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視線
なにかをしたわけでもないのに
誰かに責められているような気がして
誰かの小さな笑い声が
誰かのないしょ話が
誰かの手の動きが
誰かの視線が
全部
わたしのことを話しているのではないかと
わたしを攻めているのではないかと
そう感じてしまうのです
それはもちろんわたしの自意識過剰で
実際の世界はもう少し優しいことを知っています
わたしの動きや行動にたいして興味がないことも
全部
全部
最初からわかっているのです
あなたのたちの世界のなかで
わたしがいかにちっぽけな存在であるのか
数年後のあなたたちの記憶のすみに
私が少しも存在していないであろうことなど
わかっているのです
全てわかっているはずなのに
今日もわたしは誰かの視線におびえながら
窓の外のメジロに
助けを求めてみたりするのです