テスト
午後六時。地獄の篠宮先生の授業が終わり、勉強道具を片付けて家を出た。
「やっと終わったわ」
高崎が疲れた表情で言う。
「でも、すごく分かりやすかったです。ありがとうございました」
「そんな……大した事はしてないさ」
栗原にお礼を言われて謙遜するが、満更でもなさそうだ。
「明日もやるか?」
「いいですね」
俺の提案に栗原が真っ先に乗ってきた。
「えー、私ゲームがしたいんだけど」
「赤点取ったらどうなるか分かってるだろ」
「……」
そう言われると、高崎も言い訳出来ないようだ。
「んじゃ、今日と同じ時間に俺の家集合で」
「いいのか、お前の家ばかりで」
「いいよ別に。明香も喜んでるから」
今日の明香はいつになく元気だったのはすぐに分かった。これなら明日呼んでも構わないだろう。
「それじゃ、明日も頼む」
「明日はゲームするから用意しときなさいよね」
「それじゃ進藤君。また明日」
「ああ、また明日な」
三人にそう言い返して、手を振り、角を曲がって見えなくなったところで俺は家に入った。すると、明香が何故か玄関で仁王立ちしていた。なんか嫌な予感がする。
「あの……明香さん。明日も呼んでしまいました」
ついつい妹に敬語になってしまった。やっぱ勝手に呼んでしまった事を怒っているのだろうか。俺はいつもの癖か、お説教を覚悟した。しかし、明香の顔には怒りの表情はなく、代わりに可愛らしい笑顔が俺を見つめた。
「明日も、お昼作らないとね」
明香にそう言われて、俺は「そうだな、頼むよ」と一言言った。
次の日、篠宮先生の授業は更にハードになり、俺たちは根こそぎ体力を奪われた。高崎は失神寸前だった。そんなこんなで午後六時まで勉強した後、みんな帰宅。そして迎えたテスト範囲発表日。篠宮先生の教えてくれた範囲は全て的中。これは本当に驚いた。放課後は部室ではなく空き教室を使って篠宮先生の授業を受け、土日は俺の家で篠宮先生の授業を開いた。
そして、迎えた月曜日のテスト初日。
(やべぇ、めっちゃわかる……)
問題を見ただけで解けるほどのレベルになっていた。
無事にテスト四日間を終え、金曜日に全てのテストが返却された。そしてその放課後。
「来たか進藤」
部室に入ると篠宮と栗原の姿があった。
「テストどうでした?」
「これまでにない程出来が良かったよ。ありがとな篠宮」
「あ、ああ」
篠宮は俺にそう答えると頬を赤く染めた。
「そういえば高崎は?」
「今、先生と面談中です」
「まさか、テストやばかったのか……」
「そんな事はないはずですけど」
そんな会話をしていると、部室の扉が開いた。勿論高崎だ。俺達の視線が高崎に集中する。
「なに?」
「テスト、どうだった?」
「それが……」
高崎が黙り込む。俺はその反応を見てダメだったのかと思ったが、次の日行動でその思いを踏みにじられた。
「全部平均以上だったわ!」
三人が舞い上がる。しかも全部平均以上とか俺より上じゃねーか。
(心配して損した……)
「でも、なんで呼び出されたんだ?」
一つその疑問が残り、尋ねる。
「それが、あまりにも出来過ぎてカンニングしたんじゃないかって疑われたのよ。ほんと酷い話よね」
(前回どんだけ悪かったんだよ)
俺がそう脳内で突っ込むと同時にまたも部室の扉が開いた。顧問の渡辺先生だ。
「お前ら、赤点はなかったな」
「はい、余裕でした」
「なら良かった。お前達に報告があるんだ」
「どうしたんですか先生?」
先生が改まって言うので俺たちは先生に耳を傾ける。
「練習試合をする事になった」




