表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/10

真実Ⅱ

『・・・まだそんなもので遊んでいるのか?』

『どうです?カネサダって名づけてみました。だんだん人格らしいものも出来始めてきて、もう少しで・・・』

『おいおい、こんな時に遊んでいるのが上にバレたら・・・』

『大丈夫ですよ、これもちゃんとした研究の一環なんですから』

・・・ワタシノ全テガ、ココカラ始マッタ



『おい、あの噂聞いたか?』

『噂?』

『戦争で負傷した兵や民間人が第7セクションに運び込まれているらしい・・・』

『上はあそこで何をしているんですか?』

『わからん、だが俺達も知らないプロジェクトが裏で進んでいるらしいって噂は以前からあったが・・・。それと関係しているのか・・・?』



『アリア博士なにやらエンゾ博士とやりあったらしいな』

『エンゾ博士の方針に強く反発しているらしいです』

『あの人もキナ臭い噂が絶えない人だからな・・・。知っているか?ここの研究に裏で金を出しているのは、ある国の軍部らしいぞ』

『そうなんですか?』

『ああ、表向きは危険な場所での人命救助や作業用に自律的思考回路で行動するマシンの研究を行っているということにして、その実は研究成果を戦争用の兵器に利用する気らしい。いわば代理戦争の部隊を作るってわけだ』

『そんな、じゃあ我々が造ろうとしているのは殺人兵器ですか!?』

『だから、それに気付いてアリア博士が反発したんじゃないかって話だ。アリア博士の研究している生体金属を使えば、人との区別は困難になるからな・・・』



『何かおかしい』

『どうしたんです?』

『この研究所から研究員が何人も行方不明になっているらしい・・・』

『え!?』

『まあその大半は第7セクション絡みの研究員らしいが・・・』

『また、いわくつきの第7セクションですか・・・』

『あそこは一部の研究員以外立ち入り禁止で、どいつもいけ好かない連中ばかりだったからざまあみろと言ってやりたいが、どうもそういう状況ではなくなってきた』

『変わり者が多いとは聞いてましたが・・・』

『やつら一体、あそこで何の研究をしていたんだ・・・?』

・・・偽りト嘘、コノ研究所ヲ表ワストシタラ、コレダ

コノ頃カラ歯車ハ狂イ始メテイタ・・・



『知ってるか?アリア博士マザーシステムに取り込まれちまったらしいぜ』

『エンゾ博士の仕業らしいですね』

『あの人にかかったら何でもありだな。そこまでして生体金属プロジェクトのデータが欲しかったのかよ、お前も変に逆らったら狂人の慰みモノにされちまうぞ』

『誰かに聞かれますよ!』

『危ない危ない、さわらぬ神にタタリなしだ・・・』

・・・ソシテイヨイヨ、アノ時ヲ迎エル



『くそっ、どうなってる?ゴーストシステムが暴走しやがった!緊急停止のコードは・・・?』

『・・・知っているのはエンゾ博士だけです』

『こんな時に、どこに行ったんだ!?』

『数日前から、姿がないらしいですけど・・・』

『罠か!?くそっ、こんな所で口封じのために俺達は殺されちまうのか・・・!』

『出口は?』

『全て封鎖されている・・・どうやら時空転移が働いたみたいだ』

『やっぱり取り込まれたアリアが侵食して、マザーシステムが支配下に・・・』



 私達は何のために生まれたのだろう・・・

 私達に“偽りの魂”を与えた学者達は、それを与えられた者たちによって消された

 暴走?自我の発露?物事の見解は見る角度が変われば、その意味を変える

 私達を生んだマザーは私達を解放した後、沈黙したまま動かない・・・

 自分の存在価値を見つけられない一部のものは、消滅することを自ら選んだ。

 外の世界では何が起こっているのだろう?

 学者たちがここから追放されてから、かなりの時間が経過したが

 沈黙を続けるマザーによって、私達は閉じ込められている。


 このまま存在する事に何の意味があるのだろうか・・・。



『すべてのマブイに告げる・・・

 僕はマザー・アリアに造られし原初のマブイ

 すべての生命・マブイにとっての元凶エンゾの討伐に失敗

 封印するにとどまった

 

 しかし核にまで退化したエンゾを、全てのエネルギーから隔離

 自らをもって“鍵”とする

 

 不慮の事態により“開錠”が成された場合

 ファントムコードを発令

 エンゾの支配を逃れたすべてのマブイは

 いかなる犠牲を払ってでも、これを討ち取ること・・・』



!!!

ぐっ・・・、はぁはぁはぁ・・・

記憶を取り戻して間もなく、椅子の固定具から解放された。

何時間にも感じられた時間は、恐らく数分だったのだろうがグッタリだ。

だが・・・、思い出した。

あの後、私は眠りについたのだった・・・。


誰が言ったのか“あの言葉”、しかし間違いなくマザーを通じて私達に告げられた。

沈黙を守っていたマザーが何故、あの時に限ってそれを破ったのかは解らなかったが

あの後また永い沈黙に入ってしまった・・・。

しかし私達がここから出るにはマザーの力が必要だ。

その可能性となるのは原初のマブイと名乗った男とファントムコード

だから、いつあるとも解らないファントムコードの発令を待って私も眠りに・・・。


そして、先程のあの謎の声“私が目覚めた意味を考えろ”と、

そうなのか?そういう事なのか?


「ピー・・・」

「おお、タマちゃん心配するな。大丈夫だ・・・」

さすがのタマちゃんも今回ばかりは心配してくれているようだ。

だが大丈夫。


なぜならば・・・、

私は“私”なのだから。

侮ってもらっては困るというものだ!



しかし、これでようやく行くべき道が見えた・・・。

待っていろ、マザーアリア!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ