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疲れ

 意識が戻り、ヘッドリンクを外す。


「お疲れ。進藤」


 椅子の隣に立っていた高崎がそう言う。俺は一言「ああ」と返して席を立つ。その途端、景色が揺れ、頭がくらりと来た。立ちくらみか。そう思ったその時、高崎を押し倒していた。しかも右手には何やら柔らかい感触が。


「し、進藤……」

「こ、これは……」


 しまった。寝不足に加えて度重なる過激な戦闘で体力が持ってかれてしまった。そのせいで立ちくらみがしてしまったのだ。


「こ、これは寝不足で……」

「いつまで乗ってんのよ!」


 俺が言い訳し終える前に強烈なビンタが俺に炸裂し、床を転がって吹っ飛んだ。


 痛む頬を抑えながら体を起こし、高崎を見る。高崎は顔を真っ赤にして胸を押さえている。やっぱりあの感触は高崎の胸だったらしい。見た目そう大きくない彼女だが、ちゃんとあるにはあるらしい。


「なにジロジロ見てるのよ!」

「す、すまん」


 慌てて目を逸らす。こう言う時どうしたらいいのか俺にはわからない。そう悩んでいると俺の目の前に手が差し伸べられる。


「大丈夫か?」


 誰かと思えば一ノ瀬だ。俺は一ノ瀬の手を借りて立ち上がる。


「悪い、一ノ瀬」

「別にいいけど、顔色悪いぞ」


 一ノ瀬にそう言われてやっぱりかと思う。そりゃ立ちくらみすればそうなるだろう。


「これからお昼休憩だから、お前は部屋で休んでいてくれ」


 そう言って彼女は壇上に向かう。俺はその時一つの疑問を覚え、声をかけた。


「一ノ瀬。どうしてあの時反撃しなかったんだ?」


 あの時、それは俺が彼女に降伏の宣言をさせた時だ。俺の言葉を聞くと、彼女は足を止めて振り返り、答えた。


「気圧されたのよ」

「え?」


 俺が首を傾げると、苦笑しながら口を開く。


「あの世界で、本気で生きている人の覚悟を見た。ただそれだけ」


 そう言って壇上に上がる一ノ瀬。俺は彼女の一言を何度も頭の中で再生しながら部屋に戻った。

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