華僑の夢
『私と嘘つきな彼氏』の伍視線の独白。
パトリック・コー
ふーん。
私は目の前の整った顔立ちの華僑をじっと見つめた。
華僑だが、中国名はないらしい。
めずらしいな。
私はそう思いながらパトリックを見る。
会社の入っているビルでこの男を見た。
自分と同様華僑のにおいがすると思ったが、とりあえず日本語で話しかけてみた。
男はびっくりしたような顔をして私を見た後、外国人独特のなまりがある日本語で返してきた。
私はそれで奴が華僑だと確信し、中国語で話しかけた。
私はサイドビジネスでデートビジネスをしている。
だからきれいな顔の華僑を見ると声をかけるようにしている。
そう、奴はきれいな顔をしていた。
話してみるとなにやら日本人と付き合ってるしい。
だからアルバイトはできないといいやがった。
まじめに付き合ってるらしい。
どんな女か聞いたが、答えなかった。
数週間後、私は奴の女に偶然に会った。
よく言えば中性的、悪く言えば幼児体型の女だった。
顔は私好みだったが、なんせその体がそそるようなもんじゃなかった。
でも私が見つめるたびに真っ赤になり、それはそれでかわいいなと思った。
数日後昼食に誘ったが断られた。
残念だ。
あの男がどんな顔をするか見たかったのに。
男が連絡してきた。
バイトをしたいだと?
まあ、きれいな顔で日本語も話せる。
使いがってがいいから深くは聞かず、仕事を回した。
が、セックスはしないだと?
が、客からそれに関して文句が出ることはなかった。
ある時、喫茶店で女が一人でお茶を飲んでいるを見た。
様子からして男と喧嘩したようだった。
バイトがばれたのか。
面白そうな展開だと思い話しかけた。
泣かせてしまったようだ。
男が家に転がり込んできた。
なんでも女に追い出されたと。
面倒だか家においてやることにした。
もしかすると私の言葉に原因がありそうだった。
同情して置いてやることにした。
男が酒をつぶれるほど家で飲み、すべて話す。
なるほどな。
私ならさっさと縁を切るのだが、私はそう思いながら男を部屋に運んだ。
運ぶ途中私の服に吐きやがった。頭にきた。
そしてささいな復讐を思いつく。
女を同じ喫茶店で見る。
暗い顔をして昼食をとっていた。
私は昨日思いついた計画を実行する。
私はロリコンじゃないから、幼児体型には興味ないんだが、
まあ、ものはためしだ。
ちょっとした遊びのつもりが男に殺されかけた。
本気だとわかり、焦った。
奴は本当に女を好きらしい。
まあ、かわいらしい女だがな。
友人とともに奴の親父に会う。
どうしようもない男だった。
奴に恩を売ってやった。
あの子に免じてバイトはさせないつもりだが、
何かと利用できそうな男だ。
私は利用できるものは利用する。
そしていつか億万長者になるのが夢だ。
日本で成功している多くの華僑のように。