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前世では異世界で恋人同士だったかもしれないのに、今は普通の地球に転生した。  作者: アラベ幻灯


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4/7

彼らを魔王と呼んでいいのだろうか?一体彼らは何者なんだ?

これがこの物語の最新エピソードです。楽しんでいただけたら嬉しいです。

イセカイズム大集会の余韻が、まだ空気に残っていた。

控室の中。

白い壁。閉ざされた窓。

そして――それを満たす、異質な存在。

中村木・無刀の体を借りた“それ”は、静かに立っていた。

全身を覆う毛並みは微かに揺れ、光を反射するたびに、現実との境界が曖昧になる。

「我が名はゼンタイ。」

声は低くも高くもない。

だが、言葉は耳ではなく、直接、内側に落ちてくる。

カイトは、無意識に一歩下がった。

(……これは、嘘じゃない)

理解ではなく、本能が告げていた。

アリアも、ミカサも、ソフィアも、言葉を失っていた。

先ほどまでの疑念――詐欺師だという確信は、もう形を保てない。

ゼンタイは、ゆっくりと視線を動かし、四人を見渡した。

「汝らが抱く疑問は、単純でありながら、重い。」

沈黙。

「誰が、真実か。」

その一言に、三人の少女の表情がわずかに強張る。

だが、ゼンタイは首を横に振った。

「だが、その問いは誤っている。」

空気が張り詰める。

「真実は一つとは限らぬ。」

カイトの胸が、わずかに軋んだ。

歯車が、また一つずれる音。

ミカサが、眉をひそめる。

「……どういう意味?」

ゼンタイは、わずかに微笑んだように見えた。

「その前に、一つ、訂正しておこう。」

視線が、己の身体――中村木・無刀の姿へと落ちる。

「この男は、汝らが考えた通りの存在だ。」

アリアが息を呑む。

「……やっぱり、詐欺師なの?」

「うむ。」

あまりにもあっさりとした肯定。

カイトは思わず目を瞬かせた。

ゼンタイは続ける。

「虚飾を好み、言葉を飾り、金を集めることに長けた凡俗の人間。」

間。

「だが――」

空気が変わる。

「ある夜、この男は夢を見る。」

ソフィアの目が細くなる。

「……夢?」

「そうだ。」

ゼンタイの声は、静かに深く沈んでいく。

「我は、その夢の中で、この男に触れた。」

光のようなものが、毛並みの奥で脈打った。

「世界の構造。

 魂の循環。

 因果の歪み。」

言葉が、意味を超えて重さを持つ。

「それらの断片を、この男に見せた。」

カイトは、息を止めていた。

(……本当に、与えたのか)

「だが、この男はそれを“夢”と認識した。」

ゼンタイの声に、わずかな愉悦が混じる。

「理解できぬものは、現実として扱えぬ。」

ミカサが小さく舌打ちする。

「……だから、彼は宗教にしたってわけ?」

「うむ。」

即答だった。

「断片的な真理を寄せ集め、物語に仕立て、名を与えた。」

――イセカイズム。

「そして、金を得る手段とした。」

アリアが、複雑な顔をする。

「じゃあ……全部ウソってわけじゃないの?」

「全てが虚偽ではない。」

ゼンタイは静かに答える。

「ゆえに、危うい。」

沈黙が落ちる。

真実と虚偽が混ざり合ったもの。

それは、最も判断を狂わせる。

カイトは、ゆっくりと拳を握った。

(……じゃあ、俺たちの話も)

その時だった。

ゼンタイが、手をかざした。

何もない空間に、歪みが生じる。

紙の束が、そこから“現れた”。

音もなく、四冊。

それぞれの前に、一冊ずつ落ちる。

「これは――」

ソフィアが手に取る。

表紙には、簡素な文字。

――イセカイズム聖典

カイトも、ゆっくりとそれを手にした。

紙の感触は、現実そのものだった。

だが、どこか温度が違う。

「汝らの求める答えは、その中にある。」

ゼンタイの声が、静かに響く。

アリアが、すぐにページを開こうとする。

だが――

「急げ。」

その一言で、手が止まった。

空気が変わる。

先ほどとは別の緊張。

「時間は、多くない。」

カイトの背中に、冷たいものが走る。

「……何の話だ」

初めて、自分から問いを投げた。

ゼンタイの視線が、カイトに向けられる。

その奥に、底のない何かが揺れていた。

「来る。」

短い言葉。

ミカサが、一歩前に出る。

「誰が?」

間。

ほんの一瞬の沈黙。

そして――

「白と黒の、二色があるデーヴァたち。」

その名が発せられた瞬間、

空気が、凍った。

このエピソードを楽しんでいただけたなら幸いです。次のエピソードも近いうちにアップロードします。

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