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宝物庫

 宝物庫の中は沢山の宝箱で溢れかえっていた。しかし、その中には数枚の金貨しか残っておらず、既に宝は存在していなかった。


「最初に死神を倒した人が持ってたのかしら?」

「そう考えるのが妥当ね」


 高坂と一ノ瀬の会話を聞きつつ、俺は周囲を観察する。しかし、一見怪しいところは何もない。


「アビリティの情報、何処にあるんだろう?」

「探索しかなさそうだな」


 正直言って面倒臭い。て言うかこの分野は正直俺の苦手分野だ。探索といえば脱出ゲームとかだが、人並みには出来るが、それ以上でもなければそれ以下でもない。つまり普通なのだ。


(さて、どうするか……)


 俺が早速探索方法を模索していると、いきなり白石が宝箱を蹴飛ばした。


「何してんのよ白石!」

「探索めんどくさい」


 そうきたか。確かにそっちの方が手っ取り早い。けど……。


「白石、流石にそれはダメよ。逆に手がかりが見つけづらくなるかもしれないから」

「分かった」


 一ノ瀬にそう言われて宝箱を蹴飛ばすのやめる。まあどちらかと言うと俺も蹴飛ばしたかったのだが。


「けど、何処にあるのかしら?」

「宝箱の下とか?」

「蹴飛ばす?」

「もうそれはなし」

「取り敢えず探すぞ。何か言ってても始まらない」


 みんなが会話をしている中、俺がそう呟き、みんなで探索を始める。しかし、なかなか手がかりは見つからない。探索し始めて早十分。白石が口を開いた。


「飽きた」

「そう言わずに探してくれ」

「いや」


 俺の呼びかけに応えず、白石は近くにあった小さな宝箱を投げた。そしてそれが中野の頭に当たり、ゴツッと鈍い音を立てる。中野は鋭い視線を白石に向けるが、白石は目を逸らして口笛を吹いている。


「お前!」

「仕方ないだろ。わざとじゃない」

「謝れ」

「いやだ」


(始まった)


 俺は溜息を吐きながら一ノ瀬に言われた事を思い出す。そういえば俺はこの喧嘩を止めなければならない。俺は白石が投げつけた宝箱を見て口を開く。


「おい、お前らいい加減に……」


 俺が注意しようとしたその時、何か違和感を覚えた。そう思って宝箱をもう一度見る。するとそこにはさっき白石の投げた宝箱が中野の近くにあった宝箱にきっちりと入っている。


「まさか……」


 俺は辺りを見回し、宝箱の大きさと似たものを持って来る。そして宝箱の入った宝箱を持ってきた宝箱に入れる。ぴったりだ。これはもしや……。


「マトリョーシカ……」


 人形の中から人形が出て来る仕組みの人形だ。宝箱の仕組みがすごく良く似ている。


「一回全部入れて見ましょうか」


 一ノ瀬がそう提案し、部屋の中にある宝箱を掻き集め、宝箱の中に宝箱を入れて行く。やはりマトリョーシカ方式。九つあった宝箱が全て一つの宝箱の中に収まった。


「本当にマトリョーシカね」

「けど、これが分かったところで何も進展しないぞ」


 一ノ瀬と篠宮がそう会話し、みんなで溜息を吐く。確かにその通りだ。これが分かったところで何も始まらない。手詰まり。そう思ったその時、中野が宝箱の周囲を回る。そして、宝箱の側面で立ち止まり、指を指す。


「何か書いてある」


 みんなでそれを見に行く。確かに蓋の淵に何か書いてある。これは英語のCとB。


「何かしら?」


 疑問に思う中、興味本位で蓋をあける。すると、宝箱の中にある宝箱にも同じところに何か書いてあった。しかし、さっきのとは違う。今度はhとcだ。


「今度は小文字ね」

「全部調べて見ましょう」


 そう言って全ての宝箱を調べ始める。全ての宝箱の同じ位置に同じ様に英語が書かれており、それは宝箱によって異なった。一旦宝箱を全て出し、並べて行く。


「大きい宝箱の順に、CB、hc、AC、DB、hc、AC、IB、he、BCね。hcとheは小文字みたいだけど」

「暗号ね」

「大文字と小文字の差はなんだろう?」


 みんなの知恵を絞って考えるが、やはり答えは出ない。


「一度ログアウトしてあっちでゆっくり考える方がよくないか?」

「確かに、進藤の言う通りね」


 俺の提案を一ノ瀬は受け入れ、「あっちに戻って考えましょ」と言って宝物庫を出て行く。


「メモらなくていいのか?」


 忘れてしまったなんて言ってまた戻るのは面倒臭い。俺がそう聞くと一ノ瀬は「あんなのすぐ覚えられるわよ」と一言返してきた。始めてあった時から頭は良さそうだとは思っていたが、やはり凡人の頭とは出来が違うらしい。神様は不公平だなと思いつつ、俺は宝物庫を後にする。


「あ、そうだ」


 宝物庫を出た後で俺は振り返る。宝物庫には、規則正しく宝箱が並んでいる。あのままでは情報が漏洩する可能性がある。だからあの宝箱がマトリョーシカという事がバレない様にしなければ。そう思って引き返そうとした時、中野と白石が宝箱を蹴飛ばし始めた。


「これで問題ない」

「結局蹴るのかよ」


 俺がそう突っ込み、一ノ瀬達を追った。

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