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デュエル

 観客席からプレイヤーのデュエルを見るのは久しぶりの事だ。丸い闘技場の観客席から二人のプレイヤーを見下ろす。空中には対戦するプレイヤーの名前が表示されていて、中央にはデュエル開始のカウントがされている。何時もと違う点は、周りに場を盛り上げるNPCがいないのと、デュエルするプレイヤーがその辺にいるプレイヤーではない事だ。


 緊迫した空気の中、茜は胸に手を当てる。強く、そして早く脈立つその鼓動を聴きながら、ゴクリと唾を飲み込む。


(進藤……)


 彼はさっき大丈夫だと言った。でも、それでも怖い。何故なら相手は……。


「さっきも言いましたが、私の最高ランキングは七百四十二位。格が違いますわ。それでも構わないのですね」


 ホームで高笑いしながら自慢していた先輩を思い出しながら下唇を噛む。ランキング四桁ならまだしも三桁のプレイヤー。初心者が勝てる程甘くはない。


「先輩、俺は負けるつもりなんてないんで」


 そう表情変えずに答える進藤に目をやる。昨日の明香との通話では彼は物凄く強いのかもしれないが、三桁プレイヤーにどうやって……。


 その瞬間、カウントがゼロへと達し、デュエルが始まった。




 俺は背中に吊るされた鞘から剣を引き抜き、地面を蹴った。低い姿勢で最速で突っ込む中、先輩が両腰に吊るされた鞘から剣を引き抜く。見た所二刀流。


 Pゲージを溜めながら全力疾走し、速度の乗った一撃を振り下ろす。それを剣をクロスしてガードた先輩は、そのまま剣を弾いて攻撃。俺の体に斬撃が入る。


「くっ……」


 そこからは先輩の連続攻撃が始まった。俺は剣での防御と回避に専念するが、二刀流を見事にこなす先輩は俺に少しずつかする傷を与え、着々とHPバーを減らしていく。


 俺は背中に剣を担ぐ様に持ちPゲージを溜めて振り下ろす。しかし、さっきと同じ様に剣をクロスされてガード、弾かれる。そこからまた先輩の攻撃が始まる。


「さっきまでの威勢はどこに行ったんですの?」


 余裕を見せながらも剣を止めない先輩。HPバーがどんどん削れ、現段階で六割しかない。


(まだだ……まだ…………)


 HPバーが五割を切った。俺はそれを認識した直後、一歩下がって剣を担いだ。




「なっ……あいつまた同じ手を!」


 高崎が叫んだ。だがその気持ちもわからなくない。この溜めはもう既に二回行っている。そして全て反撃されている。なのにも関わらず三度目とはただの馬鹿だ。


「進藤……」


 声が震える。もうダメだ。なんとなくそう思ってしまったからだ。


「それはもう何度も見ましたわ!」


 先輩が剣を腕をクロスさせて溜め姿勢を作り、Pゲージを溜め始める。


 進藤の剣が青く輝いた直後、振り下ろす。それを見た先輩はクロスした剣を振り払った。青い輝きが衝突し、金属音を火花を散らす。そして、進藤の剣が宙を舞った。


 先輩の顔に笑みが見えた。


「進藤!」


 無意識に立ち上がって叫んだ。その叫びのタイムラグなしに、隣に立つ栗原が叫んだ。


「まだです!」


 栗原の叫びに答えるかの様に、進藤の目が鋭く光った。




(この瞬間を待っていた!)


 跳ね上げられた腕を全力で制御し、拳を握る。すると、拳に緑色の輝きが包んだ。


「うおぉぉぉっ‼︎」


 闘技場にこだまする程に勢いで叫び、拳を先輩の腹めがけて放つ。その一撃は不意をつき、もろに入った。そのまま後方に吹っ飛ぶ。


 先輩のHPバーが二割ほど削れている。目論見は成功。宙を舞った剣は俺のすぐ側の地面に突き刺さり、それを引き抜く。


 よろよろと立ち上がる先輩は、苦しそうな声で問う。


「最初から、これが狙いだったのですか? 陽動からの、カウンターアタック」

「まあ、そんなところです」


 俺がそう答えると、先輩はわなわなと体を震わせて叫んだ。


「ふざけるのは大概にしなさい!」


 先輩は地面を蹴った。俺はそれを見て剣を中段に構える。先程よりも凄まじい勢いのラッシュ。俺はそれを的確に回避し、捌く。そこから鍔迫り合いに突入。


「さっきまで手を抜いていたんですか?」

「そうでもしないとカウンターアタックは入らないだろ」


 二人同時に飛び去り、再度先輩の斬撃のラッシュが始まる。


「遅い」


 俺は隙を見て軽く剣を払い、脇腹に傷を与える。それを見て焦ったのか、攻撃が乱雑になってくる。


 俺は攻撃を避けながらポーチにぶら下げられた一つの小瓶を取り出し、空中に置く様に投げる。それを剣で砕いた先輩の目に、小瓶の 中に入っていた赤い液体が目に入った。


「うっ……なんですかこれは……」


 すると、先輩は動きを止めて目を抑え始める。


「回復ポーションですよ。知らないんですか、回復ポーションには視覚を奪う効果もあるって」


 冷静にそう言いながら、先輩の剣を弾き飛ばす。そして、首元に刃を持っていく。


「チェックメイトです。先輩」

「なっ……」


 それを聞いた先輩は未だ見えないはずの目で俺を見て、膝を地面についた。


「サレンダー……」


 降参を意味するその一言。その瞬間リザルト画面と共に、winnerの文字が俺の前に表示された。

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