目覚めと出会い
「知らない天井だ」
って言ってみたいですよねー。
家で一度言ってみたところ、妹に
「きもっ」
と言われて終わりました。泣
「う…ん。あれ…ここは。」
見知らぬ天井だ。確か僕は車にひかれて死んだはずじゃ。もしかして助かったのかな。
周りを見渡すと病室のような場所だった。というか病室だろう。しかも一人部屋でなかなか広く、グレードの高さがにじみ出ていた。
「入院費払えるかな。」
そんなことをのんびり考えていると扉がノックされた。返事をしようとしたがそれよりも早く扉が開けられた。ノックする意味あるのかな、なんて思いながら入ってきた人を見た。
着ている服を見るにおそらく看護師だろう。しかもとてつもなく美人だ。胸元が開かれていて谷間が見える。うーん、ロマンだね。なんてことを考えていると看護師さんがワナワナと震えだしたとたんに、
「せ、先生ぇー、春坂様が、春坂しゃまがぁ〜」
そう叫びながらどこかに行ってしまった。
「えー、行っちゃったよ。」
しばらくして、先程の走っていった看護師と医師と思われる人が入ってきた。医者の方もキレイな女性の方だった。しかも何故か二人とも頬を赤く染めていた。
暑いかな、なんて考えていたら女医さんが話しかけてきた。
「あ、あの、お目覚めになられたのですね。
どうして病院にいるのか覚えてらっしゃいますか。」
「はい。確か車にひかれてそれから…」
そう答えると二人は困ったような驚いたような顔をした。
「は、春坂様。春坂様は家の階段から落ちてしまい、通報があって入院なされたのですよ。」
「階段ですか?そんなまさか。僕は確かに車にひかれて…」
「少しお待ちください。春坂様はご自分のお名前や年齢は覚えてらっしゃいますか?」
「はぁ…。春坂優、18歳。○✕商事勤務です。」
簡単に答えると二人は面白いように慌て始めた。
「春坂様。そ、それは本気でおっしゃられてますか?」
「本気って、電話してもらえばわかると思いますけど。」
「それに春坂様は今年高校に入学するはずですよね?」
この人は何を言ってるんだろう?
「と、とりあえずお母様にはお電話差し上げたので、まもなく到着されると思いますので、それからお話しましょう。」
「母親!?いえ、あの母親は僕が産まれ時に死n」
「ゆうぢゃぁ〜ん」
そんな声と共に扉が勢いよく開けられ、これまた美人なお姉さんが入ってきた。いきなり抱きついてきた。
「ちょっとちょっと、何抱きついてきてんですか!?」
嬉しいが状況が飲み込めなくて無理やり引き剥がす。
「というか、お姉さん誰ですか?」
そう言うとお姉さんが
「なんでぇ〜、優ちゃん何でそんなごどいゔのぉ〜」
大泣きしてしまった。
「こちらの方は春坂様のお義母様ではないですか。」
少し字が違う気がするがまあ気のせいだろう。
「僕の母親は僕を産んでくれた時に亡くなってますよ。」
そう言うとまたまた、母親?のお姉さんが
「優ぢゃん〜、そんなごどいばばいでぇ〜」
と大泣きしてしまった。