和解
(勝った……)
脳裏でそう呟き、俺は地面に膝をついた。疲れがどっと来た。あの緊張感で気を張り続けたのだ。こうなっても仕方ないだろう。
「シュウ!」
あいつらが走ってこっちに駆け寄ってくる。篠宮は俺の前に来るなりポーチから赤い液体の入った小瓶を俺に渡す。
「飲め」
「ありがと」
小瓶を受け取り、蓋を開けて飲む。苦い味が口の中に広がるが、今はそんなの我慢だ。HPバーがどんどん回復していき、赤から黄色へ、そして緑の途中で止まった。大体七割ぐらいまで回復しただろう。
「凄い戦いだったわね」
「早過ぎです」
「あれがトップランカー同士の戦いよ。次元が違う」
高崎と栗原が感心していると、リサがそう呟いた。
「だから、シュウとはもう組むなって言いたいのか!」
篠宮がそう叫んだ。
「落ち着けアカネ」
「けど……」
「ふふふ…………ははははははは!」
篠宮を止めたと思ったその時、リサが大声で笑いだした。こんなリサを見るのはいつ以来だろうか。
「もう、シュウの隣にはあなたがいるみたい」
「何が言いたいの?」
篠宮の奴頭に血が上っていつもの冷静さがない。仕方なく俺が答えを教えよう。
「リサはお前を試してたんだよ」
「ど、どう言うことだ」
「まあその辺は色々だろ」
自分の口から言えるものではないのでこの先は言わないでおこう。
「そ、そうだったのか?」
「そう。ごめんね、嫌なこと言っちゃって。このとおり!」
リサはそう言って勢いよく頭を下げた。彼女なりに罪悪感を感じていたのだろう。彼女は悪人を引き受けてまで篠宮を試した。それほどまでに篠宮を……。
「リサ、ありがとな」
「え? なんでお礼を言われるの?」
「だってそうだろ。悪人を引き受けて俺達のために色々してくれたんだから」
「そ、そんな素直に言われるとその……恥ずかしい」
そう言ってリサは頬を赤く染めた。その仕草が可愛い。
「ま、これで一件落着ね」
「戻るか」
「賛成」
事も済んだことだ。それにそろそろ部活動終了時間だろう。みんな戻るつもりでいる。
「リサはこれからどうするんだ?」
「私はもう少しこっちにいる」
「分かった。それじゃ」
「うん。また一緒にゲームしよ」
「ああ」
俺達はこうしてリサと別れ、現実世界に戻った。
ヘッドリンクを外す。そして俺達は揃って一言呟いた。
「暑い」




