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第61話 ブラッドリーの街


 楽しかった日曜日のライブが終わり、今日は悲しい月曜日。幸い工場の事故動画のほうはあれ以上大きな騒ぎになることはなく、少しずつ落ち着いてきている。


 ただあの動画をあげた人とは別の人が、検証動画などを新しくあげていた。あれだけの資材を持ち上げたり、歪んだドアを開けるのにはどれくらいの力が必要なのかや、マントの下に水を入れたタンクを仕込めばあの動画のようなことはできるか、など本当によく考えるよな。




「いや〜昨日は楽しかったよね」


「はあ……楽しかった分だけ今日がしんどい」


「俺もチェキを撮ってもらったり、グッズを買いすぎてしまった! 後悔はしてないけど金が……」


「僕も最初のライブに行った時にはそうだったな。次に行く時はあらかじめ何を買うか決めておいたほうがいいよ」


 やっぱりグッズにまで手を出すと高校生にとっては懐が厳しい。俺もこの前飯島さんにもらったお金が尽きそうだ。そろそろこっちの世界で何かお金を稼ぐ手段を検討しなくてはならないな。


「立原くん、おはよう」


「川端さん、おはよう」


「昨日は楽しかったね。また誘ってくれるとうれしいわ!」


「うん、昨日はありがとうね。また誘うよ!」


 川端さんは月曜なのに元気そうだ。朝から女の子の笑顔が見られて少しテンションがあがる。男子高校生なんて単純なものだ。






 無事に月曜日の授業が終わり、家に帰ってきた。今日は異世界に行って、少しだけ新しい街の方に進もうと思っている。


 この前は北の山脈を目指して海の近くにある街には行かなかったから、今回はその街に向かおうと思う。そして海の街との間にブラッドリーという街がある。実はここも目的地のひとつで、ジーナさんからもらった大魔導士の資料によると、この街の冒険者ギルドマスターが大魔導士の子孫らしい。


 大魔導士は100年ちょっと前だからだいたい3〜5世代前。結構な数の子孫がおり、いろいろな国や街の要職に就いていることが多かった。さすがに子孫全員に会うのは時間が掛かりすぎて無理だから、目的地の近くにいたら陰から様子を窺い、困っていることがありそうだったら力を貸すくらいのスタンスでいこうと思う。


 結構な距離があるので、授業が終わったあとに異世界へ行って、街を目指して移動をし、時間になったら転移魔法で家まで戻るのを繰り返すしかなさそうだ。できればもっと速い移動手段があればいいのだが、ヘリコプターとか元の世界で手に入れられないかな。いやさすがに無理か。


 というわけでルクセリアの街に転移をして、そこから目的地を目指してひたすら走っている。始めのうちは綺麗な景色に心を躍らせていたが、ルクセリアの街やエガートンの街、北の山脈など結構な距離を走ってくるとさすがに飽きてもくる。


 当たり前だが山や谷などは避けているから、だいたいが同じ景色になってしまうのは仕方ない。たまに商人や冒険者、街を移動する馬車などすれ違ったりして驚かれるくらいだ。


 そんなこんなで放課後毎日走り続けることにより木曜日の夜にようやく目的地の街に到着した。


 移動中は気配察知スキルや危機察知スキルで周りを警戒していたが、さすがにサーラさん達を助けた時のように魔物や盗賊に襲われている場面には遭遇しなかった。あの時は相当タイミングがよかったな。というよりもサーラさん達の運がかなりよかったのだろう。





「どうぞ、ブラッドリーの街をお楽しみください!」


 エガートンの街と同じように、通行証を見せたところ、門番の人達に仰々しく迎えられた。やはりこの通行証は王族や上級貴族しか持っていないものらしい。


「おお〜ここがブラッドリーの街か!」


 ルクセリアの街やエガートンの街とは様子が違う。同じ異世界でもこれほどまでに街の様子が異なるのはとても面白い。元の世界でも国や県によって街の様子が違うから当然といえば当然か。


 街の大きさはエガートンの街と同じくらい。だが壁はルクセリアと同じくらい高く強固であった。街並みはなんというか、いろんな形の家が不規則に建てられており、雑多な街というのが俺の印象だ。


 ルクセリアの街は王都というだけあり、建物が碁盤目状にきっちりと建てられており、色もある程度は赤茶色に統一されていた。どちらも特色があって面白いな。


「さあ、いつも通り情報収集という名の食べ歩きからだな」



 とりあえず屋台が出ている大きな広場を目指す。元の世界と違っていつも屋台が出ているのはありがたいな。美味しい店もたくさんあるだろうが、ネットのないこの世界ではどの店が美味しいか調べることができない。実際に目の前で料理を見ることができる屋台がちょうどいい。


「お、そこのにいちゃん! ワイルドボアの串焼きはどうだ?」


「ちょっと男前なおにいさん! こっちも見ていってよ。ストライプサーモンの塩焼きにレッドシュリンプの塩焼きはいかが!」


 この街の広場も活気があるな。いろいろな屋台が出ている。海が近くなったせいか、ルクセリアやエガートンの街では見なかった海産物のお店もいくつか出ている。せっかくなら異世界の海産物は海の近くの街に行くまで我慢するかな。


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!

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誤字脱字、日本語のおかしいところがありましたら教えて頂けますと非常に嬉しいです( ^ω^ )

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