闇夜の炎
鉄の槌が鋼の金床に打ち付けられる音は、眠れる巨獣の鼓動のように、規則正しく、そして厳かに響き渡った。カン。カン。カン。
オークヘイヴン村の狭く蒸し暑い鍛冶場で、ケイレンは額から流れ落ちる汗を拭った。琥珀色の瞳は、炉の赤橙色の炎を反射してきらめいている。彼は重い大槌を振り上げ、真っ赤に熱した鉄の延べ棒に力強く振り下ろした。火花が花火のように飛び散り、煤けた粗布の服の下で、十九歳の青年の引き締まった筋肉を照らし出した。
「集中しろ、坊主!」部屋の隅で戦斧を研いでいた老ブロムの雷鳴のような太い声が響いた。「鋼にも魂がある。お前の心が雲の上をさまよっていれば、出来上がる剣はビスケットみたいに脆くなるぞ。」
ケイレンはため息をつき、呼吸を整えた。「分かっています、親方。ただ…今日は空気がどうにもおかしいんです。」
彼は手を止め、槌を金床に置いた。煤で曇った窓の外、夕暮れの空は、普段の鮮やかなオレンジ色ではなく、不気味な紫色に染まっていた。風は止んでいた。日暮れ時になるといつもざわめいていた村の古い樫の木の葉も、恐ろしいほどに静まり返っている。胸にのしかかる重い静寂は、かすかな硫黄の匂いと...古い血の匂いを運んできた。
分厚い編み込みの銀色の髭を持つ大柄な男、ブロムは研ぐ手を止めた。彼は目を細めて窓の外を眺め、太い眉根を寄せた。彼は鼻を鳴らし、その大きな肺で深く息を吸い込んだ。
「嵐の匂いだ」ブロムはつぶやいたが、いつもの確信に満ちた声ではなかった。彼は立ち上がり、石畳の上を義足でコツコツと音を立てながら正面の扉へ向かった。「だが、雨嵐ではない。ケイレン、炉の火を消せ。扉を閉めろ。今夜はもう鍛冶は終わりだ。」
ケイレンは驚いた。「ですが、ブロム親方、ヴァーン男爵の注文が…」
「あの肥満野郎のことは忘れろ!」ブロムは叫んだ。その声には、珍しく切迫感が込められていた。彼は振り返り、壁にかかっている大剣を掴んだ。それはケイレンがこの十年で一度も彼が使っているのを見たことのない武器だった。「すぐにやれ!」
ケイレンはそれ以上問うことなく、急いで砂を炉に入れ、火を消した。炎がしぶしぶ消え去るジリジリという音が響き、部屋は薄暗い影に包まれた。彼は分厚い木製の扉へ駆け寄り、重い鉄の閂を下ろした。
最後の閂をかけた直後、森の端から夜を引き裂くような遠吠えが響き渡った。
それは狼の声ではない。熊の声でもない。それはガラスを引っ掻く金属音のような、耳をつんざくような甲高い金切り声と、飢えた捕食獣の唸り声が混ざり合った音だった。それに続いて、村の警鐘がけたたましく鳴り響いた。ボーーン!ボーーン!ボーーン!
「奴らが来た」ブロムはつぶやき、血管が浮き出た手で剣の柄を固く握りしめた。
「誰が来たんです?」ケイレンは手元にある唯一の武器、鍛冶用の槌を掴んだ。心臓が胸の中で激しく脈打つ。
凄まじい衝撃が樫の木の扉を揺るがした。天井から埃がパラパラと落ちてきた。何か巨大で、途方もなく強いものが、扉をこじ開けようとしている。
ドスン!
扉にひびが入った。真っ黒で長い爪が、まるで紙のように厚さ五寸の木材を突き破ってきた。ケイレンは恐怖に顔を引きつらせ、入口を引き裂いているその生物を見つめながら後ずさりした。
それは体高二メートルを超える怪物で、全身が黒曜石のような黒い鱗で覆われていた。二足歩行だが背中を丸め、地面に届くほどの長すぎる腕には鋭い爪が生えている。顔には眼がなく、ただギザギザの牙が生えた大きな口と、紫色の不気味な光を放つ隙間があるだけだった。
「シャドウストーカー(虚影獣)め…」ブロムは唸った。「ケイレン!地下室に逃げ込め!今すぐだ!」
ケイレンが反応する間もなく、怪物は信じられない速さで飛び込んできた。それはブロム目掛けて爪を振り下ろした。老いた鍛冶師は戦いの雄叫びを上げ、大剣を振るって受け止めた。
キン!
まばゆい火花が散る。衝突の衝撃で棚にあった鍛冶道具がガタガタと床に落ちた。ブロムは数歩後退したが、それでも立ち続けた。元戦士としての技術が蘇り、彼は素早く回転して怪物の脇腹を薙いだ。剣の刃が鱗を切り裂き、黒い血が勢いよく噴き出した。血は床に触れると濛々と煙を上げた。
怪物は苦痛に叫び声を上げ、後ずさりした。しかし、扉の隙間から、さらに二体のシャドウストーカーが部屋に忍び込んできた。それらの紫色の眼が部屋の中を素早く探し、ケイレンに焦点を合わせた。
「ブロム親方!」ケイレンは、一体が親方の背後から突進するのを見て叫んだ。
彼は考えるよりも早く、生存本能と、唯一の肉親を守りたいという思いに突き動かされた。ケイレンは鍛冶槌の柄を固く握りしめ、突進した。彼は十年間の槌打ちで鍛え上げた両腕の全ての力を込めた。
「ハアアアア!」
ケイレンの一撃は、ブロムをだまし討ちしようとした怪物の頭蓋骨に正確に命中した。バキッ! 骨が砕ける甲高い音が響いた。怪物は痙攣して倒れ、動かなくなった。奇妙な熱が槌の柄からケイレンの腕へと流れ込み、溶岩のように熱かったが、生死を分けるその瞬間、彼は気にも留めなかった。
ブロムは振り返り、驚きと誇りが入り混じった眼差しでケイレンを見たが、すぐに彼の顔は引き締まった。「突っ立っているな!奴らは大勢いるぞ!」
外では、村人の悲鳴が悲痛に響き渡り始めていた。焦げた煙の匂いが鼻をつく—家々が燃えているのだ。紫色の魔炎が、平和だったオークヘイヴン村を焼き尽くしていた。
「みんなを助けなきゃ!」ケイレンは外へ飛び出そうとした。
「駄目だ!」ブロムはケイレンの肩を掴んだ。その力はケイレンが痛みを感じるほど強かった。彼はケイレンを、炉の炭の山の下に隠された地下室の扉へ引きずった。「よく聞け、ケイレン。奴らは村のためではなく、お前のために来たのだ。」
ケイレンは呆然とし、目を見開いた。「な…なんだって?なぜですか?」
「説明している暇はない!」ブロムは炭を蹴散らし、古代文字が微かに光る重い鉄の扉を露出させた。彼は首元の服の内側から、竜の血のように真っ赤な石が付いたネックレスを取り出し、ケイレンの手に押し付けた。「これを持て。北へ向かい、銀の砦を探せ。エララという女に会うのだ。これを彼女に渡せ。」
ガシャン!
家の裏の壁が崩れ落ちた。以前の個体よりもはるかに大きく、背中に鋭い棘が生えたシャドウストーカーが部屋に入ってきた。それは、部屋の空気を凍りつかせるほどの冷たい殺気を放っていた。これは**指揮官**だ。
ブロムは力ずくでケイレンを地下室に突き落とした。「行け!何としてでも生き残れ!それがお前の最後の命令だ!」
「親方!」ケイレンの目から涙があふれた。彼はもがいて、留まって戦いたかった。
だが、ブロムは地下室の扉を激しく閉めた。鉄の閂がカチリと音を立てて固定され、ケイレンと上の世界を隔てた。
扉の小さな隙間から、ケイレンは激しく燃え上がる紫色の光を見た。彼はブロムの決死の叫びを聞いた。「さあ来い、化け物ども!鉄の戦士の剣を受けてみろ!」
その後、恐ろしい衝突音と破壊音が続き、そして最後に…沈黙が訪れた。
ケイレンは叫び声を上げないよう、唇を噛み締めて血を滲ませた。彼は手に赤い石を握りしめ、その熱が皮膚に伝わるのを感じた。それは慰めであり、同時に彼を駆り立てるものだった。彼は暗く、湿っぽく、カビ臭い地下トンネルの中にいた。
オークヘイヴン村は陥落した。親方、彼の父であり師であったブロムは、おそらく…。
ケイレンは涙を拭い、その眼差しは苦痛から断固たる決意へと変わった。ここで死ぬわけにはいかない。彼は生き残って真実を見つけ、ブロムと村人の復讐を果たさなければならない。
彼は暗闇の中を手探りで進み、北の森の端へ続く脱出トンネルを走り抜けた。トンネルは長く、狭く、天井の土を突き破った木の根が彼の顔を痛々しく叩いた。一歩走るたびに、上の惨状を思い、胸が締め付けられた。
ケイレンが巨大な古木の根元にある秘密の出口から這い出たとき、夜空は村から立ち上る炎の光で赤く染まっていた。黒い煙の柱が渦を巻きながら立ち上り、星々を覆い隠していた。悲鳴は少なくなり、代わりに怪物の勝利の唸り声が響いていた。
彼はひざまずき、土を固く握りしめ、今や燃える残骸と化した鍛冶場を見つめた。
「誓う」ケイレンは、かすれた声で、しかし千斤の重みを持つ誓いを込めて囁いた。「お前たちを皆殺しにしてやる。一匹残らず。」
突然、彼の手の中の赤い石が激しく輝いた。強烈で荒々しいエネルギーの奔流がケイレンの背骨を駆け上った。彼は自分の五感が異常に研ぎ澄まされたのを感じた。百メートル先で葉が擦れる音を聞いた。彼は近づいてくる生物の生臭い匂いを嗅ぎつけた。
パキッ。
彼の真後ろで小枝が折れた。
ケイレンは振り向き、鍛冶槌を防御の構えで高く掲げた。
そこに立っていたのは、枝葉を透過した銀色の月明かりの下で、シャドウストーカーではなかった。それは一人の女性だった。
彼女は体にぴったりとフィットした革鎧を身に着け、その上に破れた黒い絹のマントを羽織っていた。月光のように白い髪が背中に長く垂れている。彼女の両手には二本の湾曲した短剣があり、その刃は冷たい青い光を放っていた。しかし、ケイレンが最も目を引かれたのは彼女の目だった—夜空のように深く、紫紺色で、その瞳は彼の手の中の赤い石をじっと見つめていた。
「やはり噂は真実だったか」女性は口を開いた。その声は冷たいが、渓流のように心地よかった。彼女は剣を鞘に納め、一歩前に踏み出した。「炎の子が目覚めた。」
ケイレンは警戒し、後ずさりした。「あなたは誰だ?あの怪物たちと仲間なのか?」
女性は口元に薄い笑みを浮かべた。そこには何の温もりもなかった。「もし私が彼らの仲間なら、お前が私の足音を聞く前に、その首は胴体から離れていただろうさ。」
彼女は燃える村を指差した。「あの虚無の者たちは、ただの序曲に過ぎない、若い鍛冶師よ。今夜、エセルガードは正式に灰の時代に足を踏み入れた。そしてお前は…」彼女の視線が鋭くなった。「…唯一残された火種だ。」
「何を言っているのか分かりません」ケイレンは苛立ちと悲痛で声を荒げた。「親方は私に、銀の砦でエララという人を探せと言いました。道を知っていますか?」
女性は笑い出した。その笑い声は澄んでいたが、苦々しさに満ちていた。彼女は銀の髪を軽く肩の後ろに払った。
「遠くまで行く必要はない」彼女は言った。「私がエララだ。そして、老ブロムは私がお前を見つける時間を稼ぐために死んだ。彼の死を無駄にするな。」
ケイレンは呆然とし、槌を下ろした。親方は全てを仕組んでいたというのか?
エララは背を向け、森の最も深い、闇の濃い場所へと歩き始めた。「生きたければ私について来い。シャドウハウンド(影の猟犬)がお前の血の匂いを嗅ぎつけるのは時間の問題だ。我々の旅は始まったばかりだ、そして信じろ、この世の地獄はお前の小さな鍛冶場よりもずっと恐ろしいぞ。」
ケイレンは村を最後に一度だけ振り返り、涙を飲み込んだ。彼は石と槌を強く握りしめ、銀髪の女性の後ろ姿を追って走り出した。
深い夜の闇が彼らを包み込んだが、ケイレンの手のひらの中で、赤い石はくすぶり続け、今にも世界を飲み込もうとする永遠の闇に対する挑戦状のように燃えていた。




