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活動

 目を開く。すると周りは中世の建物の中だった。レンガ造りの室内を見回して二日前の記憶を思い出す。実際この中は闘技場の待ち合い室という設定になっているらしいが、まあそんな事はどうでもいい。


 俺は視界の外側に手をやり、そのまま正面に手をスライドする。すると、手にウィンドウが付いてくる。これがメニューの出し方。まあ実際は視界の外側からならどうやっても出せるのだが。


 ウィンドウのIDを入れる場所を見た後、新規作成をタッチ。新しくアカウントを作る。アバターの設定をして名前を入力。


 視界の中央にメッセージが表示される。


 バトル・アリーナにようこそ!


 視界がホワイトアウトした。




「…………ん」


 視界を開く。二日ぶりの光景。《バトル・アリーナ》の舞台は闘技場なのだ。まあステージはいくつか存在するが、ロビーは闘技場なのだ。


「進藤」


 名前を呼ばれ、反射的に振り向く。そこに立っていたのは長い黒髪の女性アバター。プレイヤーネームはakane。


「篠宮か?」

「そうだ、そういうお前は進藤だな」


 篠宮はそう言ってにっこりと笑った。表情は現実と殆ど違いがない彼女を見てドキリとする。見た所軽装だ。ちなみに俺も軽装。


「お前の名前は……shinか。中国の昔の国の名前みたいだな」

「悪かったな変な名前にして」


 確かに、中国の昔の国の名前に秦と言う国が存在したのは世界史で勉強済みだ。


「まあ、私の好きなプレイヤーの名前も昔の中国の名前なんだがな」

「そう……なのかな……」


 思い当たる点があったので言葉を濁す。


「まあいい。取り敢えずクエストを受けに行くぞ」

「ああ」


 篠宮はそう言って歩き出す。俺もそれに続く。一応初心者設定なので、クエストを受ける位置は知っているがあえて悟られぬよう篠宮の後ろを歩く。


 まだ昼間と言うこともあり人はまだ夜中に比べて少ない。それでもプレイヤーを何度も見かけるのはこのゲームの人気の凄さと言っていいだろう。これくらいの人数ならリアルネームで呼び合ってもいけそうだ。


「着いたぞ」


 篠宮が止まってそう言う。篠宮の前には一つのカウンターがあり、そこには二人のNPCが立っている。片方は緑色の服装。もう片方は黄色い服装だ。


 篠宮は緑色のNPCの前に立つと、カウンターの上に置いてある分厚い本、依頼本を手に取った。そしてある程度ページを開いた後、あるページで止まって触れた。


「これを二人分頼む」

「かしこまりました」


 NPCはそう言うと、二枚の紙をオブジェクト化して篠宮に渡した。篠宮はもう一枚の紙を俺に渡した。依頼書だ。これを持ってクエスト出発口に行けばそのクエストを受けられる。依頼書には色々な事が書かれているが、『参加』と書かれた場所に触れると依頼書は消滅。代わりに俺の頭の上にあるプレイヤーネームの横に新しくアイコンが付く。これが今クエストを受けているというサインだ。


「行くぞ進藤」


 篠宮はそう言ってスタスタと出発口へ向けて歩いて行く。俺はそれをすぐに追う。


 依頼書を見たとこと倒すモンスターはリザードマン。初心者の練習相手としては適任である。


「行くぞ進藤。準備は出来てるか?」


 俺はそう聞かれて、メニューウィンドウを呼び出す。数々のメニュー欄から装備の欄を選択。装備のところには片手剣と回復薬三つと選択してある。


「ああ、いつでも行ける」


 俺はそう言い返すと彼女の横に並んだ。


「それじゃ、行くか!」


 俺は篠宮と同時に出発口から一歩踏み出した。

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