第12話 立場と権力に人は逆らえない
小川圭太を奈落の底へと突き落とした葛嶋は俺が落ちていくのを最後まで確認した後、ゲラゲラと穴の底に向けて大笑いをかました。
「ぎゃはははははは!!!! ざまぁみやがれ!! 俺のことを舐めてるからこうなるんだ!!」
「あ、あの……葛嶋さん。さ、流石に故意に突き落とすのは……」
鈴木が送った言葉に葛嶋は鋭い目つきで睨み返した。
「あ? んだてめぇ? 俺に説教垂れんの? そんな立場偉いっけか?」
「いや、そういうわけでは……」
葛嶋は鈴木に近づくと突然鈴木のみぞおちに向けて強烈な一撃を叩き込んだ。
「ぐはあっ!?」
鈴木の身に纏う金属鎧が受け止めきれぬほどの衝撃を瞬時に生み出し、鈴木は壁に吹き飛ばされた。
「あ!? す、鈴木さん大丈夫ですか!?」
突発的に鈴木の側へと駆け寄ったのは美香だった。
「あ、ああすまない……俺が悪いんだ……俺が変なこと言ったからよ……」
「じっとしててください……今治療しますから……」
美香は鈴木の腹に回復魔法をかけ、葛嶋から受けた攻撃の傷を癒してやった。
「つか……ぶっちゃけお前らも思ってたろ? オタクが俺たちのお荷物だってことをよぉ? お荷物が俺たちの役に立つ為には少しくらい犠牲になってもらわなきゃ。それに……」
突然、この部屋が小刻みに揺れ始める。
すると、部屋に空いた穴を塞ぐように両サイドから岩でできた床が出てくると中央で結束すると、部屋の奥に新たな扉が生まれたのである。
「俺は正しいんだ。実力も判断力も俺に及ばないお前らは俺に従っていれば良い」
「「「「……」」」」
葛嶋の言葉で周囲の者達は黙り込むことしかできなかった。
権力のある上司には誰も逆らえない。
(……思ったより最低のクズねこいつ。案件受けなきゃきゃよかった)
終わっている空気感に心の中でそう呟くぴよこ。
「おい、配信を再開させろ」
「……了解です」
ぴよこは不服そうにカメラに電源をつけて、配信の準備をする。
(あいつ……生きてんのかな)
ぴよこは圭太につけておいた小型カメラの視点へと切り替える。
小型カメラの電波はどうやら生きているらしく、ぴよこはその映像を確認できた。
しかし、カメラの視点は只々真っ暗で動いてるかどうかも分からない。
(……死んじゃったか)
ぴよこは直ぐに自身のカメラに視点を切り替え、配信を再開した。
「みんなごめんねぇ〜〜お待たせ♪ちょっとした機材トラブルが治ったから配信さいかいするよぉ♪みんな聞いて聞いて!!配信外でなんか道ができちゃったんだよねマジうける☆こっからガンガン探索していくからみんなついてきてぴよ♪」
流石はプロ配信者、あの死んだ表情から一転して配信用の自分に切り替える速度だけは早い。
その後、周囲の重苦しい雰囲気をできるだけ視聴者に感じさせないようになんとかフォローをしていた。
視聴者には小川圭太という人間が葛嶋によって穴に落とされた非人道的な行いなど知らない。
そして、その件にこのパーティは誰も触れず普通の配信がつづいていくだろう。
「さぁ、いくぞ」
葛嶋はの声でパーティ達が動き出す。
パーティメンバー1人の犠牲でできた新たな道を皆は進んでいく。
「……」
道を振り返り、穴のあった場所を美香は見つめながら圭太の心配を密かに呟いていた。
最後までお読み頂きありがとうございます!
この作品を読んで
「面白い!」
「続きが気になる!!」
「これからも続けて欲しい!!」
もし、以上の事を少しでも思ってくださいましたら是非評価を『☆☆☆☆☆→★★★★★』して頂く事やブックマーク登録して頂けると執筆のモチベーションに繋がります!!
それでは次回まで宜しくお願いします!




