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なはまはげは魔法少女に憧れて。

作者: あまね

 街中のいや、日本中がハロウィンの妙な高揚感に包まれ踊らされている。

 それに便乗するかのように、いや、また高揚感に踊らされたものが一人、悩みを相談しにやってきた。


「お願いします、貴方を誠実な日本人として見込んでお願いです」

「いや、あのさ私は確かに正月に神社にお参りするぐらいには、日本人だけど無理だよ無理」

「東洋の魔女といわれているではないですか」

「それは女子バレーだし、私には無理」

「そこをなんとか同じ秋田出身じゃないですか」


 大体、高校の文化祭でゲームかマンガでしかみないようなカラフルな魔女の仮装しながら、占いを細々と空き教室でやっていただけなのに、なぜこのような珍客がくるのだろうか。

 そりゃあ、たしかに修学旅行に秋田県に行ってそこで、魔法少女の力に目覚めたけれど、秋田にそこまで思いれががるわけではないし、秋田出身ではない。


「日本人は、魔法少女がすきでしょ、ナマハゲを魔法少女として定着させてください」

「無理無理、ナマハゲを魔法少女というのは無理があるよ」

「ならせめてユニットを組んで活動していきましょうよ」

「あぁそれも無理」


 いやだよ、どっちかっていうと魔法少女の敵にしか見えない、むしろ成敗しないといけないんじゃないかと思ってくる。

 それに私だって日本人だけど、さすがにナマハゲを魔法少女として認定しようと思うとは思わない。


「秋田県でやりなよ、こっちに面倒ごともってこないでさ」

「恥ずかしいではないですか、秋田の英雄のなまはげが、魔法少女になりたいなんて」


 そう思うなら身体をくねらせるな、想像以上に不気味だから。


「なんで、魔法少女になりたいのさ」

「だって、皆に、子供に大人気じゃないですか、羨ましい」

「いやいや、ほらナマハゲだって人気じゃん」


 子供にナマハゲが好きかとたずねたら、多分好きと言う回答もあるんじゃないだろうか、魔法少女が好きという回答のほうが多いと思うけれど、それはそれ、コレはコレだ。

 

「一目見て好かれる魔法少女と、一目見て泣かれるナマハゲどっちがいいですか」

「まぁ人の好みは色々あると思うよ、自信をもってナマハゲをしなよ」

「私は魔法少女がやりたいんです」


 そうはいっても私はビルを壊すような魔法とかしかつかえない、平和的というより攻撃型魔法少女だから、私に言われても何もできない


 現実的に使える瞬間移動だの、空飛ぶ魔法と言うのが無い。

 全く日常に使えない魔法少女というのは、魔法少女たる意味があるのだろうかと現実的に考えてしまうタイプの魔法少女だ。 


 頭を下げる、ナマハゲには悪いが帰ってもらおう。

 ただでさえ少ない文化祭の売り上げが減るのも勘弁して欲しい。


 私は魔法の言葉を唱えることにした。


「ナマハゲ、子供に好かれたいならナマハゲのまま頑張るというのは駄目なの?」

「ナマハゲはどうしたって怖がられるものです、悪い子はいねーかなんて、包丁やらこの怖い顔、なくのも当然ですよ」

「それでも災いをはらってきた、立派なナマハゲだよね」

「やっぱり子供には笑顔でいてもらいたい、そう思ってやってきましたが、泣き顔ばかり見るんですよ」

「ナマハゲの努力が足りないのよ」

「私なりに頑張って、ナマハゲをやってきたんです、それでもだめなんです」

「ナマハゲ、ハロウィンを見なさい、貴方がやってきたことそのものじゃないの」


 お化けの仮装をしながら、各家庭を周り、お菓子をねだる。

 子供ながらの可愛い行事にみえる。


 ナマハゲとやっている事は、ほぼほぼ同じなのにだ。

「いい、お菓子くれなきゃ悪戯するぞと脅迫めいた行動しても愛される理由はなんだと思う」

「それはかわいらしさじゃないか、ナマハゲがやっても可愛くない」

「魔法少女がもし、悪い子はいねーかっていったらどう?」

「可愛いと思う」

「そう、あなたは頑張っているといっても、可愛さが足りていない、それは現代日本にとって致命的よ」

「なるほど」

「可愛さの足りない魔法少女なんて、伸びにのびっきったラーメンぐらい不恰好なものよ、少数しか愛してくれない、ナマハゲあなたはそんな魔法少女でいいの!」

「そんな、じゃあどうすれば」

「今はネットの時代、ハロウィンもこれで可愛くなったといっても過言では無いでしょうね」

「どんな方法ですか」

「投稿サイトにナマハゲ魔法少女の絵を可愛く描いて、あれナマハゲ可愛いい?って思わせるぐらいにたくさん投稿するのよ、そうすればナマハゲも可愛く見えてくるのよ」

「わかりました、ありがとうございます」

「数年でくじけちゃ駄目よ、こういうのは地道に活動していつか日の目を見るんだから」

「はい」

「私は魔法少女、奇跡を祈る乙女なんだから、あなたに奇跡が起こるように祈っているわ」


 

 今の日本のハロウィンのように秋田県のなまはげが、地域皆で魔法少女の格好をしながら悪い子はいねーかと子供を追い回す日は遠いのかもしれない、それでもナマハゲには頑張って欲しい。


 魔法少女とは夢見る乙女心のパワーなのだ、夢を忘れず頑張れば奇跡が起こるのかもしれない。

 

 いや、すでに夢を諦めないナマハゲはすでに魔法少女の入り口にたっているのかもしれないと。

 


 まったく私の魔法は日常生活の役に立たない。

 それでも、私は便利な魔法の言葉をしっている。

  

 奇跡という便利な言葉を知っている。

 頑張れという無責任のような、応援しているような、魔法のような言葉を知っている。


 ナマハゲが帰った後、お客の来ない空き教室でそんな適当な事を思う。


 そして今更ながら突っ込むのもめんどくさかったが思うことがある。

 

 ナマハゲに性別はあるのだろうかと。

 

 


 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 発想がいいです!なまはげがあのいかつい顔で、そんな相談する様子を思い浮かべると、笑いがこみあげます。 [気になる点] 最初に主人公のところになまはげがたずねるところなど、描写しておいてほし…
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