新入部員
部室の扉を開けると、そこにはもう既に黒髪の美少女が椅子に座って読書をしていた。
「来たか、進藤」
俺を見るなり本をパタンを閉じて立ち上がる。
「早いなお前」
「ホームルームが終わったら直ぐ来たからな」
「そう言えばお前何組だ?」
「二組だけど」
成る程だから早いのか。早水から聞いたのだが二組のホームルームは学年最速らしい。
そんな事を思いつつ、部員の方はどうなっているのだろうかと疑問に思い、尋ねてみる。
「それで、部員は増えたのか?」
「それがまだだ」
そう言えば俺は篠宮がどうやって部員を勧誘しているのか知らない。
「お前、どうやって勧誘してるんだ?」
「掲示板に張り紙を貼ってるんだ」
「なっ……」
その方法を聞いて俺は絶句した。
「お前……その方法で生徒会にバレてないんだろうな」
そもそもネトゲ部を作る事自体タブーなのだ。そんな張り紙生徒会に見つかれば即座にアウトだ。
「心配するな。生徒会にはバレないようにしてる」
「どうやって?」
「簡単だ。生徒会が学校にいない間に貼っておくんだ」
(生徒会が学校にいない間?)
それってかなり限られてくる気が……。
「……って、お前。生徒会が帰った後に貼って、生徒会が来る前に剥がしてるのか?」
「そうだぞ」
こいつに任せた俺が馬鹿だったと今更ながらに後悔し始めた。こいつは人通りが少ない場所で一週間も待ち伏せしていたのだ。明日香が弁当の用意をしなかったせいでたまたま購買に行こうとした俺がたまたまその廊下を通ったから何とかなったものの。俺が通らなければ一ヶ月はあのままだった可能性もある。
「お前、生徒会がいない時間帯なんて殆ど生徒いないぞ」
「え? そうなの?」
「いや、そうだろ」
そもそも生徒会は朝一に来て校門で挨拶してるし、俺が知る限り遅くまで生徒会室に電気がついていた事を俺は知っている。
俺がそう答えると篠宮は顔を真っ赤にして慌てながら答えた。
「そ、そんな事当然知ってたぞ! 当たり前の事だぞ!」
「嘘つけ!」
思いっきり突っ込み、溜息を吐く。
「これじゃ、部員確保は絶望的だな」
「すまない……」
お先真っ暗。部室内が静寂に満ちた。その時、部室の扉がコンコンと音を立てた。
「誰だ?」
「先生か?」
篠宮の予想は顧問の先生らしい。
ノックに二人が反応して顔を合わせ、篠宮が対応した。
「どうぞ」
扉が開いた。そこから顔を出したのは先生ではなかった。
「すみませーん。ここがネトゲ部ですか?」
現れたのは茶髪のツインテールの生徒と癖毛のショートヘアの生徒だった。
「そうだが」
「ならよかったわ。私達入部したいんだけど」
またも静寂。先程まで勧誘について絶望的だったのでその言葉の理解に時間がかかったのだろう。その言葉を理解した篠宮が声をあげた。
「ほんとか! ほんとに入ってくれるのか!」
篠宮の念押しに二人が驚きつつも「え、ええ」とツインテが引きつつも反応する。
その反応を見て篠宮は胸を撫で下ろした。そう言えば俺の時も念を押していた。それで入ると言ったらホッとしていた。一体どういう事だろう。
まあその事は後で聞くとして取り敢えず自己紹介が先だと何となく思った。
「俺は進藤修也だ」
「私は篠宮茜だ」
俺に続いて篠宮も自己紹介。それを聞いたツインテが口を開いた。
「私は高崎祐奈。よろしくね」
高崎がそう言うと、隣に立つ癖毛の生徒が言った。
「私は……栗原舞です。VRゲーム初心者ですけど……よろしくお願いします」
そう言ってペコリと頭を下げる栗原。言葉が途切れ途切れでなのをみると人見知りなのだろう。それが可愛らしい。
「構わないさ。ようこそネトゲ部へ。それじゃ、早速書いてもらおうか」
篠宮はそう言って一枚の紙を二人に突き出した。
「部活申請書」




