出会い 4
しばらく三人は無言で食べていたが、ラーメンの麺を食べ終えた賢一がひと息ついて、淳志の顔を覗きこんで口を開く。
「ところで、淳志。あの話はなんか進展したか?」
「え?」
「まさか、まだ進展してないのかよ」
賢一が呆れ顔になりかける。
「もう、ひと月たったんだぜ。覚悟だって出来ただろ」
「う、うん。まあ、覚悟は出来たよ」
「じゃあ、いつ告白するのよ」
「いまはタイミング待ち」
淳志はちょっと怒ったよう言いながら、最後のハンバーグの一切れを口に入れた。
慎吾は話しの成り行きをニヤニヤしながら聞いている。
「ひとこと、このTシャツ着て下さい。ってお願いすれば済む話じゃんよ」
「断わられたら、どうすんだよ。恥ずかしくて悲しくて合宿なんか行けるか」
「おいおい、淳志。答えを考えてたら、なんの行動も出来なくなるぜ」
淳志は次第に顔が熱くなるのが分かった。
このテの話しになると、鼓動が高鳴り頬が熱くなる。
「勢いだよ、勢い!こういう事は勢いで何とかなるもんだよ」
ニヤニヤしながら慎吾も口を挟む。
「もうそろそろ合宿の集会も始まるんだぜ。始まったら準備に忙しくて、タイミング逃しちゃうぞ」
もっともらしく言う慎吾の目は笑っていた。
「分かってるって。外野はうるさく言うな」
淳志は顔の火照りを冷ますように、コップの水を一気に飲み干した。