目覚め
この小説には一部、青少年に不適切な表現が含まれます。
気分が悪くなった時は、速やかに退場を願います。
ゴオオォン・・・・
激しい轟音と、身体を揺さぶる激しい振動で目が覚めた。
重いまぶたをゆっくりと開くと、そこは狭い空間の中だった。
私は閉じ込められているのか?
ここはどこだ?
・・・というか私は誰だ?
なんということだ、私はまだ寝ぼけているのか何も思い出せない。
自分が誰だかわからない私は、自分をなんと呼べばいいのか?
・・・そんな事はどうでもいい。
落ち着け、落ち着くんだ、私。
こんな時こそ冷静な状況判断だ。
幸い空間のなかは淡い光で包まれており、首を動かすことも出来る。
とりあえず、周囲を観察だ!
はっ!!!
ちょっと待て、どういうことだ?
どうやら私は裸でこの空間に横たわっているらしい。
あわよくばここを抜け出せたとしても、こんなあられもない姿で人前に出られるのか?
もし仮に出られたとして局部の隠匿は最重要課題だろう。
そんなことはどうでもいい。いやよくもないのだが。
落ち着け、落ち着くんだ、私。
まずはここから出る方法と、周りに人がいるかの確認だ。
轟音と振動で目が覚めたが、今は静まり返って振動も何も感じない。
つまり人の気配は感じられないということだ。
少なくとも外の気配をうかがっても、いろんな意味で危険はないだろう。
この空間かなり狭いが身体を動かすことが出来るだけのスペースはありそうだ。
光も少ないが、何があるかの識別くらいはできる。
足の裏に何かが当たっているので下には動けそうにないが、手を伸ばしてみると頭の方向にはまだスペースがある。
上に這い上がると仰向けになった芋虫のようで情けないが、今はそんな事は気にしない。
ずずっと身体を動かしてみると、やはり動きづらいのは否めんがなんとかなる。
ん?何かあるぞ。
何だこれは?
赤いボタンスイッチのようだ。
ぽちっと押すと爆発じゃないだろうな!?
なにか書いてある・・・。
!!!!「開」
落ち着け、落ち着くんだ、私!
・・・罠かもしれん。
しかし誰が何の為に!?
意味がない。
こんなことに罠を仕掛ける意味がない。
GOGO!
私の心の声がGOだ、押せと言っている。
押すしかないのは分かっている。
分かっているのに、指が震える。
しかし!だが、しかし・・・!!!
えーい、ままよ。
“ぽちっとな”
その瞬間、目の前の壁が勢いよく離れていく。
いかん!局部をカバーだ!!(0.8秒)
私の心配をよそに目の前に飛び込んできたのは、赤い照明光に包まれた無機質な部屋の中で棺桶にも似た箱が並ぶ光景だった。
なんだ・・・ここは?
身体を起こして自分の足元を見ると、その箱の中に自分もいたということが理解できた。
おそるおそる足を床につけると、足の裏に冷たい感触とざらついた感触が伝わってくる。
・・・埃か?
私が入っていた以外の箱で開いているものも幾つかあるようだが、他の箱を開いてみるのはやめておこう。
開けて裸の人間が出てきたら、立ち振る舞いに困るというものだ。
“初めまして”で裸はないだろう。
物事には順序というものがある。
第一印象というのは大切だ!
さて、これはいったいどういった状況だ?
二列に並んだ箱がおよそ30といったところか。
並びが途切れた先に見えるのは、この部屋から出る扉だろう。
しかしこの床の埃から推測しても、かなりの永い年月放置されていたような感じだが。
放置プレイか?
永すぎるだろう・・・。
とにかくここを出て、辺りを調べてみないことには何とも言えんな。
とりあえず、この部屋から出てみよう。
扉の前には立ってみた、が。
・・・自動扉ではないらしい。
押しても引いても動かない。
壁にも扉のスイッチらしきものは見当たらないし、あるのは覗き窓くらいか。
くそ、部屋の外はどうなっているんだ?
覗き窓を覗いてみるか。
しかしケツ丸出しで覗き窓から隣を窺う後姿は他人には見られたくないな。
まあ、そんな事も言ってられん。
どれどれ・・・
ん!?
覗き窓の先に見えたものは隣の部屋ではなくモニター画面だった。
個体識別プログラム作動
視点ヲ画像中心部ニ固定シテクダサイ
③
・・・
②
・・・
①
・・・
うおっ!?
0になるであろうタイミングで一瞬目を刺激する光が発せられ、思わず顔をのけぞらしてしまった。
慌ててモニターを覗き込むと、データ認識中の文字が見える。
思わず顔をそむけてしまったが、どうやら大丈夫なようだ。
間もなくしてオールクリアの文字と共にモニター画面が赤から緑に変わった。
なに!?オッケーなのか?
しかし何も起きんぞ?
どうする?どうするんだ私?
よく見てみるとオールクリアの文字の下に“扉に触れてください”と出ていた。
・・・知っていたさ。私を侮ってもらっては困る!
どこでもいいのか?
目の前の適当な箇所に手を置いてみる。
すると、今までピクリとも動かなかった扉が滑らかに横にスライドしていく。
フフン、どうだ!とドヤ顔で通り抜けてやることにする。
どうやら
まずはこの部屋を出る事はできそうだ・・・
どうも°Note(デグリーズノート)です。
初投稿で勝手がわからないので、チビリチビリ色々試しながらやっていこうと思っております。
どうぞ、気長にお付き合い下さい。
さて、この小説はタイトルにもあるように、マブイ【魂】プロジェクトというお話のサイドストーリーで“私”を通じて、設定・世界観のさわりを説明しつつ本編へと繋げていければと考えています。
かなりアクのある内容になっていますが、気に入っていただければ幸いです。
どうぞ末永く、宜しくお願いします。