秘密
「強さの秘訣?」
「そうだ。教えてくれ」
前日終業式を終えて夏休みに入った。部活は一応平日に午後からというのを終業式に聞いていたので、ちょっと早めに来て見たら篠宮が先に来ていた。今質問責めにされているところだ。
とは言っても強くなったと別に自覚しているわけではない。いつの間にか七位まで来ていただけで。
「ゲーム歴に差があるとか?」
「いつからやってたんだ?」
すぐに質問された。俺はいつだったかと頭を捻った。そして、思い出す。
「四歳くらいからかな……」
「四歳って…………」
俺の記憶違いでなければそれくらいだろう。ていうかそんなに驚くことなのか。
「お前はいつ始めたんだよ?」
「小学五年生」
「え?」
驚くのはこっちだ。小五だと。確かに四歳でゲーム機を持った俺は異常なのだろうが、小五でゲームをし始めたのは遅すぎだろ。なぜなら小二くらいから俺は友達とゲームの話が出来たからだ。まあ俺の話についていけた奴はいなかったが。
(ていうか、よく考えたら俺にゲーム機を渡したのは親父だよな……あいつ俺になんて教育してやがる)
脳裏で親父に文句を言っていると、篠宮がまたしても口を開いた。
「それじゃ、VRゲームをし始めたのはいつだ?」
それについたははっきり覚えている。
「五年前だ」
「五年生⁈ 五年前ってVRゲームが始まった……ヘッドリンクが発売され始めた時じゃないか」
「ああ。俺の持つヘッドリンクは一番初期に発売されたものだからな」
「てことは、私がゲームをし始めた時にVRゲームを始めたのか?」
「そうなるな」
全く言葉が出ない篠宮。まあわからなくもないが。
「じゃあお前はいつVRゲームを始めたんだ?」
「半年前だ」
「え」
今度は俺が言葉が出なくなった。半年前に初めてあの実力なのだ。これはいわゆる才能という奴だろう。
そう思ったその時、四年前の出会いを思い出した。
「そうだ。俺には師匠がいる」
「師匠?」
「ああ、当時凄く流行ったソード・ワールドってゲームで知り合ったんだ。あのゲームはプレイヤー同士が戦うゲームだった」
「面白そうだな。今度やって見たい」
「あのゲームはバトル・アリーナが出来て数ヶ月後にサービスを終了してる」
「そうなのか……」
どうやらがっかりしているようだ。その気持ちはわかる。俺も当時はやり込んでいたから、サービス終了のお知らせが届いた瞬間、衝撃で大切なヘッドリンクを床に落としたくらいだ。
「入るわよー」
「こんにちは」
その時、高崎と栗原が部室に入って来た。
「あんたたち、何やってるの?」
「な、ななななんでもない!」
篠宮はすっごくあたふたしながら弁解する。俺に質問していたって言えば解決するのにと思ったが、そうしなかったのは理由があるのだろう。黙って俺は彼女をフォローする事にした。
「それより早く部活しようぜ」
「賛成です」
さすが栗原、乗って来た。
「分かったわ。今日は何しに行く?」
ようやくいつもの空気に戻ったので、俺はチラッと篠宮を見た。その目にはなにか決意の目が見えた。




