出会い 7
いつから好きになったのか。
はっきりと覚えているのは、たまたま休み時間に廊下ですれ違った時だ。
向こうから彼女と友達が、楽しそうに話しながら歩いて来ていて、すれ違いざまに見た笑顔に一瞬で心奪われた。
視線が外せなくなり、振り向きながらも見つめていた。
足が止まっている事にも気が付かず、横にいた慎吾に肘打ちを喰らわなければ、ずっとその場に首を後ろに曲げた間抜けな格好で、立ち止まったままだっただろう。
「なに見てんだ?」
「いや、別に」
不思議そうに慎吾が聞いてきたが、目だけは彼女の後ろ姿から外せなかった。
「あの2人を見てんのか?二組の赤木と高藤じゃん」
「あー、知ってる。う、うん。ちょっと知ってる。あ、でも知らないかも」
慎吾の質問に、水月の辺りがギュッと萎む感覚に動揺して、自分でも意味不明な答え方をしていた。
「はあ?」
「いや、何でもない。ただ知り合いに似てたから」
「はあ?知り合いたって、あの2人は小学校から一緒だろ。俺が六年の時、一緒のクラスだったよ」
「そっか。俺は別だったから。うん。別だった。絶対。」
「絶対?意味わかんねー」
慎吾が眉間に皺を寄せて苦笑いした。
真知子の後ろ姿が消えた途端、身体の力が抜け、熱いため息が漏れた。