偽の賢者は本物の賢者かもしれない。
これはこの物語の最新エピソードです。皆さんに楽しんでいただければ幸いです。
イセカイズムの大集会の日。
カイトと三人の少女――アリア、ミカサ、ソフィア――は、人々の波に押されながら会場に足を踏み入れた。
白い衣をまとった信者たち。整然と並ぶ椅子。まるで古典的な宗教の儀式のような厳かな空気が漂う。
壇上には、中村木・無刀ナカムラギ・ムトが立っていた。
「皆さん、ようこそ。」
その声には、落ち着きと力が同時に宿っていた。会場中の視線が一斉に彼に向けられる。
ムトはゆっくりと語り始めた。
「ある夜、全能なる神――擬人化されたミアキス、ゼンタイによって、我々は啓示を受けた。」
その目は遠くを見据え、信者たちは息を潜めた。
「教えは一つ。無垢な人々に幸福を与える者は、素晴らしい異世界に転生する。
だが、無垢な人々に苦しみをもたらす者は、言葉では表せぬ恐ろしい運命を辿るのだ。」
会場には静かな感動が広がった。拍手。祈るような視線。
集会が終わると、ムトは控室へ向かった。
「イセカイズムの真理を知りたい者は、控室へ来るがよい。全ての疑問に答えよう。」
カイトたちは密かに控室へ歩みを進める。
途中、ムトの声が漏れ聞こえた。
「……今日の収益は?」
窓越しに覗くと、ムトは助手と共に、イベントで集めた札束を数えていた。
助手が尋ねる。
「一体、どこからこの宗教の着想を?」
ムトは微笑んだ。
「すべては、ある夜の奇妙な夢の中で見たのだ。」
カイトたちは息を殺し、その会話を聞き続けた。
やがて、助手は去り、彼らを認識することはなかった。
控室の扉に手をかける。ムトの声が中から響く。
「どうぞ。」
中に入ったカイトたちは、ムトの姿を目にして確信した。
――この男は、ただの詐欺師。信者から金を巻き上げるだけの存在だ。
だが、その瞬間、異変が起きた。
ムトの体に、毛が生え始める。腕、胸、背中……全身を覆う毛。
一瞬のうちに、彼の姿は人型ミアキス――ゼンタイへと変貌した。
神々しい輝きを放つ存在が、目の前に立つ。
「我が名はゼンタイ。」
その声は、地上の言葉を超え、魂に直接響くかのようだった。
カイト、アリア、ミカサ、ソフィア――四人は息を呑む。
詐欺師だと疑っていた確信は、目の前の存在によって完全に覆された。
――歯車の狂いは、さらに深く、世界の中で静かに、しかし確かに響き始めた。
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