緑ヶ丘高校
メイドに案内され、多目的ルームに入る。毎度の如く驚かされているが、凄まじく広い。
部屋にはいくつかの机が用意されており、その上にはヘッドリンクが置かれている。そして蒼ヶ丘の生徒と知らない制服を着た女性陣三名。
(男俺だけ?)
そう思ったその時、三名の中にいた金髪ポニーテールがこっちに近づいて来る。金髪ポニーテールは篠宮の前に立ち、右手を差し出した。
「緑ヶ丘高校遊戯部部長の一ノ瀬彩香です。よろしく、篠宮茜さん」
「こちらこそ、よろしく」
そう言って篠宮は手を握り返す。近くでみると一ノ瀬さん凄くスタイルいい。身長も高くて足もすらっとしていて……気持ちが変なところに行く前に慌てて目をそらす。そして大事な事を思い出す。このままだといつも見たく部長同士の会話になるので、その前に俺は質問した。
「一ノ瀬さん、この合宿って男子は俺だけですか?」
「さんはいいわ。同い年なんだから。あなたは進藤修也君ね」
「はい」
俺の名前を知ってるって事はこの合宿メンバー全員の名前を知っているのだろうか。そうであるならば総勢十三人の名前を覚えている事になる。そうなると驚きだ。
「一応、うちの部活にも男子はいるけど幽霊部員よ。女子と部活したって意味ないって文句つけて一度も来た事ないわ」
(要はサボりか)
幽霊部員を合わしてある程度人数がいるのだろう。とすると、男子はかなりの人数か。そんな推測を立てつつ、俺は一つの意欲が湧いて来た。
「俺、帰っていいか?」
「どうしてですか?」
「いや……その……いづらいと言いますか」
「帰るなよ。お前はうちの貴重な戦力なんだから」
「そうなの?」
一ノ瀬がそう言う。それに高崎は自慢げに答えた。
「当たり前でしょ。こいつは尊攘そこらのプレイヤーとはレベルが違うのよ」
俺の自慢をこいつがする理由はよくわからないが、取り敢えず嬉しかった。
「レベルね……夏帆、ちょっといい?」
「なに?」
奥の机で本を読んでいた緑ヶ丘の生徒がこっちに来る。ショートヘアで小柄な彼女は背丈の高い一ノ瀬を見上げて首を傾げた。
「どうしたの?」
「彼とゲームをして欲しいの」
「ジャンルは?」
「FPS」
「ちょっと待ちなさい。やるぶんにはいいけどこっちにも意見する権利はあるでしょ!」
不満を持った高崎が反論する。
「高崎、俺は別にいいよ」
「でもお前、FPS出来るのか?」
「ちょっと前にやった事あるから大丈夫だ」
「決まりね。それじゃ用意するわ」
そう言うとメイドがささっと二人分のヘッドリンクを準備する。
「どうぞ」
用意された椅子に座り、俺はヘッドリンクを頭につけ、スイッチを入れた。
「あなたの実力、見せてもらうわ」
一ノ瀬にそう言われる。俺は何かを言い返す前に、意識が体から引き離された。




