出てくる。


「はあ」


 安心してつい溜息。そして興味本位で進藤の部屋を覗く。そこにはベッドから体を起こしてパンを食べる進藤の姿があった。起きていたのか。そう疑問に思って部屋に入ろうとした時、進藤の目を見た。彼の目は密かに闘志を燃やしていた。それを見た祐奈は静かに扉を閉めた。ここは自分が立ち入っていい場所ではない。そう思ったからだ。


「さて、どうなるかな」


 そう独り言を呟いて祐奈は多目的ルームに向かった。

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