休息
一回戦が終わり、俺はヘッドリンクを外す。これで明日のアップデートのモンスターを倒すことはできるようになったが、たった一戦だけだというのに疲労感がすごい。まあ高崎を舐めていた自分が悪いのだが。
そう思いつつ周囲を見る。多目的ルームにはトーナメント参加者以外が椅子に座ってモニターを眺めている。モニターには画面が四分割されてフィールドが映し出されていた。その中の二つは既にブラックアウトしている。恐らく八人のデュエルを同時に見る為だろう。ブラックアウトアウトした二つの画面はもう既にデュエルが終わっているところだろう。その証拠に俺のプレー映像はない。
こってんなーと思いつつ画面を見る。すると篠宮と栗原のデュエルで篠宮が勝つ瞬間が表示された。HPの差がそんなにないところを見ると、なかなかいい勝負だったのだろう。俺も見たかった。
これで残っているのは中野と白石のデュエルだ。とすると最初に終わったのは一ノ瀬と高坂だろう。二人のいる机に目をやると、高坂が浮かない顔をしている。恐らく勝ったのは一ノ瀬だろう。いつ終わったのだろうかと疑問に思ったその時、会場がざわついた。全員の目線はモニター。俺もそれに目を向けると、中野と白石の画面に倒れた二人とDROWの文字が表示されていた。
「引き分け?」
誰かがそう呟いた。確かにその通りだろう。デュエルで引き分けなんてレア中のレアだ。そうそう見れるものではない。流石似た者同士というところか。そう感心していると二人が目を覚ます。覚ますや否や睨み合いを始める二人。本当に仲が悪いなこいつら。
『皆さん。聞いてください』
いつの間にか壇上に立っている一ノ瀬に目を向ける。
『今の二人のデュエルですが、勝敗がつかなかった為、ジャンケンで勝敗を決めたいと思います』
異論はない。二人はいがみ合ったまま、両手を前に差し出した。しかし、二人とも口を開かない。流石無口。これを見た一ノ瀬は溜息まじりに口を開いた。
『最初はグー。ジャンケンポン』
一ノ瀬がそう合図して二人はジャンケンを開始する。白石はチョキ。中野はパー。白石の勝ちだ。
「私の勝ち」
「ただの運」
「運も実力の内」
「そんなの嘘」
『そこまでにしときなさい』
一ノ瀬がそう注意して喧嘩が収まる。ようやく静かになったところで話し始める。
『これにより、白石と中野のデュエルは白石の勝ちとします。二回戦進出者は進藤、私一ノ瀬、篠宮、白石の四人に決まりました』
そういうとモニターにトーナメント表が表示される。
『次は進藤と私、篠宮と白石でデュエルを行います』
一ノ瀬がそういうとチラッと俺を見る。直ぐに目を背けられて話を始めたが、あの目は確実に勝ちに行く目だ。
『それでは皆さん、位置についてください』
一ノ瀬の合図で俺はヘッドリンクを頭につける。そしてそのまま電源を入れた。頭の中にアナウンスが流れ出す。俺は密かに闘志を燃やしながら目を閉じた。




