文藝くらぶ1
文藝くらぶ。それは誰でも無料で利用できる小説投稿サイトだ。投稿する小説の形態は自由(ただし成人向け作品や二次創作は除く)で純文学からライトノベルまで様々な作品が掲載されている。
数年前からブームが起きていて『文くら系』という作品群が世間を賑わせていた。まぁ、私もそんな『文くら系』作品の投稿者の一人なわけだけれど……。
『文くら系』を簡単に定義するなら『異世界に転成した主人公が無双してハーレムを作る』みたいな内容だ。作者サイドの意見としては非常に書きやすい題材だと思う。私としては伏線も張りやすいし、ある程度のご都合主義もエンタメとして許容されると思う。(こんなこと言うと異世界転生ものを書いている方に怒られそうだけど)
説明が長くなったけれど、私はそんな作品を書いているWEB作家なのだ。そして……。これは私が文藝くらぶとネットの海で体験した話になる――。
「あー。フミちゃん居た居た!」
私がコンピュータ室で部活していると幼なじみの祐希に声を掛けられた。
「ゆきちゃんどうしたの?」
「あのねー。駅前にサブウェイできたじゃん。だからフミちゃんも行かないかなぁって?」
「うーん……。今日はパスで!」
「えー! なんでよ! いいじゃん。いこーよー」
地味にウザいな。と私は思った。祐希は昔から言い出した聞かないのだ。
「ごめんごめん。……。じゃあ明日じゃダメ? 今日は忙しいんだよねー」
「もー! しょうがないなぁー」
やれやれだ。今日はすんなり諦めてくれた。もっとも、諦めてくれなくても無視するつもりだったけれど。
さて、邪魔者……。いや失言。祐希も居なくなったことだし、執筆の続きをしよう……。
パソコンのモニターには文藝くらぶのメインページが表示されている。ページ中央にはマンスリーランキング。右手にはお知らせとSNSのアイコンが表示されていた。
「うーん……」
モニター前で私は独り言のように唸った。いつものことなので他の部員は何も言わない。
マンスリーランキング一位「冬木紫苑」。二位「半井のべる」。三位「蕨モチ」。
そんな風に見慣れた作家名が並んでいる……。
またか……。と私は思った。冬木紫苑がいつまで経っても一位のままなのだ。私の記憶が正しければ一年前からずっと変わらない。
仕方ない……。私は首を横に振ると自身のマイページに移動した。
半井のべる [ID:1054813] でログイン中……。




