相棒
「ナニカ、オ困リデスカ?」
誰だ!?
顔を背後に向けるとパネルがありインフォメーションの文字が目に入る。
どうやら音声認識で案内してくれるらしい。
なんだ・・・、そんな便利なものがあるのなら早く言えよ!
まあいい、これで情報が手に入る。
「ここはどこだ?」
「ココハ第3研究棟インフォメーション前デス」
「いや、そういう意味ではなく・・・」
「?」
・・・要領を得んやつだ。
「この施設はなんだ?」
「シュルナフ研究所デス」
「・・・研究所?」
「概要トシマシテハ、ゴーストシステムノ構築ヲ総合プロジェクトリーダー、エンゾ博士。サブリーダー、トナム博士ヲ主体トシテ行イ、研究員総数1,326名、サラニハ客員研究員ニアリア博士ヲ迎エ、生体金属プロジェクトトノ共同研究ニヨリ・・・」
「いや、もういい・・・」
私はこの手の説明がどうも苦手だ、長々と説明するくせにまるで理解できん。
何かを知ろうとするものを、巧妙にはぐらかそうとする悪意すら感じる。
・・・早い話が、猛烈な睡魔に襲われてしまう!
だがしかし待てよ・・・
研究員の姿がまるで見えないのはどういうことだ?
さっきの説明だと1300人を超える研究員がいるとの事だが
人の気配がまるでないぞ?
「失礼デスガ・・・」
「何だ?」
「第7セクションヘ向カウヨウ指示ガ出テイマス」
そういえば・・・
あのシャワー室みたいな出口で言っていたな。
「おい、その第7セクションはどこにある?」
「“ナビ”ガ必要デスカ?」
なに!?そんな便利なものがあるのか?
「必要だ!」
「右ノレバーヲ回シテクダサイ」
レバー?
言われたとおり右に目をやると、モニターの右下にレバーがある・・・。
これを回すのか?
ガチャガチャ・・・
ガチャガチャ・・・
カポン!
レバー下のシュートから何か出てきたぞ!?
握りこぶしより一回り小さい玉だ・・・
どれどれ、中に何か入っているのか?
ぐぐぐ・・・なかなか硬いな・・・
「ピピピー!!」
どがっ!
いてててて・・・
一体なんなんだ!?玉が額に飛んできたぞ?
ホワンホワン・・・
ん?
おおお!玉に羽が生えて飛んでいる!?
というか浮いている!?
「ピ?」
「なんだこれは?」
「ナビゲーションシステム TE3085-AZVデス」
「ピー♪」
「なびげ・・・?」
「“迷子ノアナタモ大丈夫、行キタイ所へナビゲート”頼レル相棒デス!」
「ピピピー♪」
「使えるのか?」
「ピッ!?」
どがっ!
あいててて・・・
「ピンポイントでまた同じ場所を・・・」
まあいい、無いよりはあった方がなにかと便利だろう。
「第7セクションだったな、よし行くぞ!何だったかなアレだ・・・」
「TE3085‐AZVデス」
「なんだか憶えづらいな、よし私が名前を考えてやろう」
「ピ?」
「タマ乃 マタ三郎でどうだ?」
どがっ!バキッ!
「いたたた、軽い冗談だろう・・・。タマちゃん」
「ピピッ!」
なんだか訳の分からん連れが出来てしまったが・・・
「まあいい第7セクションに案内してくれ」
「ピー♪」
「ソレデハ、オ気ヲ付ケテ」
「ああ、そうさせてもらうよ・・・」
一体何に気をつければいいのかは分からんが。
私の道は本当に前に進んでいるのだろうか・・・?