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敗北

 大剣と片手剣の衝突による金属音が耳鳴りの如く俺の鼓膜を震わせる。宙に舞う火花を受けながら俺は大きくバックジャンプした。


 ステージは闘技場。上の観客席には恐らくプレイヤーもいるだろうが殆どがNPCだ。


 剣を構え直し、ただならぬ気配を放出し続ける巨体へと剣先を向けた。相手は大剣を装備したミノタウロス。身長は三メートル程、その威圧感は計り知れない。しかし、奴のHPバーはもう既に三本を削り、最後の一本も残り四割程。もう少しで倒せる。


「グオォォォォ!」


 怒りの咆哮と共に、ミノタウロスは高く大剣を振り上げる。そのモーションを視認した刹那、俺は剣を担ぐ様に構えて腰を落とす。


 次の瞬間、大剣が霞む勢いでその位置から姿を消した。それを認識した瞬間にサイドステップ。稲妻の如く大剣が振り下ろされたが、大剣が捉えたのは硬い地面で俺じゃない。


 担いだ状態の剣が青い輝きを放ち始めた。それと同時に俺は間髪入れずに跳んだ。その下を大剣が物凄い速度で通過する。ミノタウロスの攻撃はこの二連撃までがパターンだ。当然そんな情報は戦闘前から入手済みである。


 飛び上がった直後、剣が青から黄へと変化した。それに気付いた俺は空中で静止した瞬間弱点である角を叩いた。


 バキッという爽快な音を立てながら角は宙を舞った。ミノタウロスが悲痛な声を上げる。奴のHPバーが一割削れる。しかしこれで終わる事は無い。未だ輝き続ける剣を今度は左に持って行き溜めモーションを作り出す。


 試みは成功。剣の輝きは消える事なく黄から赤へと変化した。


「うおぉぉぉぉ‼︎」


 気合の雄叫びと共に剣を振り払いミノタウロスの横腹をクリーンヒットする。赤いダメージエフェクトが切り口から溢れ出す。それと同時に剣の輝きが消える。


 距離をとりミノタウロスのHPバーを確認する。削ったHPバーは五パーセント。奴のHPバーが危険ゾーンの赤へと突入する。


(いける)


 脳裏でそう確信し、剣を構え直す。


 すると、またも同じくミノタウロスは大剣を高々と掲げた。このモーションはもう既に読みきっている。俺はさっきと同じ様に剣を担ぐ様に構えた。


 最初の振り下ろしをサイドステップで回避し跳躍。その下を大剣が通過。この時点でさっき同様剣は黄の輝きを放って居る。後は俺の片手剣を振り下ろすのみ。


 その時、俺の視界の右側で何かが霞んだ。それがミノタウロスの腕だと理解した時には全身に物凄い衝撃を受け、吹っ飛ばされた。


 闘技場の壁まで吹っ飛ばされ、肺に溜まっていた空気を吐く。視界右上の俺のHPバーは四割程削れている。


 危機感を感じたその時、物凄い速度でミノタウロスが突進して来た。反射的に回避するが、左腕が壁と奴の頭に挟まれた。バキッという音と共にHPバーが二割削れ、その下に何やらマークが付く。このマークは部位破損状態を意味するマーク。


 壁からミノタウロスが頭を放すと俺は奴から直ぐに距離を取った。脱力した腕をみ見て直ぐに気付く。完全に骨折して居る。


「グオォォォォ!」


 ミノタウロスの雄叫びを聞いて顔を上げる。大剣を大きく振りかぶっている。その瞬間、背中に冷たい戦慄が走った。そして全身に走る圧倒的恐怖。


 ミノタウロスの大剣が俺の肩を捉えたその瞬間、視界がブラックアウトした。


 You are dead

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