表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/246

自宅

 帰宅して直ぐに夕飯を食べて風呂に入り、リビングのソファーで俺はテレビを見ていた。まあ内容は全く入って来ないが。


「どうしたのお兄ちゃん。今日はやけにお風呂に入るの早いね」

「まあな」


 妹にそう言われ、俺はそう返しつつ自分のスマホを見た。そして今日の部活が終わる直前の会話を思い出す。




 俺がヘッドリンクを外すと、先にログアウトしていた篠宮が俺にスマホを見せてきた。


「進藤、これ私のメールアドレスだ」

「え、メアド?」

「ああ、同じ部員同士。メアドの交換はしておいた方がいいだろう」

「まあ、そうだな」


 俺は篠宮にそう言われて俺はスマホをポケットから取り出して篠宮に渡した。




 俺は無意識の内に連絡先を開いていた。連絡先の欄には新しく篠崎茜の文字が入っている。事実を言うと自分の連絡先の中にいる女性は我が妹と母親だけだ。当然同年代の女子とメアドなど交換した事は一度もない。


(なに? この状況……)


 人生初のこの状況に俺は一体何をすれば良いのか戸惑っていた。メールを送った方が良いのかいけないのか。それすらも分からず、俺は彼女の連絡先を開くべく画面をタッチした。


「あれ?」


 そして思わぬ出来事が起きた。スマホの画面が反応しないのだ。この機種は前からずっと使っている。確かにこうなっても仕方がない。


「もう寿命か」


 俺はそう言って最後の試み、画面連続タップを開始した。しかし反応しない。俺が諦めかけたその時、画面が反応しだしたのだろう。篠宮の連絡先を開き、そのまま通話ボタンまで押してしまった。


 呼び出し画面が表示された。


「なっ……!」


 俺は咄嗟に電話を切った。


「あっぶねぇ」


 俺はそう思ったが、直ぐにその行動を失敗だと認識した。通話が来たら着信履歴というものが付くし、それ以前に俺が電話したとバレてしまう。


「やっべぇ……」


 今世紀最大の戸惑いを見せてるんじゃね俺。とか思いながらこの先どうしようか考えている。


「どうしたのお兄ちゃん? また相談に乗ろうか?」


 明日香が何かを察したのか俺の隣に座る。


「良いところに我が妹。間違えて電話した場合ってどうすれば……」


 俺の台詞が言い終える前にスマホが振動し始めた。画面には篠宮茜と表示されている。


「出て謝った方が良いよ。それに、これだけの事に戸惑い過ぎだよお兄ちゃん。冷静になって」

「あ、ああ」


 どっちが年上かわからなくなってきた。俺はそう思いながら電話に出た。


「もしもし」

『進藤か、どうしたんだいきなり電話なんか』

「悪い。間違えて電話しちゃったんだ」

『そ、そうなのか。それなら良いんだが』


 そう言われてホッとする。どうやらどうにかなったみたいだ。


『進藤』

「ん?」

『いや、やはり何でもない。明日も部活頑張ろうな』

「あ、ああ」


 名前を呼ばれてから少しだけ間があってのは疑問だが、何でもないなら別に良いだろう。


『それじゃ、おやすみ』

「おやすみ」


 そう言い返すと、電話が切れた。


「今のが、部活の人?」

「ああ、そうだよ」

「ふーん。女の人なんだ」


 明日香はそう言ってソファーを立つと、スタスタと歩いて行った。


「明日香、怒ってるのか?」


 何故か俺にはそう見えた。まあ長く暮らしてきた感ってやつだろう。


「別に、何でもないよ」


 明日香はそう言って階段を上って行った。その背中には少しだけ不機嫌さが現れていた。


「何なんだあいつ」


 俺は明日香が見えなくなった後も階段の先をずっと見つめていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ