それは……?
Christmas days の後の木田とパトリック。
「木田サン」
僕はそう呼んだ男の顔に恐怖を覚える。
殺される。
男の視線に殺意が込められていた。
しかし、男はにこっと笑うと四角い箱を差し出す。
「コレお土産。色々お世話にナリマシタ」
「……ああ、ありがとう」
僕はぎこちない手つきで箱を受け取る。
箱はなぜかプラスチックの包装が外れていた。
「それハンドメイドですよ。早く食べたほうがイイミタイデス」
男はそれはそれは穏やかな笑顔を向けるとくるりと背を向けた。
お土産を個人的に受け取ったのはなぜか僕ひとりだった。
「木田さーん。いいなあ。それってクッキー?」
形野さんが身を乗り出して僕の手元を見つめる。
「形野サン、他にもアリマスヨ。それはタイで有名なお菓子ミタイデス。以前木田サンがタイにいたと聞いて、お土産ヤサンでミツケテ、特別に買って来マシタ」
「ふーん。そうなのね。パトリック、それは何?マンゴプリン?」
形野さんは事務所の真ん中で広げられるお菓子の山を見つけると、僕の持つものに興味を失い、パトリックの元へ走る。
僕はじっと手元を見つめる。
大丈夫だろうか。これ?
毒とか入ってるとか?
視線を感じて、目を向けるとパトリックがこちらを見てるのがわかった。
それはそれは美しい笑顔だった。
やめておこう。
危険だ。
僕はそれを自宅に持って帰り処分することを決めた。
この話で、完全完結です。これ以後更新することはありません。
読了ありがとうございました。