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第116話 村でのもてなし


「どうですか、ルルネさん?」


「……ええ、問題なさそうですね。千切れかけていた腕も問題なく繋がっています。右手の先も動くようですし、今のところ後遺症も見られません」


 医療知識のあるルルネさんにニルさんの容体を診てもらったが、怪我の様子は問題はなさそうだ。大魔導士の回復魔法の力はやはりすごい。潰れた目や千切れかけていた手も見事に元通りになった。


「あの、この度は命を助けていただきまして、本当にありがとうございました!」


 ニルさんが礼儀正しく頭を下げる。兄であるアレックさんとは違い、丁寧な言葉遣いだ。


「本当に無事でよかったです。俺に頭を下げてここまで連れてきたのはアレックさんだから、目が覚めたらお礼をいってあげてくださいね」


「はい、兄貴にもちゃんとお礼を言っておきます」


 当のアレックさんは、先程ニルさんの身体が治ったところで、プッツリと緊張の糸が切れてしまったのか、いきなり倒れてしまった。


 ルルネさんに見てもらったところ、単なる疲労と睡眠不足であることがわかったため、ベッドで眠らせている。


 そういえば疾風迅雷パーティはダンジョン攻略の時から寝ても休んでもないんだよな。そりゃ倒れてしまっても無理はない。


「戻るのは明日の朝にしましょうか」


「そうですね。リリス達にあらかじめ明日になるかもしれないことを伝えておいてよかったですわ」


「ホー!」

 

 日は完全に落ちて周囲は真っ暗だ。フー助は夜でも見えるかもしれないが、俺には周りがよく見えない。念を入れて日が昇ってからにしておいたほうがいいだろう。




「それでは今日はゆっくりしていってくだされ。何もない村ですが、ニルを治してくれた恩人ですじゃ、できる限りのもてなしはさせてくだされ」


「ありがとうございます、お世話になります」


 この村の村長さんとニルさんに別の家に案内されて晩ごはんをご馳走していただくことになった。


「それにしてもすごい回復魔法でした。あれだけの大怪我がもう少しも痛くないです。マサヨシさんは本当にすごい魔法使いなのですね」


「ええ、マサヨシ様こそが世界一の魔法使いなのですわ!」


 さすがにそこまで持ち上げられると照れる。


「ニルさんもこれからは気をつけてくださいね」


「はい、一瞬の油断が大怪我に繋がることを学びました。これからは今まで以上に気をつけます」


 ニルさんは他の仲間と討伐依頼を受けていた。無事に依頼を達成することができたのだが、その後街に戻る際に突然大量の魔物に襲われたそうだ。


 依頼を達成していたこともあってニルさんのパーティは完全に油断していたそうだ。その結果、ニルさんは大怪我をし、他のパーティメンバーは負傷しつつもなんとか街に戻ってきたらしい。


 街にいる回復魔法の使い手ではその傷を治すことができず、宿代を払うことができないので、近くにある故郷のこの村に運んでもらったそうだ。


「冒険者は一瞬の油断が命取りになりますからね。魔物だけではなく、依頼を達成して油断している冒険者を狙う盗賊達もおりますよ」


「なるほど……さすがAランク冒険者ですね、勉強になります」


 そんな盗賊達もいるのか……やはりこの異世界は元の世界よりもよっぽど物騒だ。


 ルルネさんの冒険者の話を聞いていると食事が出てきた。


「すみません、何もない村ですのでこれが精一杯なのです」


「いえ、ありがとうございます」


 お世辞にも豪勢とは言えない食事だったが、これぞ山の幸という食事を楽しむことができた。キノコや山菜、山芋などは元の世界でもスーパーに売っているやつしか食べたことがないからこれもいい経験だ。


「食後には果物をどうぞ」


「うわ、これは甘くて美味しいですね!」


「ホー!」


 いただいた果物は、どちらもとても甘くて美味しかった。片方は梨のようで、もう片方はサクランボのような果物だった。フー助も美味しそうに食べている。


「ええ、どちらもとても甘くて美味しいですわね! この果物は街には卸さないのです?」


「え、こんな山のあちこちにある果物が売れるんですか?」


「街であまり見かけない果物なのでこの辺りでしか取れないかもしれませんね。とても甘くて美味しいので村で栽培できれば売れると思いますよ」


「本当ですか!? 村長、試してみませんか?」


「ふむ、試してみるかのう」


 甘いものが好きなルルネさんが褒めるほどのものなら売れるかもしれないな。俺も少し収納してサーラさんの屋敷の料理長であるファラーさんに見てもらうとしよう。ケーキの材料に使えるかもしれないし、いい名物になるかもしれない。


 晩ごはんをご馳走になった後はそれぞれの寝床に案内された。俺はニルさんとすでに寝ているアレックさんと同じ家で、ルルネさんは他の女性がいる家に泊めてもらった。


 明日の朝一でシルビアの街に戻る予定になっている。リリスさん達や疾風迅雷の他のメンバーも心配しているだろうから早く戻ってあげないとな。転移魔法で一瞬で戻ることも可能だが、転移魔法を使えることをあまり人には見せたくないから、またフー助に頼むとしよう。


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!

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誤字脱字、日本語のおかしいところがありましたら教えて頂けますと非常に嬉しいです( ^ω^ )

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