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第95話 試験期間


 事故の現場を離れて、転移魔法で家に帰ってきた。今回も人を助けることができたわけだが、間に合わなかった人達もいた。


 事故があった際に、前の方にいて追突された車の中にいた数人はほぼ即死のような状況だったのだろう。いくら大魔導士の力を継承したとはいえ、どうやったってできないことはある。


 とはいえ、なかなかそう簡単には割り切れないものでもある。




「はい、事故にあった人達の何人かは助けることができたのですが、数人は間に合いませんでした」


 電話で守さんに事故の一連の報告をしている。特にこちらから連絡する必要はないと言われていたが一応連絡しておいた。


「立原さん、お疲れさまでした。間に合わなかったのではなく、助けることができたと考えてください。立原さんが現場に行かなければもっと多くの人命が失われていたと思いますよ」


「……はい。ありがとうございます」


 守さんに気を使われてしまったようだ。頭ではわかっているけれど、なかなか割り切るのは難しい。


「警察やレスキューの人達にはこちらから伝えておきます。あとはドライブレコーダーについてですね。


 破損している車については警察のほうで確認する際に回収できるのですが、事故現場から離れていた車については少し難しいですね。


 ですがその場合は遠いためはっきりとは写っていないと思われます。もしも動画があげられてしまった場合にはすぐに削除しますのでご安心ください」


「はい、ありがとうございます。さすがにあの映像があったとしても自分の個人情報まではわからないと思うのでほどほどで大丈夫ですよ」


 たとえ動画があがってしまったとしても、あのスーツから俺に辿り着くとこはできないだろう。守さんにはこのスーツを作る前にバレてしまった。まあ普通は学生服や顔だけで個人に辿り着くこともできないんだけどな。

 

「わかりました、ではそのあたりは合法的な手段だけにしておきますね」


「……ええ、それでお願いします」


 合法的ではない手段については聞かないでおこう……


「そういえば立原さんの学校の試験はいつ頃からになりますか? さすがに試験期間中はこちらから連絡しませんので」


 そう、うちの学校は再来週からテスト期間に入る。守さんは気を使って試験期間中は事件や事故が起こっても俺に連絡をしないようにしてくれるわけか。


「……いえ、いつもと同じように連絡してください。どちらかというとあとで大きな事件や事故を知ってしまった時の方がショックが大きそうです」


「……立原さん、前にも言いましたけど、人助けも大事ですが、ご自分の私生活も大事なのですよ。高校での試験の結果は将来に関わります。試験の時くらいは大人しくしておいてください」


 さすがに高校での試験をサボるのがまずいことは俺にもわかる。


「それでも連絡だけはもらえますか? もしかしたら試験の終わる時間ちょうどになるかもしれないですし、その日の最後の試験だったらすぐに終わらせてから体調不良で退出もできると思います」


「……わかりました、立原さんの意思を尊重します。ですが、試験期間中は今まで以上に大きな事件や事故だけしかお知らせしませんからね」


「はい、それでお願いします。すみません、いろいろと我儘を言ってしまって」


「いえ、そんな立原さんだからこそ私も微力ながらお手伝いさせてもらいたいと思っております。それに立原さんが周りの人をできる限り助けようとしてくれるからこそ、私の妹も助けていただけたわけですからね」




 そんなわけで月曜日。来週の水曜日からは試験が始まってしまう。水曜日から金曜日まで3教科ずつ3日間かけて行われる。いつもだいたい1週間前くらいからテスト勉強を始めている。


「はあ、来週からテスト期間かよ……」


「でもそれが終わったら夏休みだからね。試験が終われば楽しい長期休みなんだから頑張ろうよ」


「そうだな。試験が終われば夏休みだ! たった3日間だけ頑張ろう!」


「……そりゃ渡辺も立原も頭いいからな。俺は毎回2〜3教科は赤点があって補習なんだよ!」


 確かに俺も渡辺も成績だけなら上位に入っている。まあ渡辺はともかく、帰宅部である俺が勉強できなかったらいろいろとまずい。


 それにいじめられていたころはストレス発散の一部を勉強に向けていた。せめていじめていた連中よりはいい大学にいこうと必死に勉強していたからな。


 ただそれでも生徒会長であった露原には敵わなかった。確かあいつは毎回5位以内には入っていたはずだ。俺は10位〜20位くらいの間だったかな。


「また一緒に勉強でもしようか? 要点とかはある程度まとめておくよ」


「そうだな。久しぶりに図書室にでも行くか」


「心の友よ〜!」


 3人でつるんでいた時は放課後に図書室で勉強したりしていた。特に安倍はあまり勉強が得意じゃないからな。勉強会といいつつ、俺と渡辺で試験範囲を再確認して安倍に要点を教えるといった流れだ。まあそれも俺達にとっての勉強にもなるからな。




 そして今週は試験の勉強漬けの毎日だった。そのうち数日間は安倍や渡辺と集まって勉強会をしていた。さすがに今週の土日は異世界にも行かなかったな。


 なんだかカオスな状況の中で異世界から日本に帰ってきた気もするが、こればっかりは仕方がない。テスト期間が終われば夏休みに入って時間に余裕ができるから、ゆっくりと異世界にも行けるようになる。


 そんなこんなで迎えた試験期間。俺や守さんが危惧していた試験期間中の大きな事件や事故は特になかったので本当によかったよ。これで来週のテスト返却期間が終われば待ちに待った夏休みに突入だ!


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!

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誤字脱字、日本語のおかしいところがありましたら教えて頂けますと非常に嬉しいです( ^ω^ )

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キャンプ場
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