前作の概要と主要登場人物
この話は、前作『惑星ファルファーレ―星の雨が降る海―』の続編となります。極力、ここから読まれてもなんとなくわかるように書くつもりではいますが、最初に概要を置いておきます。
前作をお読みくださった方はどうぞ飛ばしてください。
『惑星ファルファーレ―星の雨が降る海―』の概要
この話は、前作『惑星ファルファーレ―星の雨が降る海―』の続編となります。極力、ここから読まれてもなんとなくわかるように書くつもりではいますが、最初に概要を置いておきます。
前作をお読みくださった方はどうぞ飛ばしてください。
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フィオーレ星系の惑星ファルファーレは、蝶の羽のような四つの大陸とその真ん中の人工島セントラルから構成される地球型の惑星である。
ファルファーレに地球からの植民が始まって約百年後。植民都市は飛来した彗星の災厄により壊滅し、以後六百年をかけて再び文明社会を取り戻していた。
星紀七六四年。沿岸警備についていた海軍少尉アレックス・イルマは、不思議な少年に出会う。大海の孤島コラム・ソルから来たと言うその少年サッタール・ビッラウラは、彗星がまたやってくると警告を残して去ってしまう。
少年をはじめとするコラム・ソルの人々は全員が精神感応力を持つ超常能力者だったのだ。
警告を受けたファルファーレ中央府は、彗星による災害に備えるが、超強力な電磁波のためにほぼ全ての電子機器が故障し、降り注ぐ隕石に対し為す術もなかった。
しかしコラム・ソルでは超常能力者たちが星の雨を排除していた。
事態を重く見た中央府は、三百年もの間、存在すら忘れていた超常能力者たちに接触を図ることとしたが、コラム・ソルでもまた別の問題があり、中央府との連絡を望んでいた。
三百年もの間、周囲と孤絶していたコラム・ソルでは、出生率の低下と生活を支えるインフラの老朽化に悩まされていたのだ。
双方の思惑が絡まる中、かつてアレックスが出会ったサッタールが中央府との交渉のため、セントラルにやってくる。他人の思念が読めてしまうサッタールを警戒する人々の中で、アレックスは常に公平公正に接しようと努め、二人の間には次第に信頼が結ばれていった。
しかし中央府との交渉が始まった矢先。コラム・ソルの超常能力者たちを敵視する宇宙軍大将軍サムソンの手で、コラム・ソル攻撃が計画されていることを知ったサッタールは、海軍の手を借りてサムソンの牙城トゥレーディア基地に潜入することとなった。
トゥレーディア基地開港一五〇年記念式典の会場で、サッタールはサムソンと対決をし、サムソンもまた超常能力者であり、ファルファーレを支配しようと望んでいたことを知る。
精神感応力をぶつけ合う戦いの結果、サッタールはサムソンの精神を破壊し、陰謀は未然に防がれたが、コラム・ソルの超常能力者をファルファーレの社会に融合させる仕事は、まだ始まったばかりだった。
☆前作の主な登場人物
【コラム・ソルの超常能力者】
・サッタール・ビッラウラ
コラム・ソルで一番強い精神感応力を持ち、他人の精神感応を操作することもできるが、それは自ら禁忌としている。交渉時には冷静沈着な態度だったが、実は毒舌家で、一人でなにもかもやればいいと背負い込もうとする癖がある。今作では大学生。
・アルフォンソ・ガナール
コラム・ソルの長(完結時)強力な念動力の使い手で彗星襲来時も降り注いだ隕石を払いのけた。豪放磊落な人物。
・ショーゴ・クドー
電子機器と相性のいい微細念動力者。コラム・ソルのインフラ保守責任者。事故で左足を失い、治療の為、中央府との交渉にセントラルに赴くサッタールに同行した。今は電子制御の義足をつけている。
・コータム・サスティ
二代前の長。今は能力が減退しているが、かつては透視に優れていた。長老にして頑迷なご意見番だとサッタールに思われている。
・サハル・ビッラウラ
サッタールの姉。人体の神経を補修できる微細念動力者。コラム・ソルの癒し手。
・ミア・カーター
コラム・ソルの超常能力者。植物の育成に力を使う。
・ジャン・ポワイエ
コラム・ソルの超常能力者。金属の精錬に力を使う。
【ファルファーレ海軍】
・アレックス・イルマ
ファルファーレ海軍少尉。交渉にあたるサッタールの世話役を務めていたが、トゥレーディア事件の際、命令違反を承知でサッタールとは別に基地に潜入し、部下であるジャクソン曹長を射殺した。その責をとって海軍は退任。今は中央府コラム・ソル事務所長。普段はのんびりとした脳天気なお人好し。
・ミュラー元帥
海軍大将軍で三軍の最高位である元帥だった。サッタールの立場に理解を示し、セントラル滞在中は邸を提供してコラム・ソルと中央府の仲立ち役を買って出た。トゥレーディア事件で引責辞任した。下手なポエムを作るのが趣味。
・ジャクソン曹長
海軍特殊戦闘部隊の小隊長。セントラルにいるときはミュラー家の護衛もしていた。サッタールに対しては不信感を隠しもしなかったが、サムソン大宙将の陰謀に対抗する為にアレックスと共にトゥレーディア基地に潜入。サムソンに精神を操られていたとしてアレックスに射殺される。
【ファルファーレ宇宙軍】
・サムソン大宙将
宇宙軍のトップ。コラム・ソルの超常能力者に激しい敵意を抱く。理由は自身も隠れた超常能力者であるからだった。その能力で周囲を操り、コラム・ソルを滅ぼそうと画策してトゥレーディア基地でサッタールと対決。破れて植物人間となる。
・ミハイル・エステルハージ・
宇宙軍中尉でアレックスとは士官学校の同期。名門の出でエリート意識が高かったが、サムソンに操られてトゥレーディア事件ではサッタールに銃を向けた。その責をとって宇宙軍を退任。ナジェーム宙航大学で航法システムの教官となる。
☆用語
【地理】
・ヴェルデ(西)ブルーノ(南)ブリージョ(北)ブル(東)の四つの大陸と政府機関を集めた人工島セントラルが惑星の半分にかたまり、残りの半分はロジェーム海で占められている。コラム・ソルはロジェーム海の真ん中に位置する。
【二つの月】
・トゥレーディア 大きいほうの月で外宇宙へ行く為の宇宙港と軍の基地がある。
・ロビン 小さな月。宇宙軍の基地がある。
※ファルファーレ世界地図です